エルム街の悪夢3/惨劇の館
<A NIGHTMARE ON ELM STREET 3: DREAM WARRIORS>
87年 アメリカ映画 97分

監督:チャック・ラッセル
共同製作・ウェス・クレイブン
脚本:ウェス・クレイブン
   ブルース・ワグナー
   チャック・ラッセル
   フランク・ダラボン
出演:ロバート・イングランド(フレディ・クルーガー)
   ヘザー・ランゲンカンプ(ナンシー・トンプソン)
   パトリシア・アークエット(クリスチン・パーカー)
   クレイグ・ワトソン(ドクター・ニール・ゴードン)
   ローレンス・フィッシュバーン(マックス)
   ロドニー・イーストマン(ジョーイ・クルーゼル)
   ジェニファー・ルービン(タリン・ホワイト)
   ケン・サゴーズ(ローランド・キンケイド)
   ブラッドレイ・グレッグ(フィリップ・アンダーソン)
   イラ・ヘイデン(ウィル・スタントン)
   ペネロープ・スドロウ(ジェニファー)
   プリシラ・ポインター(ドクター・エリザベス・シムズ)
   ジョン・サクソン(ドナルド・トンプソン)
   ブルック・バンディ(エレイン・パーカー)
   ナン・マーティン(シスター・メアリー・ヘレナ/アマンダ・クルーガー)

(あらすじ)
エルム街で若者の自殺が相次いで発生。そして街の精神病院には数名の自殺未遂の若者が収容されていた。
収容された若者達は頑なに“寝る事”を拒む。眠ると、とてつもなく恐ろしい悪夢を見てしまうからだ。そんな若者達に頭を悩ませる精神科医達。
そんな時、この精神病院に、“悪夢に詳しい”ある大学院生が医者としてやって来る。

(感想)
シリーズ3作目ですが、前作の『2』を完全無視。『1』の続きのストーリーになっています。
ですが、ここで驚きの展開!何と、『1』のラストでてっきり死んだものと思っていたヒロイン、ナンシーが生きていて再登場するんです。しかも、「悪夢に詳しい精神科医」なんてものになっています。
あれ?じゃあ、『1』のラストって何だったの?どう解釈したらよかったんだ?
しかも、父親のジョン・サクソンまで登場。どうやらナンシーの仕掛けたトラップには引っかからなかったようです。その代わり、アル中のダメ親父に成り下がっていましたが(でも、職業はまだ警官らしい)。
とりあえず、母親は死んだ事になってるようです。確かに、『1』のラストは母親が襲われかかった所で終わりましたからね。じゃあ、あれはナンシーじゃなくて母親の夢だったのか。と言うと、あの終盤の、「フレディを現実の世界に連れ出す作戦」は本当に成功していたのか。じゃあ、なぜその手を『3』で使わない?う〜む、謎だらけです。脚本には『1』同様、ウェス・クレイブンが関わってるというのに、何でこんなに辻褄が合わなくなってるんでしょう。シリーズだけど、別物と考えた方がいいんでしょうか(それとも、私の『1』の見方が間違ってたのか)。

まあ、この辺のストーリーの繋がりを考えなければ、普通に面白いホラー映画ですね。
しかも、SFXに相当力を入れていて、フレディの夢のシーンの造形がもう、凄いことになってます。フレディ自身もわけの分からない怪物に変形して襲って来る始末です。
問題は、そのSFX技術がそのまま怖さに結びついてないところですね。怖いというよりも、楽しそうです(笑)。どうも、今作はアトラクション的楽しさを追及してみたのか、フレディに襲われる登場人物達も、夢の世界では特殊能力が使えるようになってたりします。まあ、結局、それもフレディには効果が無いんですけどね。
疑問なのは、この特殊能力は、“完全に、その人の能力によるもの”なのか、“フレディが遊びで使わせてあげてるもの”なのかがよく分からないんですよね。
私は、夢の世界は“完全にフレディに支配されてて、フレディが望まない事態は起こりえない”という世界なんだと思ってたんですが、見ているとそれも微妙な感じなんですよね。フレディにはそこまでの影響力は無いんでしょうか。


さて。今回、これまで無敵だったフレディについに土がつく事となります。何と、フレディを倒す方法が見つかったんです。
その方法とは、“フレディの遺体を供養する”という、まるで心霊物のような手段です。フレディってのは、自縛霊か何かなのか(笑)。
ちなみに、これはアメリカ映画なので、供養には“お経を唱える”ではなく、十字架や聖水を用います。そして、“成仏させる”ではなく“撃退する”という感じの供養になっています。まあ、やっぱり“霊”と“夢魔”は違う存在ですからね。 ただ、まだこの後にも続編があるという事は、この方法も効果がなかったって事なんですよね(笑)。
ちなみに、この“フレディ撃退法”を教えてくれた人物の正体はちょっと意外でした。まさか、そういうのがアリな世界だったとは思ってなかったですからね。

ところでこの映画、キャストにパトリシア・アークエットやローレンス・フィッシュバーンがいたり、脚本にフランク・ダラボンが関わってたりと、なかなか豪華な布陣になってますね。
そして監督は、後に『イレイザー』『スコーピオン・キング』を撮るチャック・ラッセルです。やっぱり、この人はホラーよりもアクション派なんですね。