X−ファイル ザ・ムービー
<THE X-FILES:THE MOVIE>
98年 アメリカ映画 121分

監督:ロブ・ボウマン
製作・脚本:クリス・カーター
製作:ダニエル・サックハイム
音楽:マーク・スノウ
出演:デビッド・ドゥカブニー(フォックス・モルダー捜査官)
   ジリアン・アンダーソン(ダナ・スカリー捜査官)
   ウィリアム・B・デイビス(シガレット・スモーキング・マン)
   マーティン・ランドー(ドクター・カーツウェル)
   ミッチ・ピレッジ(スキナー副長官)
   アーミン・ミューラー=スタール(何か暗躍してる人)

(あらすじ)
Xファイル課が閉鎖され、普通のFBIがやるような任務をする事となったモルダーとスカリー。だが、関わったビル爆破事件の背後に何やらXファイル的な陰謀があるらしい事を、モルダーはバーに来ていた怪しい老人から聞き出すのだった。
一方、宇宙人の移民計画に関与している、とある政府の組織の間で、「異星人のウイルスが突然変異を起こしてしまった」という問題が持ち上がっていて、対応に追われていた。
そして、モルダー達が調べていた事件は、裏ではこの異星人ウイルス問題と関連していたのだ。
FBI上層部からの嫌がらせや、ハチの大群の襲撃などの障害を乗り越え、どうにか真相に辿り着こうと頑張るモルダーとスカリー。ついには南極に遠征に行くハメになったりするのだった。

(感想)
大人気テレビシリーズの映画版です。それも、ただのテレビシリーズの映画版ではありません。『X−ファイル』の映画版です。『X−ファイル』と言えば、当時私が大ハマりしていたドラマですよ。
最近、『24』やら『CSI』など、非常にレベルの高い海外ドラマがいくつも生まれてきていますが、その中にあっても、私にとっては『X−ファイル』が最高のテレビシリーズだったと言い切れるぐらい、このシリーズは特別な存在なのです。
何と言っても、題材が最高なんですよね。世の中にある不思議な事に対する興味、好奇心に応えてくれる内容で、ホラー映画好き、超常現象好きである私にとって、まさに最高のネタが満載です。
また、シリーズ中のネタには、過去の有名無名ホラー映画から頂いたと思しきエピソードがあったりするんですが、同じようなネタでも、その元の映画よりも、この『X−ファイル』で出てきたネタの方が圧倒的に面白いと思える事もしばしばでした。それぐらい、一つのエピソードに対する作りこみ度が半端じゃなかったんですよね。
さらに、主役二人の魅力度も最高でした。キャラクター付け、性格設定が思いっきり正反対で、事件に対する二人の対応の対比がまた面白かったりするんですよ。
モルダーの方は、超常現象信奉者で、抜群の“勘”を持っています。一方、スカリーの方は科学の信奉者で、抜群の知力を持っているんです。超常現象を信じる人も信じない人も、どちらも楽しめるような配慮のように思えますが、『X−ファイル』の中では、超常現象は確実にある、という前提になっています。私はモルダー派の人間なんで、この「出来る限りのリアリティを持ちつつ、超常現象を“存在する”として作られたドラマ」というのが楽しくてしょうがないんですよね。

このように、私は完全な「『X−ファイル』信奉者」なわけですが、では、この映画版が最高に面白かったのかというと、実はそうでもないんですよねぇ。
テレビシリーズでは、色々なジャンルのエピソードが出て来るんですが、中でも私が一番面白く無いと思っていたのが、「陰謀、UFO物」のエピソードです。で、この映画版で描かれるのが、このタイプのストーリーなんですよ。
UFO関連は、まあ別にそんなに嫌いじゃないんですが、政府の陰謀に関する話はあんまり興味が湧かないんですよね。だいたい、陰謀は超常現象じゃないですし。
しかも、この映画版のストーリーは、テレビシリーズの『シーズン5』と『シーズン6』の中間、橋渡し的なエピソードとして作られているんです。何しろ、シリーズ中、結構重要だった人物がこの映画版で死んだりしますからね。シリーズを見続ける上でも重要なエピソードとなるわけです。
でも、この映画の公開当時、私はまだ『シーズン5』を全部見終えてなかったんですよ。さらに、私の苦手な陰謀関連がメインのストーリーとあって、第一印象があまり良くなかったんですよね。
で、『シーズン5』も『6』も見終えた後なら面白く見られるのかと言うと、まあ、結局、内容自体「いつもの陰謀話」と大して変わらないわけで、あんまり「今見れば面白い!」とも思えないんですよね。
もちろん、つまらないわけじゃありません。ストーリーのスケールも結構デカいですし。でも、このシリーズの強みである「不思議な事に対する好奇心を満たしてくれる」「主役二人が魅力的」のうち、後者しか感じられないのは痛いです。せっかくの豪華な映画版なのに。
出来れば、他のジャンルのストーリーで映画版を作ってもらいたかったですねぇ。それも、映画のみで完結している独立したストーリーで。そういう内容の『ザ・ムービー2』が作られてほしいものです(後に作られる事となりましたが、「完全にブームの過ぎ去った後」という寂しさのある映画となっていました・・・)。