監督:マイケル・ベイ
製作:ジェリー・ブラッカイマー
ゲイル・アン・ハード
マイケル・ベイ
音楽:トレバー・ラビン
主題歌:エアロ・スミス
出演:ブルース・ウィリス(ハリー・スタンパー)
ビリー・ボブ・ソーントン(ダン・トルーマン)
ベン・アフレック(AJ・フロスト)
リヴ・タイラー(グレース・スタンパー)
ウィル・パットン(チック)
スティーブ・ブシェーミ(ロックハウンド)
ピーター・ストーメア(レヴ・アンドロホフ)
ウィリアム・フィクトナー(ウィリアム・シャープ大佐)
マイケル・クラーク・ダンカン(ベアー)
オーウェン・ウィルソン(オスカー)
キース・デビッド(キムジー将軍)
ケン・ハドソン・キャンベル(マックス)
ジェシカ・スティーン(ワッツ操縦士)
いち早く小惑星の存在に気付いたNASAは、スペースシャトルで小惑星に降り立ち、掘削のプロに穴を掘らせて中に核爆弾をしかけ、内部から爆破し破壊するという作戦を思いつく。
そこで、アメリカ一の掘削の達人である、ハリー・スタンパーとその仲間達を招集するのだった。
(感想)
これぞまさに超大作!と言わんばかりにスケールの大きなストーリーが素晴らしいです。隕石襲来のパニック映画ですが、パニック映画というよりも、超大作映画といった方がしっくり来る内容ですね。
映画のスケールもデカければ、登場人物もかなり多く、上映時間も長い。そして主演は大スターブルース・ウィリス。こんな映画を監督し、まとめ上げるのが、ハリウッドの大作映画嫌いの映画ファンにとって公開当時最強の敵だった、マイケル・ベイ&ジェリー・ブラカイマーコンビです。
で、この映画でも期待通り(?)“宇宙でも大量の火花を上げる”という、超力技で強引に料理してしまいました。もはや、「キレイにまとめあげる」というつもりは初っからなかったかのように、長い上映時間の間、「これでもか!」とばかりに見せ場のシーンをただただ放り込んできます。それも、シーンを積み重ねているという感じではなく、放り込んでるという印象で、これが“イベント映画だ”というのを考慮に入れても、「いくらなんでも雑過ぎるだろう」と思うぐらいです。
これで見せ場のシーンが中途半端な出来なら、見るも無残な映画になったところですが、これがまたいい出来なんですよね。CGのレベルも高いですし、背景で鳴る音楽もカッコいい。
そして、ドラマ面に関しても、ただ単に畳み掛けるように描写されてるように見え、無駄に上映時間を長くしてるように思えるんですが、これがまた分かり易い人物描写ばっかりな為、見ているうちに登場人物にしっかり感情移入出来てたりするんですよね。
そして、そんな登場人物達が後半、次々死んでいくところには思わず目頭が熱くなってしまいます。特にラストの「核爆破の遠隔操作装置が壊れて、誰か一人残らなければならない」という展開になり、くじ引きで決まったAJを押しのけてハリーが残るシーンは感動的でした。ただ、いかにも「さあ、泣いてください」と言わんばかりの製作側のあざとい演出意図に一瞬興醒めしかけるんですが、ベン・アフレックのベスト演技といっても過言ではない、ここの“泣き演技”を見せられては、もうもらい泣きせずにはいられないです。もちろん、ブルース・ウィリスのヒーロー演技も最高でした。
そして、ハリーが爆破スイッチを押した瞬間、脳裏に愛する娘の姿が走馬灯のように蘇る、これを映像で映したのは素晴らしい演出でしたね。それも、見ることの出来なかった“結婚式”の場面をここでハリーが見ているというのが何かもうたまらなく感動的です。
やっぱり、こういう見せ場のシーンの見せ方はうまいですね。これに関してはマイケル・ベイは天才的だと思います。
中盤の、“いよいよ宇宙に飛び立つ!”というシーンの緊張感もよく出てましたし、スペースシャトルが飛び立つシーンの迫力も凄かったです。また、このシーンは音楽も鬼のようにカッコ良かったですね。
この映画を見てると「緻密なだけが映画制作じゃないんだな」と思わせてくれますね。ただ単に見せ場のシーンを積み重ねただけで作られてるような映画ですからね、これ。
この映画における登場人物のドラマ面は、個人的には凄くよく出来てたと思います(まとまってはいないですが)。登場キャラクターもそれぞれ個性的で面白いですしね。
“掘削人”という、肉体労働のブルーカラーな連中が地球を救うというストーリーも面白いです。ちなみに、「そんな事が実際に出来るかどうか」はこの際関係無いです。要は、見た事の無い映像を(小惑星で穴を掘るとか)エンターテイメントとして見せてくれるかどうかですよね。
徹底的にリアルな映画が見たい人はハリウッドの大作映画なんて最初から見なければいいんです。
それにしても、掘削のプロ役を演じたブルース・ウィリスは名演技でしたね。この映画を初めて見たときは、久々に“本当にカッコいいブルース・ウィリス”を見たような感じがしたものです。このブルース・ウィリスの存在感で、映画のグレードもかなり高められてましたね。
やっぱり、こういう大規模の映画を撮るなら、ブルースクラスのスターを主演に据えないとダメですよね。もしノー・スター映画だったら、何か大事なものが抜けてるような、物足りない感じが出てしまった事と思います。
他のキャストに関しても今見るとかなり豪華ですね。この映画の公開当時はほとんど初めて見る顔でしたが、この後スター街道まっしぐらとなるベン・アフレックを筆頭に、『グリーン・マイル』のマイケル・クラーク・ダンカン、『シャンハン・ヌーン』のオーウェン・ウィルソンなど。そう言えば、私がビリー・ボブの姿を見たのもこの映画が最初でした(『沈黙の要塞』にも出てるらしいですが、どこに出てるのか分からないぐらいなのでノーカウント)。
また、スティーブ・ブシェーミ、ピーター・ストーメアの『ファーゴ』コンビはどちらもイカしてましたし、『ポストマン』では悪役としてケビン・コスナーを苦しめたウィル・パットンも、ハリーの良き片腕として渋い脇役演技をしてました。
やっぱり、何だかんだ言っても、こういうアホみたいに大袈裟なストーリーの超大作映画はいいものですね。