スローター 死霊の生贄
<THE SLAUGHTER>
06年 アメリカ映画 95分

監督・脚本・撮影:ジェイ・リー
出演:ジェシカ・エリス(デイナ)
   ザック・キルバーグ(イギー)
   テリー・エリオスク(タイラー)
   ローラ・シュタイン(ヘザー)
   トラビス・ウッド(ブランドン)
   ジェン・アレックス・ゴンザレス(アレクサンドラ)
   ブラッド・ミルン(スティーブンス)
   ビリー・ペッグ(ラズ)
   アドリア・スクィベル(死霊)

(ストーリー)
40年の間、誰も住んでいなかった廃屋。ここの掃除のバイトとして、5人の若者がやってきた。
作業中、地下室から、見るからに悪魔の書といった趣の書物が発見される。それによると、この建物はかなりヤバい場所に立っているらしいのだ。かつて、死霊を復活させる儀式が行われていて、後は、ここで何かをすると儀式が完了して死霊が復活してしまう、という状況なのだ。
で、何だかんだで死霊は復活し、若者達が次々惨死し、ゾンビ化し、というホラーな流れを見せる中、生き残った数人がコントをおっ始めるのだった。

(感想)
上で書いたストーリー、後半が訳が分からなくなってますが、実際にこんな展開になるんです(笑)。
確かに、ユニークなキャラクターが多かったですし、吹き替えもかなりふざけた感じでしたが、まあ、一応は普通のC級ホラー映画というような感じでストーリーが進んでいってたんですよね。でも、登場人物がほぼ死亡し、ゾンビ化して襲ってきて、生き残った数人のサバイバル劇がいよいよ深刻さを増してくる、という段階になって、突如、コントじみた、緊張感のまるで無い雰囲気になってくるんです。
これは、何なんでしょうね?思いっきりフザけた展開なんですけど、でも、逆にここまでフザけられると気持ちがいいかなとも思えてきます。むしろ、新しい世界観のホラー映画かと思ってしまうぐらいでした。

「見るからに悪魔チックな書物のおかげで死霊が蘇る、コメディタッチなスプラッターホラー」という辺り、きっと、『死霊のはらわた』を目指して作られた映画なんでしょうね。こういうのは何年経っても定期的に出てくるんですね。
でも、先にも書いたように、クライマックスでコント化するという、これまでのこの手の映画では見られなかった超変化球を放ってきましたし、死霊のビジュアルが「全裸の女だ」という辺り、他のこの手の映画と比べると「見てて楽しい度」が高いです。
事が起こるまでの間のストーリーはあまり面白く無かったんですが、登場キャラのユニークさと、時々、このDVD発売当時に世間で使われていた流行語を紛れ込ませてスベりまくる吹き替えの効果で、退屈せずに見ていられました(あと、セリフを方言で喋るヤツなんてのも紛れてましたね)。
肝心のスプラッター描写は、まあ、それなりに気持ちの悪いという程度のものでしたが、グロ描写を隠そうともしない辺りは実に清々しかったです。

全体的に、あまり完成度の高い映画とは思えなかったんですが、いい意味で下品でバカらしい賑やかさがある、楽しい映画ではありました。
ちなみに、ゾンビが登場した時に「このゾンビは旧型か、新型か?新型だったら素早くて手強いぞ!」みたいなやりとりがあったのは、ちょっと面白かったです(笑)。結局、超ノロい旧型ゾンビでしたけどね。