監督:スコット・トーマス
出演:デビッド・チザム(トルーマン・バロウズ刑事)
ケビン・J・オコナー(フランク・リー・ストラスモア)
リチャード・タイソン(ポール・ジャッド航空保安官)
クリスティン・カー(メーガン)
ミエコ・ヒルマン(ステーシー)
レイモンド・バリー(レイ・バショー機長)
トッド・バブコック(副操縦士)
デレク・ウェブスター(ビリー・フリーマン)
エリック・アヴァリ(レオ・ベネット博士)
デイル・ミッドキフ(ルーカス・ソープ博士)
ブライアン・トンプソン(フレイ)
(感想)
多分、『スネーク・フライト』に触発されて製作されたと思うんですが、この、「限定空間内で起こるゾンビ・パニック」というのは、何だか『デモンズ』を思い起こさせてもらえますね。さすがに、『デモンズ』シリーズ(と言っても、『2』まで)ほどの完成度は無いものの、ユニークな映像の多い、面白いゾンビ映画でした。
飛行中の機内と言えば、蛇やら巨大サソリといった危険生物が現れただけでも大惨事になるようなロケーションです。狭いうえに、逃げ場が無いですからね。そんな所にゾンビが現れたら、それはもう、大変な事になるわけですよ。ゾンビの戦闘力も、フルパワー型ではないものの、それなりに元気な動きを見せるというタイプで、結構積極的に襲い掛かってきます。
対する生存者側は、何しろ機内なので銃すら無いという状況、、、とはならず、一部の人がしっかり武装していて、しかも、結構な量の予備弾装を持っていたようで、生き残りのサバイバルは思ったよりも楽だったりします。ただ、「生き残って、武装してる人達と合流する」という所までいくのはかなり大変でした。
ゾンビパニックが発生する前の序盤で、機内の登場人物の紹介的な場面があるんですが、これが、かなりの人数がいて結構長いんです。でも、その大量の登場人物のうち、生き残るのは僅かで、後はゾンビパニック発生後にあっさり散っていくんですよね。あれだけキャラクターの紹介をしておいて、いざ本番が始まったら使い捨てのごとく退場していく様は中々面白いものです。何ともパニック映画的じゃないですか。ただ、普通のパニック映画と違って、退場した後、ゾンビ化して再登場しますけどね(笑)。
あと、この手のパニック映画やゾンビ映画では時々見る手法ですが、「主人公」と呼べる人物がいなくて、誰が生き残るか分からないようになってるんです。見てる側からしたら、一部の人が大量の弾薬を持ってるなんて想像してないわけで(しかも、機内で銃を乱射するとも思わないですし)、「いったい、誰が助かるんだろう」と、後の展開に興味を惹かれたものでした。あと、この手の航空パニック映画を何本か見ていると、「最後は誰が機長の代わりに機を着陸させるんだろう」というのを予想するのも楽しい所です。
さて、この本番であるゾンビパニック描写ですが、所々に面白い映像が出てくるんです。例えば、トイレに逃げ込んだ乗客がゾンビに襲われるというシーンにおいて、結構意外な所からゾンビが急襲してきたりとか。
他にも、床を破って乗客を引きづり下ろそうとする奴がいたり、いきなり大ジャンプで飛び掛ってくる奴がいたり、終いには、機外に吹っ飛ばされて華麗な自由落下を見せる奴がいたりと、もう「こんなゾンビ見た事ないぜ!」と大喜びでしたよ。
最初にゾンビが発生したのが床下の貨物室、という事で、そこに数体のゾンビが溜まっているんですが、先に書いた、床を破って乗客を引きずり下ろすというシーンの後、この床に結構な大きさの穴があいて、そこから、近くを通りかかる乗客達をゾンビが次々に引っ張り込んでいくという状況になります。で、この穴が「ゾンビの巣への入り口」みたいな感じになっていて、実に素敵でしたね。ゾンビ版蟻地獄とでも言うのか。もう、相当の数の人々があそこに引きずりこまれてましたからね。「避けて通ればいいのに」とも思うんですが、まさか、床に開いた穴の下がゾンビの巣になってるとは、パニック中の人にとってはなかなか想像出来ない事でしょうからねぇ。
あと、機内にウイルスを持ち込んだ、言わば、この騒動の首謀者が、天井ルートで逃げてる最中にうっかり落下して、そのまま巣まで真っ逆さまに落ちていくシーンは最高でしたね。他にも、プロゴルファーの乗客が、装備しているゴルフクラブでゾンビの首を跳ね飛ばし、その首が巣にホールインワンするというシーンもありましたし、この穴でかなりの見せ場を作っていましたねぇ。
ちなみに、詐欺罪で刑事に護送されてる囚人というのがいて、その言動から「何か、ソマーズ映画でケビン・J・オコナーが演じそうなキャラクターだな」とか思ってたら、本当にケビン・J・オコナーだったんですね。全然気付かなかった(笑)。思えば、『ハムナプトラ』以来、素顔を見てませんでしたからねぇ(『ヴァン・ヘルシング』の時は特殊メイクでしたし)。