ワン・ミス・コール
<ONE MISSED CALL>
08年 アメリカ映画 88分

監督:エリック・ヴァレット
出演:シャニン・ソサモン(ベス・レイモンド)
   エドワード・バーンズ(ジャック・アンドリュース刑事)
   アズーラ・スカイ(レアン)
   ジョニー・ルイス(ブライアン)
   アナ・クラウディア・タランコン(テイラー)
   レイ・ワイズ(サマーズ)

(ストーリー)
女子大生ベスの友人達が次々と怪死する事件が発生。それには、ケータイに掛かって来た呪いの着信が関係しているのだった。
自分が死ぬ間際の声が録音されたメッセージがケータイに入り、その着信時刻は、1,2日後の近い未来になっていて、その日、その時刻になると着信を受けた人が死ぬという段取りになっているのだ。

ベスは、同じ呪いによって妹を殺されていた刑事、アンドリュースと協力し、一番最初に電話を掛けた奴=呪いを振りまいた張本人を探し出そうとするのだった。

(感想)
日本のホラー映画のハリウッドリメイクで、例によって、「主役の男女ペアが、呪いの根源を探し求めていく」というストーリー展開となっていました。
元にアジアが絡むホラーは大概このパターンを踏襲してきて、こちらも多少飽きてきてはいるんですけど、でも、やっぱりそれなりに面白いストーリー展開ではあるんですよね。殺人鬼が若者を次々殺していくタイプの映画同様、これも「伝統的、お馴染みの展開」として素直に楽しんでいくべきなのかもしれません。

さて。今作の呪いはケータイを使って伝染していく事となります。ケータイと言えば、もう全ての人類の必需品と化した感のある道具ですが、実は、この映画を鑑賞した09年の時点で、私は未だにケータイを所持しておりません。実のところ、「どんな機能があり、どう操作をするのか」という所もよく分かっていません。
そんな、私にとって敷居の高いハイテクマシーンであるケータイを、お化けが操作して人を呪っているというのがもう、ちょっとしたカルチャーショックですね。死人ですら扱えるようなものを、生きてる私が使いこなせないというのは問題なのかもと思ってしまいます。
ちなみに、「そもそも、何でこの映画のオバケはケータイなんぞ使ってくるんだ」という疑問が出てきますけど、一応の理由付けが存在しているようでした。「何の意味も無かったらどうしよう」と思ってたんで、理由が出てきた時はホッとしたものでした。

主人公達は早々に「ケータイがヤバい」という事に気付くんですけど、何故か、それでもみんなケータイを手放そうとしないんです。まあ、一度所持していたケータイを壊すというシーンは出てくるんですけど、しばらく後のシーンでは普通にケータイで会話してる場面が出てくるんで、またすぐにどこかで手に入れたんでしょうね。
「それを持っていたら確実に呪われる」と分かっていながらも手放す事が出来ないというこのケータイの魔力は、もしかしたら、呪いそれ自体よりも恐ろしいものなのでは、なんて事を部外者の私としては思ってしまいますね。もう、若者にとっては「ケータイが無いと生きていけない」という状況なんでしょう。持ってても死ぬし、手放したら生きていけないという、まさに八方塞がり。呪いのビデオみたいに「見なきゃいい」というわけにはいかないんでしょうね。これは恐ろしい。

ケータイという、珍しい道具を用いた呪いや、その根源を探るサスペンスストーリーなどはそれなりに面白かったものの、一方、恐怖演出は、「ちょっと外したかな」と思うようなダサさのある映像で、少々拍子抜けでした。
「街中を歩いていて、ふと気付くと、不気味な人がこっちを見ているような感じがする」というのは、うまく撮ると物凄く怖くてゾッとする映像になるような気がするんですけど、その「不気味な何か」を全てCGによる合成で済ませてしまってるんで、現実感が無いんですよね。全部ウソっぽく見えてしまうんです。
ただ、クライマックスは一転して、かなり怖い雰囲気が映像から感じられるようになるんです。多分、舞台が「廃病院」という、絶好のロケーションになったからなんでしょうね。こういう、「もはや何が出てきても怖い」みたいな場所だと、CGのオバケでも怖く感じられます(それに、ここでは特殊メイクのオバケも出てきますしね)。
ラストでは、呪いの主が、今までと打って変わった派手な襲い方をするという見せ場もありましたし、中々に楽しい映画でありました。