THE THING 未確認生命体U.M.A.
<UNSEEN>
99年 アメリカ映画 91分

監督:ジェイ・ウォールフェル
出演:リチャード・ハッチ(ピーター・ジェンセン教授)
   シンディ・ブラウン(ケイト)
   フランク・ルオトロ(マイク・スティーブンズ)
   ティム・トマーソン(チャック・マクニール)
   ジャレ・ジョン(ノーム・ウィリアムズ)
   シンディ・ペナ(ダナ)
   ロビー・リスト(ボブ)

(あらすじ)
山奥に先住民の住んでいた場所があると聞き、発掘にやってきた一団。だがリーダーのジェンセン教授の真の目的は盗掘にあったのだ。
山のガイドとして雇ったダナと、ジェンセンの元恋人で先住民の文字を解読できるケイトの反対を推し切り、先住民のお宝を持ち去ろうとする教授。だが、洞窟から恐ろしい唸り声のようなものがしたかと思うと、何物かが出てきた。その「何か」はダナを殺し、金目当てで同行していたウィリアムズに深手を負わせると、また何処かに姿を消した。
一行は姿の見えない「何か」から逃げようとするのだが・・・。

(感想)
邦題が『THE THING』です。ザ・シングと言えば、『遊星からの物体X』の原題ですね。あの映画は宇宙から来た謎の化け物が人を襲う映画でしたが、この映画の「未確認生命体」も実は過去に宇宙から円盤に乗ってやって来た存在なのです。
原題は『UNSEEN』で、この映画の怪物は『プレデター』のように、目でははっきりと見えない奴なんです。アン・シーンなだけに安心できないというわけです。ただ、全く見えないというわけではなく、目を凝らして見ると、奴のいる所は陽炎のようにゆらめいて見えるようです。

こんな恐ろしい怪物に、盗掘に来た連中達が襲われる事となります。盗掘をしようと言うのだから、この襲われる人間側も嫌な奴だったりします。そんな中、嫌々ながらも金の為に盗掘計画に参加したマイクと、純粋に発掘に来ただけのはずだった、悪の元凶の教授の元恋人ケイトが主役のように描かれ、怪物と教授の「ダブル悪」の脅威に晒される事となります。
序盤の段階ではどちらも脇役のような感じで、山のガイドとして雇われたダナという女が主役かと思ってました。ただ、このダナを演じる女優がブサイクさんで、「こんな奴が主役なのかな」と困っていたら、第一の犠牲者になりました。やっぱり、それを見越してのキャスティングだったんでしょうか(酷い・笑)。

胡散臭いタイトルからして、見るからにつまらなそうなB級映画と思いがちですが、実は結構面白い映画です。まず、怪物が人を襲ってくるのに明確な理由があるというのが面白いです。実はこの怪物、洞窟に眠る宝を護る為に配備された存在なのです。だから人間達が宝を持って逃げる限り、どこまでも追って来るんです。
その怪物が「姿が見えない」せいで、登場人物達は、自分達が何に襲われているのかも分からない為、持ってる宝のせいで襲撃されてる事には中々気付けないんですね。
また、先にも書いたように、敵は怪物だけではなく、私欲の塊と化した教授もかなり厄介な相手です。もちろん、怪物には一緒に襲われているので、その間は仲間と言えなくもないですが、いつ裏切って、おかしな行動をとるか分からない危なさがあります。

怪物に襲われた一行は、とりあえず乗ってきたバンまで逃げて来るんですが、そのバンはすでに怪物の襲撃を受けていて、タイヤが一つパンクしているという状態になってました。
一応、怪物はそんなに力が強いわけでも、攻撃が執拗だったりするというわけでもなく、車の中にいればとりあえずは安全なようなので、一行は車の中に隠れます。でも、いつまでもパンクした車の中にいても仕方がないため、怪物の気配が止んだ隙をついて、タイヤ交換をしなくてはならないという状況になります。この「タイヤ交換のシーン」がかなり緊迫感があります。いつ見えない敵が襲ってくるのか分からない状況で、ほぼ無防備となる作業をしなくてはならないわけですからね。

この怪物はたまに姿が見える時があるんですが、その姿はオールCG。しかも、あまりいい出来じゃないと、少々難物だったりします。それに、終盤、怪物の目的が宝を追ってきているという事に気付いた一行ですが、「宝を捨てて逃げる」という選択を何故かしません。
このように、低予算映画ならではのボロはあるものの、全体的には楽しめる映画です。基本的に、B級映画は予算が無いだけで、アイデアはA級並に良かったりする映画があったりしますからね(中にはアイデアもクソも無い、ただのバッタ物もありますが、それはそれで別の意味で面白いですし)。