監督・製作・脚本:デビッド・ヒレンブラント
スコット・ヒレンブラント
出演:ニコラス・ブレンドン(カイル)
ジェイミー・プレスリー(ティナ)
ララ・ボイド・ローデス(リサ)
ユジェーヌ・バード(ダグ)
ジュリア・メンドーザ(カルメン)
ギャレット・ウォン(ポール)
ケイシー・ファロー(モニカ)
ロバート・テナ(ボブ)
そして現在。とある無人島に若者達が集まってきていた。大学の施設の建設予定地であるこの場所で、ちょっとしたイベントが行われるのだ。
それは、島の至る所にバラまかれた“下着”を、より多く回収出来たカップルに賞金が出るというゲームだった。
だが、何とこの島には、かつてシャーマンが村人の悪しき心を封印したピニャータが流れ着いている島なのだ。そして、学生の一人がそのピニャータを見つけ、叩き割ろうとした時、ピニャータはゴーレムとなって動きだし、学生達を殺し始めるのだった。
(感想)
無人島の森を舞台に、謎の怪物に若者達が殺されるという映画です。ちなみに、序盤で若者達が興じている「下着を集めるゲーム」については、敢えて突っ込みません。
その“謎の怪物”ですが、それが生物ではないというのは一風変わった点ですね。粘土で作られたピニャータという人形に邪悪な魂が宿ったもので、要するに粘土人形が襲ってくるわけです。ただ、人形と言っても、人間と同じぐらいの巨大サイズです。
これだけ聞くと、粘土人形がドスドス言いながら襲って来るみたいな、くだらない映画だと思ってしまいがちですが、こいつがまた、かなり凶暴で恐ろしい奴なんです。
外見は、昔の仮面ライダーの怪人として出てきそうな風貌で(しかも着ぐるみ)、最初に動いた所を見た時は、まさに失笑もののダサさを見せていたんですが、その後こいつが、やたら機敏な動きで若者を惨殺し始める様にはかなり驚かされましたね。
動きの早さもさることながら、その殺人シーンがかなり凄惨なものになってるんです。まさかこんなスプラッターシーンが出るとは予想外でした。
で、このダサい怪物が凄い殺戮をしてるというギャップが妙に面白いんです。
しかも、この怪物の撮り方がなかなかうまく、早い編集により、着ぐるみ怪物特有の「ダサさ」「ウソっぽさ」がかなり抑えられているんです。ダサいどころか、むしろ、こいつの襲撃シーンの迫力はかなりのものになってました。
このピニャータ・ゴーレム(仮名)が起動した後、移動するシーンではなぜかCGで描かれるようになります(しかも、時には飛行形態に変形したりしてました)。これも、見た感じかなり安っぽい出来なんですが、やっぱりハイ・テンポの編集技術によって、迫力のようなものが出せてるんです。いやぁ、なかなか頑張ってますねぇ。
こいつが動き出してから、登場人物を数人殺して行くまでの展開は、かなりスピーディで迫力がありました。犠牲者もかなりスプラッターしてましたし。
ただ、やはり予算の関係か、中盤から終盤まで見せ場らしい見せ場が無いまま話が進んだりするんですけどね。
この手の、若者が殺されまくる映画にしては珍しく、若者の中に、見るからに強そうなマッチョが紛れてます。外見だけでなく、生き残りの学生の中でリーダーシップを取り始めたりと、心身ともにマッチョメンです。
ついでに、こいつの恋人も、見るからにこの手の映画で最後まで生き残りそうなマッチョヒロインタイプです(こっちはマッチョなのは見かけじゃなくて行動の方のみですが)。
ピニャータ・ゴーレムがかなり凶暴な怪物で、とても人間が太刀打ち出来るようには見えないんですが、主人公がこの二人ならなんとかなりそうな気もしてきます。
事実、ラストではこの凶暴な怪物相手に接近して戦ったりしてましたからね。それを見て、単純に「スゲェ!」と燃えながら見てしまいました。
相手が着ぐるみモンスターなので、接近しての格闘シーンとなるとかなり粗が見えやすくなりがちなんですが、例によって早い編集と画像処理で粗を消して、逆に迫力を出す事に成功してました。
また、背景で鳴ってる音楽も結構ノリのいい曲で、場面をうまく盛り上げてくれましたね。
このレベルの映画としては、文句のつけようのない出来の映画でした。監督は、脚本と製作を兼ねる、デビッド・ヒレンブラントとスコット・ヒレンブラントの二人ですが、いったい、何者なんでしょう?今流行の“兄弟監督”なんでしょうか。