監督:ジョー・リンチ
出演:エリカ・リーセン(ニーナ)
テキサス・バトル(ジェイク)
ヘンリー・ロリンズ(デール・マーフィ)
ダニエラ・アロンソ(アンバー)
スティーヴ・ブラウン(ジョンジー)
アレクサ・パラディノ(マーラ)
マシュー・カリー・ホームズ(マイケル)
クリスタル・ロウ(エレーナ)
キンバリー・コードウェル(キンバリー)
(感想)
お笑いの要素の一切無い、本気印なホラー映画としてかなりの面白さを誇っていた『クライモリ』ですが、その前作に勝るとも劣らない良作でした。
実のところ、前作があれだけ面白かったんで、「あれ以上に面白いという事は無いだろう」とあんまり期待していなかったんですが(劇場公開もされませんでしたし)、いやぁ、本気度は前作以上でしたね。
何がどれぐらい本気なのかと言いますとですね。もう、そのグロさがたまらないレベルに到達しちゃってるんですよ。最近、『ソウ』やら『ホステル』やら、グロい映画がちょっとしたブームになってますけど、そのブームに乗って「今ならこれぐらいやっても大丈夫だろう」と思ったんでしょうかね。もはや、ドイツ製のグチャグチャスプラッターレベルのグロが大登場してしまいました。製作陣の皆さん、ちょっとハリキリ過ぎたんじゃないんだろうか(笑)。
スプラッターにも、気持ちのいいスプラッターと、不快感を伴うスプラッターというのがあるんですが、この映画はかなり後者寄りでしたね。臓物関連の出番もかなり多かったですし。時には、あまりのスプラッシュ加減に笑ってしまうような場面もあったりしたんですが。
個人的には、是非ともシネパトスで見たかったんですが(前作を見た映画館です)、これは、劇場公開出来ないですよねぇ。私も、同じ劇場にいる客にゲロ吐かれたら困りますし(まあ、この映画をわざわざ映画館に見に来るような輩はみんなこういうシーンは大好きか)。
まず、第一の犠牲者の死に様からしてかなり強烈でした。斧で体を縦に真っ二つという、私も映画ではこれまでに一度しか見てない「縦切り」パターンですよ。『北斗の拳』とか、マンガならしょっちゅう出てきますけどね。ちなみに、この“縦切り”を前に見たのが『バーサーカー』という映画で、そこでは少年が真っ二つにされてました(コイツもかなり無茶してた映画だったな・笑)。ですが、『バーサーカー』の縦切りがCGで表現されていたのに比べ、こちらは人形を使った実写でしたからね。それも、制作費の少ないB級未公開映画じゃないんで、かなりリアルな人形ですし、見せ方もちゃんと人形っぽさを見せない角度から撮られてるんで、本当に、人が縦に二つになったみたいでしたよ。しかも、ご丁寧に、二つに裂ける前に臓物軍団をボチャボチャ落とす場面も忘れずに入れてくる念の入りようです。
と、グロ方面は、近年稀に見るぐらいの快調っぷりでしたが、その他の点も中々良く出来ていました。まず、敵となる奇形狂人一家ですが、こいつらが、ただの強靭な狂人というだけでなく、「お前はウルヴァリンか」と言いたくなるような、脅威的治癒力を持っているんです。「傷が瞬時に癒える」みたいな事ではないんですが、骨が折れてもすぐに元に戻ったりだとか、普通なら気絶させられるほどのクリティカルヒットを食らわせても、すぐに起き上がってきたりだとかで、タフさがジェイソンクラスなんです。しかも、そんなのが数人で群れをなしてるんだから厄介この上無しですよ。
ともかく、一般人では格闘戦で勝てないとは、かなり手強い設定です。もう、これだけでも十分なのに、さらに、武装してるんですよ、コイツら。銃はあまり持ち歩かないですが、矢を放ってきたり、結構な命中率で斧を投げつけてきたりと、「お前ら、どんだけ強い設定だよ」と言いたくなるぐらいです。ついでに、こっちが投げつけた槍を素手で掴むという反射神経の良さも持っていましたね。
こんな奴らが相手じゃ、普通の人々なら30分もたないんじゃないかと思ってしまいますが、まあ、どうにか頑張って逃げるわけですよ。登場人物に対する危険度が半端じゃないんで(しかも、もし捕まったらスーパーグロシーンの出番です)、思わず手に汗握って見てしまいますね。
その登場人物ですが、総勢10人近くと、かなりの人数です。でも、その内のほとんどが「さっさと死んでいいよ、コイツ」と思うような、実に感情移入しにくい、イヤな奴らだったりするんですよね。もう、誰がいつどこで死んでもおかしくない感じですが、逆に、誰が生き残るのかが全然読めませんでした。
ですが、中盤ぐいらになると、「この辺りが生き残りそうだ」というのがだいたい絞れてくるうえに、イヤな奴かと思っていた登場人物の内面がちょっとづつ分かってきて、「案外イイ奴かも」と思えてきたりもするんです。ストーリーが進む毎に段々と盛り上がってきてるみたいで、いよいよ映画の展開に釘付けになってきます。
そして、このサバイバルゲームに協力者的な立場で番組に参加している、元海兵隊員のマッチョマンがいるんですが、こいつの存在が、もはやこの映画のキーマンみたいになってましたね。いきなり敵にやられてとっ捕まった時はどうなる事かと思ったんですが、そこからなんとか抜け出して、狂人達や、ソイツらに追われてる他の参加者達とは別行動で、密かに反撃の機会を窺うという立場に行くんです。この男の活躍如何によって、後のストーリーが大きく変わってくるんで、かなり動向が気になる存在でしたね(結局、この男が何をやってくれるのかは見てのお楽しみという事で)。
あまり「怖い」という事は無かったんですけど、グロくてエキサイティングで面白い映画でした。
2作目でここまで快調となると、やっぱり、3作目にも期待してしまいますね。果たして作ってもらえるのかどうか(そして、この好調さが3作目でも維持されるかどうか)。