監督・製作・脚本:マイケル・ブレッカイティス
出演:ケビン・マクカウレイ(マーク・コーディ)
フィリップ・ガーディナー(マックス・クーパー)
ブランディ・コポック(ベントリー捜査官)
マリー・アン・ニラン(ヘレン・コーディ)
ロン・パリロ(ドギー・スタイルズ)
トリッシュ・ダン(ダーラ・スタイルズ)
ローン・ラーキン(ダスティ)
トム・アーブ(ファング)
クリス・ビセント(ピーティ)
ブライアン・リード(ロイス捜査官)
そんなこんなで迎えたクリスマスの夜。キラーツリーの大群がついに町に押し寄せてきたのだった!
(感想)
もう、ひたすらにヌルい映画でしたね。「木が人を襲う」なんて映画ですが、パッケージでは巨大な木が枝で車を持ち上げたりする様が描かれていたので、そこそこ迫力のあるパニック・ホラーになってるのかと思ったら、出て来るのは室内で飾るクリスマスツリーサイズの小型な奴らという罠。いやぁ、まんまと騙されました。まあでも、このジャンルの映画にとっては、むしろ軽く騙されるぐらいの方がある意味楽しめたりしますからね。
主人公の森林警備隊員や、友人の植物学者は、1年前に山で一本のキラーツリーと戦った経験があり、そして、その戦いで山男の仲間を失っているようです。その時の様子が回想シーンでちょろっと出て来るんですが、『ジョーズ』のクライマックスでロバート・ショーがサメに食われそうになってる場面を、そのままトラックの荷台に場所を置き換えただけというものでした。ついでに、その前に出てきたシーンにおいて、植物学者が鉄製の檻に入ってキラーツリーをおびき寄せようとしている場面も出てきました。
どうもこれ、『ジョーズ』のパロディをやってるらしいですね。何しろ、主役の警備隊員の外見が、限りなくロイ・シャイダーを意識したものになってますし、役名も似た感じです。さらに分かり易い事に、名前を“ブロディ”と間違えられて呼ばれる場面も出て来る始末です。
ついでに、仲間の名前もマックス・クーパーにスクィントと、『ジョーズ』の仲間の名前とそっくり。
こういったパロディ要素に、くだらないコメディ演出、つまらないストーリーが相まって、何とも脱力気味な展開を見せる事となり、襲ってくるキラーツリーの姿も、ダサいデザインに超安いCGと、ヌルさ満点です。
ですが、このヌルくて脱力気味な雰囲気、案外悪くないですね。と言うのも、多分この映画、「トマトが人を襲う、世にもくだらない映画」として有名な、『アタック・オブ・ザ・キラートマト』のノリを目指してるんじゃないかと思うんですよね。この「見る人を脱力させよう」と言わんばかりな数々の要素は、全て計算づくなのではと思うわけですよ。
もちろん、「だから、これはよく計算された出来のいい映画だ」とは言いませんが、あのカルト映画の雰囲気を21世紀に蘇らせようと試みた製作者の心意気だけは買いたいですね。この手のくだらない映画につきものの「オリジナルのテーマソング」らしきものもしっかり存在していました。エンドクレジットで「キラーツリーのテーマ」が流れるんですが、その曲といい、今にも泣きそうな感じの歌い方といい、これまた脱力度満点の迷曲でしたね。
それに、ただくだらないだけではなく、終盤のキラーツリーの大群が町に攻めてくる辺りはそこそこ面白かったです。特に、そのキラーツリー軍団に、斧やチェーンソーで武装した「きこり軍団」が立ち向かって行くくだりは、恥ずかしながら、ちょっと燃えました(笑)。
ちなみに、回想として語られる1年前の事件ですが、これはこの映画の背景として語られているだけではなく、実際にこの映画の前作が存在してるらしいんですよね。日本ではリリースされてないようですが。
という事は、この映画は『キラートマト』シリーズで言うと、『リターン・オブ・ザ・キラートマト』に相当するわけですよ。『リターン〜』と言えば、実は若かりし頃のジョージ・クルーニーが出てる事でも有名な映画ですが、と言う事は、もしかしたらこの映画にも後に大スターに化ける人が紛れて出てるのかも!?とか思ってしまいますが、そんな奇跡が何回も起こるわけないですね(笑)。
また、厄介な事にこの映画、ラストで完結せずに、ストーリーは続編の『REGENERATION』にそのまま続く事となります。でも、この続編が本当に作られるのか、作られたとしてそれが日本でリリースされるのかといった問題が出てきてしまいます。が、どっちにしろこの映画の続編に特に興味も無いので、どうでもいい話ですけどね。