監督・脚本:ケビン・ウィリアムソン
出演:ヘレン・ミレン(ミセス・ティングル)
ケイティ・ホームズ(リー・アン・ワトスン)
バリー・ワトスン(ルーク・チャーナー)
マリサ・カフラン(ジョー・リン・ジョーダン)
リズ・ストーパー(トルーディ・タッカー)
レスリー・アン・ウォーレン(フェイ・ワトスン)
モリー・リングウォルド(ミス・バンクス)
ジェフリー・タンバー(ウェンデルコーチ)
ヴィヴィカ・A・フォックス(ミス・ゴールド)
マイケル・マッキーン(ポッター校長)
(感想)
『スクリーム』『ラストサマー』でお馴染みのケビン・ウィリアムソンの初監督作で、もちろん脚本も手掛けています。
当然、見る側は「狂った教師が生徒を殺しまくる映画」を期待するじゃないですか。何しろ、ケビン・ウィリアムソンなんですから。それが見てビックリ。この映画はなんと、ジャンルは“ホラー”ではなく、“サスペンス・コメディ”だったんです(ビデオ屋ではホラーコーナーに並んでたので、この豚舎でもホラーコーナーに含めておきます)。それも、どちらかと言うとハリウッド映画と言うより、低予算のインディーズ映画(と言うか、自主制作映画か)みたいな雰囲気のストーリーでした。
主な舞台はティングル家の中で、主な登場人物も主人公のアンと友人のリン、男友達のルーク、そしてティングル先生の4人だけです。
ティングルに不正疑惑を持たれた主人公の優等生が、話をつけにティングル邸を訪れ、なんだかんだあった末に、「ティングルをベッドに縛り付けて監禁する」という状況になります。
それで、これから一体どうしたらいいのか?というのがストーリーの見どころとなるわけですね。こりゃ、確かにホラー映画のストーリーじゃないですね。今までの脚本作とはまるでかけ離れたストーリーなんですが、何でまたこんな映画を作ってしまったんでしょうかねぇ。とりあえず、「つまらない映画というわけではない」というのが不幸中の幸いでしたが。
主人公達が、この状況をいかに切り抜けるかというのが見どころですが、それと同時に、「ティングルがこの状況をどう切り抜けるか?」という面にも興味を持たせる展開になっています。
このティングル先生というキャラは、もうほんとうに嫌な奴で、生徒はおろか、同僚の職員全員からも嫌われている筋金入りです(実は例外がいた事が中盤に判明するんですが・笑)。
そんな嫌な奴ですが、縛り付けられて監禁される、という状況を見せられると、「いくらなんでも、こんな事をしちゃマズいのでは」とも思えてきます。ちょっとした同情心みたいなものが出てきてしまいますね。
なので、性悪人間のティングルがこの状況をどう切り抜けようとするのかにも興味が出て来るんですよね。一方の学生達も、当初は気の毒に思えてましたが、こんな犯罪行為をしてるのを見ると、可哀相だという気持ちも薄れてきます。
アンの方は、今まで不正とは無縁の優等生でしたが、この状況を切り抜ける為に、これまでの信念を曲げて倫理的に問題のある行動をとるようになっていきます。
そしてティングルの方は、この3人の間に、水面下に三角関係の火種が隠されてるのを見抜き、仲間割れを起こさせようと企むんです。
この、まさに「汚い作戦の応酬」といった感じの心理戦には面白味がありましたね。
途中でティングル邸に訪問者が現れるんですが、その事態にアン達がいかに対処するのかもコメディ的で面白かったですし、その人物とティングルの意外な関係には驚かされました。
最終的に、こんな事件が起こった割には驚くほど爽やかな結末を迎えたりと、ストーリー面は「さすが名脚本家ケビンだ」と思わせるものがありました。
ただ、やっぱり「狂った鬼教師がボウガン片手に生意気な生徒を狩りはじめる」という内容を見たかったですねぇ。