監督:スティーブン・ホプキンス
出演:ロバート・イングランド(フレディ・クルーガー)
リサ・ウィルコックス(アリス・ジョンソン)
ダニー・ハッセル(ダン)
ケリー・ジョー・ミンター(イボンヌ)
ジョー・セーリー(マーク)
エリカ・アンダーソン(グレタ)
ビートライス・ボーペル(アマンダ・クルーガー)
ベス・デパティ(アン)
(感想)
『3』『4』と、監督がアクション派だったせいで、まるでアクションホラーのように料理されてきたこのシリーズですが、今回はアクションの要素の薄い、よりホラー映画っぽい作りになっていました。
そして、もはやフレディを始め、登場人物に何が出来て何が出来ないのかがさっぱり分からなかったこれまでのシリーズと違い、ルールがかなり分かりやすくなっていましたね。これは、『1』以来の完成度の高さです。
主人公は前作に引き続きアリスで、“夢をコントロールできる”というもともと持っていた能力に加え、前作でクリスティンから受け継いだ“他人を自分の夢に呼び寄せる能力”を持っているようです。その代わり、兄から受け継いだ(と思われる)夢の中限定で使えるカンフーの能力は無くなったようです。
対するフレディは、基本的には“悪夢に現れて人を襲う”という、これまでと同じ能力です。ですが、登場人物達が、明らかに眠っていない状況で夢の世界に入り込むという、かなり不思議な状況が出て来ます。
このストーリー、これまでの監督が演出したらかなり意味不明になった事と思いますが、今回はこれが『1』の時のような、「今見てるのが夢なのか現実なのか分からない」という点に怖さが感じられるんです。
ただし、その夢の世界の派手さは前作までの流れをちゃんと汲んでいます。まさに、シリーズの良いところを集めた作りになってるわけですね。
「今見てるのが夢なのか現実なのか分からない」というシーンは、ダンとグレタが殺される場面で出て来ます。どちらも、間違いなく、これまでのシリーズで見て来た“フレディの悪夢の世界”に入り込んでいるはずなんですが、どちらも眠っているわけではないんです。かと言って、『2』のようにフレディが現実の世界に出て来ているわけでもないんです。
この辺りの謎っぷりがたまらなく興味深いです。一体、何でこんな事になってるんだ?これからどうなるんだ?と、見ながらドキドキしてしまいます。
で、その謎の正体ですが、どうやらアリスの腹の中の子供の夢を利用しているらしい、というのが明かされます。
多分、この子供も、アリスと同じ能力が備わっているんでしょう。それで、アリスが起きているのに、子供が見ている夢の中で“他人を夢に呼び込む能力”が作動してしまい、ダンとグレタが、今まで起きていたのに夢の世界に引き込まれてしまった、という事なんだと思います。
冒頭のアリスの夢で、アリスが夢をコントロールする能力を使えなかったのは、見ていたのが自分の夢ではなく、子供の夢の世界に入っていたせい、という事なんだと思います。
ただ、どちらも例によって間違った解釈かもしれないですけどね(『1』の時みたいに)。でも、これだと説明がつくような気がするんですが、どうだろう。
分からないのは、フレディが唯一その存在を恐れているという、フレディの母親アマンダは、どうやってアリスなり息子なりの夢に現れたのか、という所です。『3』では霊体として現実世界を彷徨ったりしてましたが、今回もそんな感じでヒロインを助けに来てくれたんでしょうか?
ところで、アリスはこのシリーズ3代目のヒロインですが、歴代ヒロインが2回目の出演で命を落としていたのに比べ、アリスは2回目の出演で生き残る事が出来ましたね(一回限りの命だった、野郎の主人公もいたっけな)。まあ、何と言っても、ドリームマスターですからね、この人は。
2代目ヒロインのクリスティンも夢に関する超能力を持っていたのを考えると、そういった特殊能力の何も無い、初代ヒロインはよく『3』まで生き残る事が出来たものです。