監督:ヴィクトリア・スローン
製作:チャールズ・バンド
出演:パトリック・フラッド(クリストフ)
ジェフ・ピーターソン(ビル)
サミュエル・ペイジ(カルビン)
キム・ライアン(アイリーン)
ミッチェル・ガーリン(ロリー)
アリシア・アーデン(キャット)
デブラ・メイヤー(ミッチェル)
(感想)
まず、タイトルに“ゾンビ”がついていますが、見る際は決してゾンビを期待してはいけません。何故なら、ゾンビはちょっとしか出て来ないからです。
それはいいんですが(よくないか)、何かこれ、話の流れが『ザ・コンヴェント』にそっくりですね。舞台となる建物もなんだか似たような感じですし。
ただ、あちらはコメディタッチな演出がなされていましたが、この映画はややハードボイルド気取り系の演出でした(何だそれは)。
監督の思惑だと思うんですが、全体的なトーンみたいなのがスタイリッシュっぽいです(あくまでも“っぽい”です)。登場人物の会話シーンが多いんですけど、そのセリフが何か、多少皮肉が入ったような、キザっぽいセリフが多いんですよね。ただ、吹き替え版で見たんで、字幕ではどうなってるのか不明なんですが。
「たかだかB級ホラーのくせに、何を気取ってるんだ」と思われるかもしれないですが、案外、映画の雰囲気と合ってるように思えました。照明も見づらくない程度に明るく、セットの粗が見えない程度に暗いというちょうどよさで、ホラーっぽい雰囲気はよく出ていました。
また、恐怖の対象となるものが話の展開によって微妙に変わってきます。最初の頃は幽霊物っぽい展開で、ゾーッとするタイプの怖さが出てましたが、中盤で悪霊が蘇ると、今度はこいつが登場人物を一人づつ殺していくという、アメリカ製ホラーっぽい恐怖に変わります。そして最後は死んだ連中がゾンビ化して襲ってくるという、ゾンビ映画的な恐怖に変わります。
やはり、超低予算の自主制作映画ではなく、チャールズ・バンドが製作してる商業用B級(C級かも)の映画なせいか、そこそこのクオリティみたいなものはあるようですね。
ただ、ゾンビはラストにちょっと出てくるだけなので、タイトルからゾンビ映画を期待して見てしまうと、「騙された!」という事に頭にきて、本来の面白さを感じられなくなってしまう恐れがありそうですね。そういう面では、ゾンビを期待させてしまうこの邦題はどうなんだろうと思ってしまいます。
まあ、その「本来の面白さ」とやらも大したものではないので、むしろこういうタイトルでジャンル映画ファンを釣った方が映画の価値は上がるのかもしれません。私もタイトルに「ゾンビ」が入ってなかったら見てなかったかもしれませんからね。と言う事は、やっぱりいい邦題だったのかもしれませんね。