監督・脚本:ダリオ・アルジェント
音楽:ゴブリン
出演:ジェシカ・ハーパー(スージー)
アリダ・ヴァリ
ジョーン・ベネット
ステファニア・カッシーニ
ウド・キア
ミゲル・ボゼ
(感想)
とにかく、怖い映画です。まず音楽が怖い!あれは悪魔が作曲したんじゃないかと思ってしまうぐらいです。しかもやり過ぎなぐらい大音量でがなり立ててきます。普通の映画なら、恐怖心を煽るような音楽をバックに静かな流すようなシーンでも、このシーンは音楽メインだと言わんばかりに、思いっきり自己主張してきます。特に殺人シーンでこれをやられると、見てて何とも落ち着かない気分になってしまいます。
あと、映像も当然、怖い!惨殺シーンの描写も振るっていて、ただナイフで刺すだけの単純な殺害シーンでも、ちゃんとナイフが体に刺さるシーンを画面上に映して、しかもそれを何度も何度も繰り返すんです。一回でも痛々しいのに何回も刺すんですよ。もうやめてくれと言いたくなってきます。
中でも一番酷かったのは、カミソリ(ナイフだったかも)で首を切るシーンですね。もう、アップで思いっきりサックリ行ってるんですよ。傷口もパックリ開いて。ああ、やだやだ・・・。
さらにストーリーが怖い!と言いたい所ですが、ストーリーに関しては特に目立って怖いという事はなかったですね。この映画の怖さは何よりも監督のダリオ・アルジェントの演出力にあると思います。
例えば、冒頭、空港に来たヒロインが外まで歩いていく何でもないシーンが何故か見てて怖いんです。映像はパッと見は普通なんですけど、どこか不吉な雰囲気が漂ってるんですよね。なぜかと言うと、その背景に恐ろしい「サスペリアメインテーマ(仮名)」が鳴ってるせいです。映像もそのシーン自体も特に怖い所は無いはずなのに、いきなり音楽だけで恐怖感を演出するという変則攻撃を冒頭から仕掛けてくるんです。
もう、これだけで「これからどんな恐ろしい事が起こるんだろう」と身構えてしまいます。
もう、結構古い映画なんですが、その映像や音楽が他では見られないようなものなので、今見てもかなり新鮮ですね。古臭さがあまりなく、むしろ新しいぐらいです。
当時のアルジェントの演出と映像感覚、そしてゴブリンの音楽が合わさった、ホラーの傑作ですね。