監督:ジェイ・アンドリュース
出演:パトリック・マルドゥーン(マイク・コナーズ)
テレサ・ラッセル(ナンシー・バーナム)
ジョー・アヴァロン(トレイ保安官)
ビリー・キーン(スティーブ・エルキンス)
タムラ・デイヴィス(シド・ブリーム)
ダニエル・クイン(アラン・スタンプ)
カーティス・アームストロング(キーチ弁護士)
一方、プロジェクトチームの研究員達が勤めるノバジェン社に賊が侵入。もう一体保存されていたジェラティノスが奪われてしまう。
たまたまシャトルの事件の調査にノバジェン社に来ていた、政府直属の秘密警察に所属する、マイク・コナーズ大尉は犯人の一人を射殺。もう一人の逃走した犯人を追跡するが、寸でのところで逃げられてしまった。
だが、犯人は航空機で移動中、突如暴れだしたジェラティノスに襲われ、飛行機は墜落してしまう。コナーズは、プロジェクトのリーダー、ナンシー・バーナム博士と、墜落した飛行機を調べに行く。
一方、墜落地点の近くの町の貯水所では、水際で車を止め、エロってる最中のカップルが、お約束通りに襲われるのだった。
果たしてコナーズはジェラティノスの脅威から世界を救う事が出来るのか!?
(感想)
政府の実験によって作られた怪物が人を襲う映画です。政府が絡んでるだけあって、小賢しい陰謀みたいなのが背後に見え隠れしてきます。と言っても、最後まで「見え隠れ」しているだけで、メインは怪物とそれを追うエージェントとの攻防です。
まず、この怪物のジェラティノスですが、見た目は『ザ・グリード』のモンスターを小型化したような、触手系な形です。当然オールCGなんですが、B級モンスター映画のCGなんで、ほぼプレステ2レベルです。
しかし、この、「CGの怪物」ってのはどうなんでしょう。本当にハリボテや着ぐるみのモンスターよりも怖くて迫力があるんでしょうかね。何だか、昔の、ストップモーションで動いてた時代の怪物の方が不気味だったような気がするんですが、CGを見慣れた若い人にとってはこっちの方が自然なんですかね。
このジェラティノスは、もともと火星専用で作られた生物で、地球上ではどんな形状になるのか分からないという、何だかわけが分からない設定になっています。一応、姿を現すのが中盤以降という事もあり、しばらくは怪物がどんな形なのかも分からないという演出になってるんですが、ビデオパッケージでバレバレというのが悲しいところ。まあ、最近はビデオパッケージのイラストがウソの場合があるんで、もしかしたら全然違う形の怪物が出てくるかもしれない、という事も見ながら考えてはいましたが。
また、分子構造だが何だかを自在に変えられ、現在は水と同化した形態をとっているという事らしく、町の下水管を通って移動しているらしいです。しかも、銃で撃っても、水を撃ったかのように、ダメージが無いという有り様。
ちなみに、この舞台の町の水は放射能で汚染されているという設定になっていて、町の保安官も癌で余命いくばくも無いという状況で登場します。これがラストの伏線になっていて、最後の決戦で、この保安官が「どうせ自分の命は長くない」という事で、怪物に決死の特攻をしようとするんですが、あっさり食われて犬死にます(笑)。いやぁ、最高です。さすがB級モンスター映画。
主人公の秘密警察エージェント、コナーズ大尉を演じるのはパトリック・マルドゥーンです。って、誰? まあ、別段悪くないヒーロー演技を見せてくれます。
中盤は、このコナーズと、プロジェクトの科学者4人(なぜかみんな若い)でジェラティノスの居場所や弱点を探ろうとするという展開です。
科学者のリーダーのナンシーはなぜか序盤からコナーズと行動を共にしています。ただ、ラブの要素が全く入り込む余地の無い関係です。というのも、コナーズという男、主人公のくせに、いかにも政府のエージェント(ただし、ヒーロー風味)といった感じのキャラになっていて、ただ任務の為に一緒に行動しているだけという感じなのです。まあ、B級モンスター映画にヘタにラブ要素が絡んできても映画の流れが止まるだけなんで、むしろ無くていいんですけどね。
また、4人の科学者のうちの一人が裏切り者で、仲間の一人が町に設けられた臨時の研究所(空き家を使用)の地下室でジェラティノスに殺され、二人だけになると、突然本性を現し、サイコ犯人のようにもう一人の仲間(女)を追いかけ始めます。
先程、仲間の一人がジェラティノスに殺されたばっかりの地下室に逃げ込む女。こいつはここにジェラティノスがいる事を知らないからなんですが、なぜか知ってるはずの裏切り者君も追いかけて地下室に降りていきます。
これで、女を追い詰めたところでジェラティノスが登場し、悪党の方を喰らって女が助かるという展開になるのかなと思ったら、ジェラティノスは休息中だったのか、裏切り者君は女をあっさり殺して生還しちゃいます。う〜む、なかなかヒネった展開ですね!(笑)
しかし、長年、共に研究をしてきた仲間をこうも簡単に殺せるものなのかなという気はしますが、多分、この時点ではこの裏切り者君が「科学者の一人」という設定も忘れられてるんでしょう。
あ、ちなみにコイツは結局、もうちょっと後でジェラティノスに殺されます。
ラストはコナーズの活躍でジェラティノスはやっつけられるわけですが、どうせ、倒したと思ったら小さいのが増殖していて、それのアップで「まだ惨劇は終わらない!」みたいな感じで終わるんだろうと予想していたら、多少ヒネってありました。この、ところどころで微妙にお約束の展開を外しているあたりに、監督の作家性が“多少”感じられますね。
ところで、この映画の原題は「プロジェクト・ヴァイパー」というんですが、「ヴァイパー」なんて単語は出てきませんでした。吹き替えで見たんですが、もしかしたら原語では「ジェラティノス」の事を「ヴァイパー」と言ってたりするのかしら?