シンジェノア
<SYNGENOR>
90年 アメリカ映画 98分

監督:ジョージ・エランジアン・Jr
出演:スター・アンドレフ(スーザン・バレンタイン)
   ミッチェル・ローランス(ニック・キャレイ)
   デビッド・ゲイル(カーター・ブラウン)
   チャールズ・ルシア(スタン・アームブロウスター)
   リバ・スピアー(ポーラ・ゴースキー)
   メレイン・シャトナー(ボニー・ブラウン)

(あらすじ)
戦時産業の最大手、ノートン・サイバーダイン社が、人間の兵士に代わって戦場で戦うという、合成人造人間を開発していた。それがシンジェノアだ!
そんなシンジェノア達がなぜかサイバーダイン社で暴れまわる事件が起き、社員達が酷い目に遭う。一方、脱走したシンジェノアの一体に、研究に関わっていた叔父を殺されたスーザンは、事件を追っている記者のニックと共に、サイバーダイン社に潜入していたのだった・・・。

(感想)
悲しい事に、低予算B級モンスター映画の悪い例みたいな映画でした。
モンスターのシンジェノアは、兵士に代わって戦場で戦う為に作られたというのに、外見は何か半漁人みたいです。こんなのが前線に出て行ったら、敵国から笑われるんじゃないだろうか。しかも、何故か水に弱いという、致命的な事この上ない弱点を持っています。
さらに、こいつらの声なんですが、どう聞いても象の鳴き声にちょっと手を加えただけのものにしか聞こえなくて、あんまり怖そうという感じもしないんですよね。せめてライオンとかクマとか狂暴そうな連中の声を使えばいいのに。

このように、モンスター映画なのに、モンスターに脅威が感じられないんですが、演出しだいではこんな奴でも怖く見せる事は可能でしょう。
しかし、残念ながらこの映画には全編を通して、「恐怖演出」というのがほとんど感じられませんでした。
まあそれでも、主人公のキャラクターがよく出来てれば、それなりに面白く見られるものです。
しかし残念ながら主役の二人、スーザンとニックはどちらもステレオタイプな、取り立てて面白いキャラというわけではありませんでした。

と、こんな映画なんですが、全く見所が無いわけではありません。悪の元凶であるノートン・サイバーダイン社の社長、カーターを演じるデビッド・ゲイルが一人で光ってました。このカーターという奴、話が進むごとにどんどん狂って行くという愉快な奴で、ある意味、シンジェノアより恐ろしい存在です。
また、こいつの要望でシンジェノア軍団に戦いを挑む謎の兵隊達が出てくるんですが、何故か変な戦闘服を着ていて、まるでアメフトチームみたいに見えます。しかも、当然のようにシンジェノアたちにあっさりやられていきます。ショッカーの戦闘員みたいなものなんでしょうか。ちなみに、戦いの舞台となるのはノートン・サイバーダイン社の中のとある部屋なんですが、セットだというのが丸分かりな安っぽいルームでした。

ところで、舞台が「ノートン・サイバーダイン社」という、某「T2」に出てきた会社と似た名前なんで、ひょっとしたら流用シーンとか出てくるのかなとか思ったんですけど(爆破シーンとか)、さすがにそれは無いようでした。でも、この規模の映画だと、他映画からの爆破シーン流用とかは普通に出てくる事ですし、確か何かの映画で、『T2』のサイバーダイン社爆破シーンの流用を見た覚えもあります。 ですが、この映画での見せ場の爆破シーン(車が一台爆破するシーンがある)はちゃんとこの映画用に撮ったものでした。しかも一発勝負の大変な撮影だったらしく、そのシーンだけ、数台のカメラで撮ったのを色んなアングルから何回も映してました。まあ、爆破シーン一つにそれだけ(無駄に)力を入れてるようなタイプの映画という事なんですが・・・。
でも、そのマイナス面をギャグとして笑ってあげられるような、心の広さを持っていたい。つい、そんな事を考えてしまいましたね。