夕闇にベルが鳴る
<WHEN A KILLER CALLS>
06年 アメリカ映画 87分

監督:ピーター・マービス
出演:レベカ・コーチャン(トリシア)
   ロバート・バックリー(マット)
   マーク・アービンソン(マッドマン)
   デリク・オセダッチ(フランク)
   サラ・ホール(クリスティ)
   キャリッサ・ボンダー(モリー)

(ストーリー)
シッターのバイトをしてる最中のトリシアのケータイに、再三、無言電話が掛かってきていた。恋人のマットのいたずらかと思っていたが、「今夜お前を殺す」的な脅迫をされる段階になり、どうも本物の厄介事らしいと判断。警察に通報し、「自宅で出来る、お手軽逆探知」の方法を知り、それを実行する。
そうこうする間に、マットが悪友とその彼女を連れて家にやってきた。トリシアの自宅ではなく、シッターのバイト先である他人の家にも関わらず、家に上がりこむと、それぞれ愛の行為をおっ始めようとする。
そんな最中、また例の脅迫電話が掛かってきて、さも、現在の状況を見ているかのような事を言ってくる。それを無視していると、ようやく警察から逆探知の結果の通知の連絡があり、「その家から掛かってきているから、早く逃げろ」というアドバイスを送るのだった。
だが、相手はただのサイコ野郎ではなく、これまで包丁の一撃で数人を葬ってきていたスラッシャー野郎なのだ。
気付いたら、トリシアとマット以外、全員死んでるという戦慄の状況になっているのだった。

(感想)
家に脅迫いたずら電話が掛かってきて、警察に逆探知をお願いしたところ、まさにその家から電話が掛けられている事が判明する!
という、都市伝説を映画にしたものなんですが、多分、都市伝説として語られているショートストーリーの方が怖くて面白いんじゃないかと思いましたねぇ。何か、話が無駄に長いんですよ。
まず、警察に逆探知を依頼して、何者かがその家にいるという事が判明するまで、都市伝説だとほとんど間が無いんですけど、こちらは1時間以上の尺があるせいか、その事実判明までがやたら長いんですよね。しかも、その間に、その何者かが「もう、すぐそこにいて、中の様子を窺っているとしか思えない事」を脅迫で言ってきてるんで、警察から「犯人が家にいます!」と言われても、見てるこちらとしては「とっくに気付いてるよ!」と言うしかありません。気づいてないのは、標的になってる主人公達だけです。
で、この若者共も、何か、頭おかしいんじゃないのかと思うような行動をしやがってるんですよね。これが、主人公の自宅という設定ならいいんですけど、シッターのバイトで来ている、他人の家ですよ。二階では幼い女の子が寝ているというのに、2組のカップルが本番行為を始めようとしてるんですよ。何考えてんだコイツら。まあ、幸い、殺人鬼の乱入により、途中で阻止されますけどね。

と言うわけで、「バカばっかりが出てくる、話を無駄に引き伸ばしたストーリーの映画」という印象でした。簡潔に言うと、くだらない映画という事なんですけど、実は、「これは凄い!」と思うような点もありました。
それは、この襲ってくるスラッシャー野郎なんですけど、普通、この規模の映画の場合、犠牲者なんて2,3人、多くても5人ぐらい出ればいい方じゃないですか。それが、コイツは劇中、10人以上を殺傷するんですよね。それも、ナタだとかチェーンソーみたいな殺人的な凶器を使ってるわけでもありません。包丁一本ですよ。もう、「ナイフを持ったランボー」並の殺人能力です。
そして、コイツの慈悲の無さっぷりもかなりのものでして。と言うか、製作者の慈悲の無さが凄いのか。普通、どんな惨い内容のホラーでも、子供は殺さないじゃないですか。例えそういうケースがあったとしても、殺すシーンだとか、血にまみれた死体を映すなんて事はまずしないと思うんですけど、この映画ではそれをやっちまうんですよねぇ。何て大胆なんでしょう。
多分、このスラッシャー野郎は、こんな微妙な内容の映画ではなく、もっと派手な映画に出るべきでしたね。例えば、湖畔のキャンプ場が舞台の映画とか(笑)。