死霊の盆踊り
<ORGY OF THE DEAD>
65年 アメリカ映画 91分

監督・製作:A・C・スティーブン
製作・原案・脚本:エドワード・D・ウッド・Jr
出演:クリスウェル(エンペラー)
   ファウン・シルバー(ブラック・グール)
   パット・バリンジャー(シェリー/ゴールド・ガール)
   ウィリアム・ベイツ(ボブ)

(ストーリー)
ホラー作家のボブは、インスピレーションを得る為に、恋人のシェリーを連れて深夜の墓地に行く。
だが、何故か事故を起こしてしまい、気がつくと二人とも墓地の中に入っているのだった。そして、そこでは死霊のダンス大会が開かれていて、ヴァンパイア風の衣装を着たエラそうなおっちゃんとおばちゃんが、死霊の踊りを見て喜んでいるのだった。ちなみに、死霊と言っても、外見はオッパイ丸出しの半裸の若い女だ。

その様子を隠れて窺っていた二人だが、そのうちに見つかってしまう。
杭に縛り付けられた二人は、その後も延々と続くダンス大会を一緒に見物するハメになる。縛られた二人の目の前で繰り広げられる半裸の女の踊り。おっちゃんの部下のミイラ男と狼男も一緒に見学している。

その後、おばちゃんがシェリーを死霊の仲間に加えてやろうと企むが、ボスであるおっちゃんの許可がなかなかおりない。陽が昇るとみんな骨になってしまうんで、早くシェリーを殺したいと思うのだが、おっちゃんは「まだ時間はある」と言って譲らない。
そして、そうこうする間に陽が昇って、みんな骨になってしまい、ボブとシェリーは駆けつけた救急隊員に救助されるのだった。めでたしめでたし。

(感想)
言わずと知れた、「酷い映画界の伝説」です。
ですが、私は結構楽しめました。いや、冗談ではなくって、これはこれでいい映画なんじゃないでしょうか。
もちろん、まともな映画ではないですけど、一応、ジャンルとしては「セクシー映画」または「エロス映画」という事になるんじゃないかと思います。私も時々、その手の映画を借りてしまう事があるんですけど、そういう映画に何を求めるかって、もちろん女体ですよ。ストーリーなんてもう適当でいいから、とにかく女体を見せやがれこのやろうという意気込みで見る事になるわけですけど、まあ、普通のエロス映画は、ポルノとかAVとかではないわけなんで、ストーリー展開の方がメインになってる、いわば「まともな映画」の体裁をとってるんですよ(内容はまともじゃない場合がほとんどですが)。
で、そういうまともな場面を早送りすると、結局、正味10分〜20分程度の映画ばっかりなんですよね。
それがこの映画ときたらどうですか。上映時間中、7割方は画面にオッパイが出ているという出血大サービスっぷり。むしろ、「こういうのこそ、オレが見たかったエロ映画だ!」と思ったものでしたね。
ただ、内容が、「半裸の女がただ踊ってるだけ」であり、その踊りも、ミュージカル映画で見るような華麗なダンスなんてものではなく、ただクネクネと動いてるだけなんで、退屈と言えば退屈ではありました。多分、「女体は芸術だ」という考えを持っていれば、芸術映画として見る事も出来たんじゃないかとは思いますが、残念ながら、私はまだその境地には達していません。
でも、登場するヌードダンサーの方々の数も結構多いうえに、それぞれにキャラクターの違いというのがあるんで、「次はどんなのが出てくるんだろう」という楽しみもあったりするんですよね。
中でも一番良かったのは、3番目辺りに出てきた、通称「ゴールド・ガール」で、最後に何故か金粉風呂に入れられて、『ゴールド・フィンガー』の金粉女みたいな姿になるんです。別に私は金粉フェチではないんで、どうでもいいっちゃどうでもいい演出なんですけど、それよりも何よりも、この人が全ダンサーの中でも一番イイ体をしていらっしゃったんですよね。今風に言うところの、ボインちゃんですよ。
実は、ヒロイン的立場のシェリーも、かなりのグラマラス体型なんですけど、残念ながら、ストーリーでも書いたように、脱がされる前に時間切れになってしまいます。なので、映画が終わった時は「あいつ、脱がないまま終わっちゃったじゃねぇか!ふざけんな!」と激怒したものでしたが、後に知るところによると、シェリーとゴールド・ガールはどうも同じ人が演じていたようです。なんだ、そうならそうと早く言ってくれればいいのに。

あと、女の裸だけではなく、主要登場キャラ達のやりとりも、バカバカしくて、実に面白かったです。原案・脚本はエドワード・D・ウッド・Jrという人のようですが、もう、「この人、よく名前出せたな」というぐらい、アホっぽい会話ばっかりなんですよね。て言うか、要するにこの人、エド・ウッドなんですね。略されてない名前を見た事無かったんで、そうと知らずに見てたんですけど、まあ、さすがの脚本術といった所でした。特に、ラストの方での、敵のボスのエンペラーの「あとどれぐらいで陽が昇るのか」の感覚が思いっきり適当なのは笑いましたねぇ。
あと、このエンペラーを演じてるクリスウェルという人もいい味だしてましたね。冒頭とラストに、この人がカメラ目線で怖そうな内容の事を語るという場面があるんですけど、その時、目線がかなりの頻度で下に向くんですけど、あれ、絶対カンペ読んでるんですよね。アップの場面なんだから、セリフぐらい覚えて来いよ(笑)。いや、もしかしたら違う理由で下を見てるのかもしれないですけど、そう思った方が面白いですからね。映画は、どう解釈しようが観客の自由という面もあるんですから、「私なりの解釈」という事で。
ついでに、部下のミイラ男と狼男コンビも、何か可愛らしくて良かったです。ミイラ男なんて、立ち居振る舞いにどことなくC−3POっぽいところがありましたし。きっと、シリーズが続いたとしても、このミイラ男はコメディリリーフとして活躍していったに違いない。