監督:中田秀夫
音楽:ハンス・ジマー 他
出演:ナオミ・ワッツ(レイチェル・ケラー)
サイモン・ベイカー(マックス・ローク)
デビッド・ドーフマン(エイダン・ケラー)
デイビー・チェイス(サマラ)
シシー・スペイセク(エヴリン)
エリザベス・パーキンス(ドクター・エマ・テンプル)
メアリー・エリザベス・ウィンステッド(若い時のエヴリン)
(感想)
『リング』の続編2本、『らせん』『リング2』はどちらも悪い意味で見た事を後悔するような、実に厄介な映画(要するに、てんで面白くない)でしたが、ようやく、そこそこ楽しめる続編が出てきてくれました。
前作は、謎の対象が「呪いのビデオ」と限定されていたり、7日で解決しないと主人公が死ぬという制限時間があったりという事で、ストーリー展開にある種の分かりやすさというのがあったんですけど、今回は、何をどうしたらいいのかもよく分からないみたいな感じで、先の展開が読めない面白さがありましたね。まあ、終わってみるとよくある展開ではあったんですけど。
あと、ストーリー上では、ホラー映画の割に、ビジュアル的に怖いシーンというのが少な目なんですが、そこをうまい具合に、定期的に「ゾクっとくる」ような恐怖演出を盛り込んできているんですよね。
やっぱり、監督の中田さん、『リング』の一発屋ではなく、ちゃんと怖い映画が撮れる人なんですね(そう言えば、『リング』の前の『女優霊』も怖い映画だったというのを思い出しましたよ)。
ただ、全体的に、ちょっとスローペース過ぎではありましたけどね。この「静かな恐怖」みたいな、じっくりじっとり怖さを演出するという手法は決して悪いものではないですけど、いくらなんでもスロー過ぎではないかと(笑)。
でも、ことホラー映画の監督としては、前作のゴア・バービンスキーよりも全然いいです。サマラ登場のシーンに、ちゃんとゾクっとする怖さが出てましたし(トイレの鏡に映るシーンは最恐でした)、「バスルームの水が天井方向に上がっていく」という実に印象的なショットも出てきました。
でも、やっぱりストーリーの面白さの関係で、どっちかと言うと、前作の方が良かったですけどね。元の『リング』のストーリーが完璧でしたからね。その完璧なストーリーを、「ちゃんと怖いホラーを撮れる男」中田が撮ったから、オリジナル『リング』はあんなに怖かったんですねぇ。
この『2』のストーリーも、子を想う母の強さみたいなのが伝わってくる、いいストーリーではあるんですけど、でも、正直、ホラーにそういうヒューマンなドラマって、あまり期待してもいないですし、欲してもいないんですよね。「人間ドラマなんていいから、怖い場面を見せろ」と。
ところで、前作ではまるでダミアンを見てるかのような不気味さのあったエイダン少年ですが、今回、顔つきが多少普通っぽくなっていて、ダミアン臭は無くなってましたね。
ただ、「悪霊にとり憑かれる」という設定の為、今度はちょっとしたリーガン臭が出てしまいましたが(笑)。
まあ、とりついたのが「子供の幽霊」という事で、緑のゲロを噴射したり、奥義スパイダーウォークを披露したりといった派手な行動はしませんでしたけどね(卑猥な言葉も吐かないですし)。
この「憑依されても、喚かず騒がず、ひたすら地味」というのは、日本風の演出なんですかねぇ。