サイコ・コップ
<PSYCHO COP>
83年 アメリカ映画 83分

監督:ウォーレス・ポッツ
出演:ボビー・レイ・シェイファー(サイココップ)
   ジェフ・クォール(ダグ)
   パルマー・リー・トッド(ローラ)
   ダン・キャンベル(エリック)
   シンシア・ガイア(ジュリー)
   リンダ・ウエスト(セーラ)
   グレッグ・ジョウジョン・ローチ(ザック)

(あらすじ)
別荘にバカンスに来た学生達が、警官の格好をした殺人鬼に襲われる。

(感想)
『13日の金曜日』の亜流の一本で、「今回の殺人鬼は警察官だった!」というのがウリの映画と思われます。
この「殺人鬼の正体が警察官」という設定、この映画を作るにあたって、監督か製作者には今の警察に対する不信感みたいなのがあったのかもしれないですね。汚職警官や暴力刑事が多くて、このまま行けばこの映画みたいな殺人警官も現れるかもしれないという現実的な恐怖を描こうとしたのかも。
まあ、本当に警察への不信が製作の根底にあったとしても、それを「13金もどき」という形で映画化した時点で全ておじゃんですけどね。

序盤、若者達が目的地の別荘に行くのに山道を車で走っている時、前方に停車してるパトカーの姿を発見。その途端、若者達が慌て出すのが面白いです。パトカーは若者にとって、そんなに脅威なのか(笑)。
多分、監督的には、後に警官が恐怖の対象になるという事を暗示した演出、という事なんでしょうけどね。
ただ、殺人鬼が警察官の格好をしてる為、犠牲者はつい安心して近づいてしまうという、他の殺人鬼とは異なる点があるにも関わらず、さすが頭がサイコだけあって、すぐに怪しい笑顔を作ったり、凶器を取り出すなどして簡単に正体を明かしてしまうんです。と言うか、殺す相手が怯えていないとダメらしいですね、こいつ。だったら最初からホッケーマスクをかぶるとか、怖そうな出で立ちをすればいいのに。いや、元々警官の姿に脅威を感じてるような連中だから、むしろちょうどいいのか。

若者達は男女3人づつで、別荘にはマッチョの管理人が一人と、登場人物が少ないです。「最低でも一人は生き残るから、6人しか殺されないのか」と思うかもしれないですが、ご安心。終盤にはやられ役の警察官が2名も来てくれます。
別荘で遊ぶ若者達ですが、何故かクシや歯ブラシ、バッグが無くなるという事件が起き始め、勘のいい二人が「何かおかしい」と感じ始めます。まあ、普通ならたかだか物がなくなっただけでそう感じる方がおかしい所なんですが。
当然、他の友達からは「考えすぎ」だの「被害妄想」だのと言われて相手にされません。そしてその連中は一人づつサイココップのえじきになっていくのです。なるほど、我々も物が無くなっているのに気付いたらサイココップの警戒をしないといけませんね。勉強になる映画です。
そんなサイコップ氏、実は悪魔崇拝者という事が後に判明し、悪魔の力を借りた技なのか、瞬間移動という特技を持ってます。瞬間移動するところが実際に映像で出されるわけじゃないですが、そうでなきゃ説明しようのない先回りを何度もしてくるんです。しかも先回りをすると必ず嬉しそうにします。
中でも、追いかけてる若者に車で逃げられた時、いつの間にか車の屋根に移動して若者を驚かした瞬間が一番嬉しそうな感じでしたね。

ちなみにこの人、生い立ちが少々複雑で、子供の頃に両親に虐待されていたという過去を持つサイコな警官、ヘンリー・ヴィッカーズが正体という事なんですが、ラストには、過去に精神病院を脱走したテッド・ウォーニキーが名前を変えて警察官になっていたというような事が明かされます。
正直言って、わけが分からないです(笑)。つまり、両親に虐待されて精神病院に入ってたテッド・ウォーニキーが、精神病院を脱走して名前をヘンリー・ヴィッカーズに変えて警官になった、という事なんだろうか。で、ヘンリーは精神病患者であるにも関わらず、過去を隠したまま警官になれていたと。
何か、色々と疑問が出てくる設定ですが、多分、悪魔の力を借りてなんとかしたんでしょうねぇ。何せ瞬間移動が出来るぐらいなんで、経歴詐称なんて朝飯前なのでしょう。いやぁ、さすがサイココップです。