監督・共同製作・共同脚本:ダリオ・アルジェント
出演:クリスティナ・マルシラック(ベティ)
ウルバノ・バルベリーニ
イアン・チャールソン
ダリア・ニコロディ
アントネッラ・ヴィターレ
ウィリアム・マクナマラ
(感想)
オペラを背景に、惨殺事件が巻き起こるサスペンスホラーです。
一応、映画の骨組みみたいなのはサスペンス映画として組み立てられているみたいなんですが、プロットと言うのか、展開がもう無茶苦茶でしたね。
主演女優は、『サスペリア』『フェノミナ』など、過去のアルジェント監督作同様、美人です。要するに、前2作同様、この美人女優演じるヒロインを映画の中でいじめるのが目的で製作されたような映画なんでしょうね(何しろ、製作と共同脚本もアルジェントです。まさに趣味的映画)。
しかも、手口が今まで以上に偏執的になってきているようです。あらすじにも書きましたが、この映画で起こる殺人は全て、主人公のベティの目の前で起こるんですが、ただ、ベティの目の前で殺人が起こるというだけじゃないんです。まず、ベティを柱に縛り付けた後、目の部分に針を貼り付けて、まばたきをしたらまぶたに針が刺さるようにします。このように、目を瞑らせない状況を作ったのち、ゆっくりと惨殺ショーに入るわけです。
・・・どうやったらこんな事が思いつくんでしょう(笑)。
主演のクリスティナ・マルシラックという言いにくい名前の女優は、さすがにアルジェント映画の主演に抜擢されるだけあって奇麗です。ただ、演技はちょっとどうだろうという気がしました。何か、「そのシーンで主人公が何を思っているのか」みたいなのがあまり表情から読み取れない感じなんです。まあ、これはアルジェントの演出なのかもしれないんですけどね。
あと、全編に渡って、音楽の使われ方が何か、ちょっと変です。特に、惨殺シーンで必ずかかる、ロックのようなヘビメタのような、あの派手な音楽は何なんでしょう?面白いですけど。
この映画、ストーリーが進むにつれてどんどん意味不明になっていき、ラストではアルプスの大自然を背景に犯人とのおっかけっこが始まります。しかもバックには派手な音楽が鳴り響いて。
もはや常人では理解出来ない領域に入ったのかと思ったら、この映画、配給会社によって編集させられた、カットバージョンらしいですね。ディレクターズカット完全版は一時アメリカで出てたらしいですが、今は廃盤。日本ではお目にかかれない代物らしいです。
アルジェント曰く、「この映画はサイコ犯と被害者の女性との不可能な愛の物語」なのだそうな。完全版はそのテーマも読み取れる内容になっているのか、非常に興味のあるところです。