監督:ルパート・ウェインライト
製作:ジョン・カーペンター
デビッド・フォスター
デブラ・ヒル
オリジナル脚本:ジョン・カーペンター
デブラ・ヒル
脚本:クーパー・レイン
音楽:グレーム・レベル
出演:トム・ウェリング(ニック・キャッスル)
マギー・グレイス(エリザベス・ウィリアムズ)
ラデ・シェルベッジア(ブレイク)
デレイ・デイビス(ブレット・スプーナー)
ケネス・ウェルシュ(トム・マローン)
セルマ・ブレア(スティービー・ウェイン)
一方、町に巨大な霧が近づきつつあった。実はこの霧、町の創設者4人が過去に起こした行為の犠牲となった人々の怨霊が渦巻いている、大変危険な霧なのだ。
だが、霧は4人の子孫を狙うのかと思いきや、無関係な町人も次々と呪い殺していく。果たして、町の運命やいかに!?
(感想)
ジョン・カーペンター監督の80年の映画『ザ・フォッグ』のリメイク作です。オリジナルも過去に2回程見た事があるのですが、あまりに地味過ぎてほとんど覚えていません。
「霧が人を襲う」という内容ですが、どこか怪談めいた雰囲気のある映画だったような記憶はあります。でも、正直、傑作とか古典という位置にいる映画とも思えないですし、なんでまた今頃リメイクされたんでしょうかね。単純に、「カーペンター監督作のリメイクブーム」が来てるというだけなんだろうか。
で、今回のリメイク版ですが、「オリジナルに特に思い入れがあるわけでもない、一ホラーファン」の私が見ても、“普通のホラー映画の一本”という程度の印象でした。
とは言え、“普通のホラー映画”とは、すなわち“面白い映画”なわけなので、個人的には十分に楽しませてもらえました。
まず、霧が人を襲うというのは中々面白いビジュアルです。霧というもの自体、元々、どこか不気味な感じがするものですからね。「もしあの中に怨霊がいたら!」と思うと、それはゾッとする怖さがあるというものです。まあ、映画からはそういうタイプの怖さは感じられないんですが。
霧の見せ方というものにもう少しこだわりを出してくれたら、もっと面白くなったんじゃないかな、とちょっと思いましたね。
この映画に出て来る霧は全部怨霊入りなんですが、“普通の霧の不気味さ”というのを一度でも見せてくれたら、怨霊入りの霧の恐ろしさももう少し感じられるようになったのではないかな、と。
あと、怨霊入りの霧に包まれたらどうなるのか、という点に統一感が無いんですよね。どういう事かと言いますと、最初から死ぬ計画になっている登場人物の場合は「一瞬で焼死させる」などの強力な攻撃をしてくるんですが、死なない人に対しては「ちょっと驚かす」程度の攻撃しかしないんです。これじゃ、例えば「主人公、もしくはヒロインが霧に襲われる!」というシーンが出てきても、見てるこっちは「どうせ大した事は起こらないんだろう」とか思ってしまいますからね。
でも、基本的に普通のホラーというのはこういうものですからねぇ。「死ぬのが決まってる登場人物がどう死ぬか」というのが見せ場になるわけですし。そういう面では、「何が原因で死ぬのか分からない」という演出になっていて、中々面白味のあるショックシーンではありました。相手は実体の無い怨霊なので、人を殺す方法にも特に決まりが無いんですよね。ナイフを飛ばしてみたり、人自体を吹っ飛ばしてみたりと自由自在です。
ところで、この怨霊達が何故今になって現れたのか、というのが語られてなかったような気がするんですが、これは、創設者4人の銅像をおっ建てたのが原因と解釈していいんだろうか。
それにしても、今更100年前の事件を持ち出して、しかも当時の事件に何も関わっていなかった子孫達に対して恨みを晴らそうとする、というのは、ちょっとどうなんだろうと思ってしまいますね。怨霊がやる事に口出しするのもどうかと思うんですが、「子孫は祖先の悪行にも責任を持たないとならない」というのはどうも納得いかんですね。
しかもこの怨霊達、子孫だけでなく、全くもって無関係なただの町人も殺してるんですよね。かつて4人がやった悪行と変わらない非道な事をお前らもやってるじゃないかと。まあ、怨霊のやる事にケチをつけてもどうしようもないですけどね(笑)。