監督・原案:レイチェル・タラレイ
出演:ロバート・イングランド(フレディ・クルーガー)
リサ・ゼイン(マギー)
ショーン・グリーンブラット(ジョン・ドゥ)
レズリー・ディーン(トレイシー)
ブレッキン・メイヤー(スペンサー)
リッキー・ディーン・ローガン(カルロス)
デビッド・ドナルド(ケリー)
スプリングウッドについた5人だが、そこは夢と現実の混在する怪奇ゾーンだったのだ。
(感想)
『エルム街』シリーズ最終作という事で、ラストではついにフレディが死亡します。そしてエンドクレジットでこれまでのシリーズの名場面集を映しながら、バックには「フレディズ・デッド」のテーマが流れるという、まさに「もうこれで完結!」と言わんばかりの終わり方です。
ですが、数年後には『フレディVSジェイソン』で元気な姿を見せているように、これまでのシリーズのような“一時的な敗北”だったようですね。
今作ではフレディに子供がいた事が判明します。記憶喪失の若者ジョン・ドゥは、これまでフレディが自分を殺さないで驚かすだけだった事から、自分がフレディの息子ではないかと推理します。
しかしこれが大ハズレ。実は未成年者強制施設の精神科医マギーがフレディの娘である事が明かされます。ジョンはマギーを探すために利用されていただけなのでした。
と言う事で、てっきり主人公かと思っていたジョンは開始一時間もたずにフレディに用済みとばかりに殺されてしまいます。
ここがこの映画中、もっとも驚いたところでしたね。てっきり主人公かと思ってましたから。それが、名前が判明する間もなくあの世行きとは。
この映画、全体的に妙なテンションに覆われていて、フレディもいつにも増してノリノリです。ほうきに乗った魔法使いのまね事をしてみたり、悪魔の補聴器を付けられて、ささいな音も大音量に聞こえてしまう相手の前に、おちゃめな感じで“黒板”を出してみたり(もちろんその後、爪でギーギーやり始めます)。
登場人物の方も、フレディの存在をすぐに信じたり、フレディにカンフーで立ち向かったりと、本当にフレディを怖がってるのか疑問に思えてくるぐらいに元気です。
ところで、このカンフーを使う女、明らかに『4』のヒロイン、アリスを意識して作られたキャラクターですね。まあ、確かにインパクトありましたからね。パクりたくなる気持ちも分かりますが、同じシリーズで何度もやるネタじゃないでしょうに。しかも、ラストはマギーまでアリスの真似事みたいな動きをしだしますからね。
“犠牲になるのが全員男(と言ってもたったの3人。少な過ぎです)”というのも含めて、ちょっとばかりフェミ臭い感じがなきにしもあらずです。『エルム街』シリーズをこんな形で終わらせていいのか?
と言うかこの映画の監督、『エルム街の悪夢』を撮るつもりがあったのかも疑問です。夢のシーンは確かにいつも通り凝ってて面白かったですし、現実と夢が混在してるような不思議な空間であるスプリング・ウッドの街も面白かったですが、これらは全て中盤までに出てくる要素です。これ以降は、これまでのヒロインのようにキャラクターが練り込まれてない、「ただ強いだけ」というヒロインがフレディをいじめるというくだらない展開に。
ああ、これが本当の『エルム街完結編』にならなくて良かった・・・。こんなんで終わったら、あまりにフレディが気の毒です(まだ『5』で終わってた方がスッキリしたラストでした)。
ところで、映画の冒頭にスプリングウッドの現状の説明が出て来るんですが、それによると「動機不明の連続殺人と自殺で未成年者全滅。残された大人たち集団発狂」とか、凄い事になってます(笑)。
これを映像化したら凄く怖いホラー映画になりそうですね。