監督:ロン・ハワード
音楽:ハンス・ジマー
出演:ウィリアム・ボールドウィン(ブライアン・マカフレイ)
カート・ラッセル(スティーブン・マカフレイ)
ロバート・デ・ニーロ(ドナルド・リムゲイ)
スコット・グレン(ジョン・アドコックス)
ジェニファー・ジェイソン・リー(ジェニー)
レベッカ・デモーネイ(ヘレン)
ドナルド・サザーランド(ロナルド・バーデル)
J・T・ウォルシュ(スウェイザク市会議員)
ジェイソン・ゲドリック(ティム)
(感想)
消防士を主人公とした、サスペンス・アクションの傑作です。どう考えてもパニック映画ではないですが、「火災」という災害を扱っているので、アクション映画の感想コーナーではなく、こっちのパニック映画コーナーの方に含めてみました。
この映画が公開されたのは、まだ私が映画ファンになりたての頃で、当時は劇場に見に行く映画の本数も、年に10本に満たない程度でした。見に行くのは有名スターが出ていたり、知ってる映画の続編ばかりだったんですが、そんな中、この映画が確か初の、「続編でもなければ、知ってる俳優も出てないのに見に行った映画」でした(当時はカート・ラッセルはおろか、デ・ニーロすらも知りませんでした。ただ、カート・ラッセルの方は顔だけは知っていましたね。多分、『ゴーストハンターズ』辺りをテレビ放映で見ていたんだと思います)。
面白いのかどうかも分からずに見に行った映画がこんな大当たりの傑作だった為、今でも印象深い映画の一つですね。
それに、火災現場のシーンの迫力が、これまでに見たアクション映画の迫力シーンにも勝るぐらいの凄いものだったので、かなりのインパクトを受けたものでした。
炎が突如としてバーっと引いたと思ったら、次の瞬間、背後からドカーン!と迫って来るシーンの迫力は、今見ても凄いと思います。
そして、炎がまるで生き物のように襲い掛かってくる様は、見てて本気で怖かったです。恐らく、私がこれまで映画館で見た映画の中において、「見てて恐怖を感じた映画」のベスト3に入るんじゃないかと思うぐらいにビビッてしまいました。映画が終わった後も、その衝撃の強さでしばらく立てなかったですからね。
そして、その炎に立ち向かう消防士達がやたらとカッコ良く見えましたね。カート・ラッセルなんて、その炎の動きを“読んで”しまってるんですからね。まさにヒーローといった感じでした。
消防士が主役の映画としては、05年の『炎のメモリアル』の方が、さらに消防士という職業を深く掘り下げて描いていました。
『バックドラフト』の方は、主に兄弟のドラマや、放火犯探しのサスペンスといった所に重点が置かれていました。確かに、こと“消防士を描く”事に関しては『炎のメモリアル』に一歩譲りますが、この映画には消防士というキーワードを中心に、色々な要素が詰まっている、よりエンターテイメント度の高い映画になっているんです。なので、「どっちがいい映画か」は、完全にその人の好み次第といったところでしょうね。
「消防士達が炎と対決する様がアクションシーンのように描かれている」という事で、アクション映画のような興奮もありますし、主人公が色々な寄り道をしながら最終的に立派な消防士になるという、成長のドラマ的な面もあります。
さらに、主人公兄弟の確執と和解といったドラマに、放火犯とその手口を探るサスペンスと、もうあらゆるジャンルの面白さがこの一本に詰まっているんです。
そして、そんな内容の映画なのに「ごった煮」といった印象を全く持たせないところも凄いです。
消火活動シーンは思ったよりも多くないんですが、序盤とラストに出て来る火災現場シーンの迫力は、上で書いた通り、見てて怖くなるぐらいの凄いものでしたし、映画を締めるラストシーンも最高でした。
最後に、「料理の鉄人」ですっかりお馴染みとなったサントラも、やはりあの番組で流れているよりも、この映画で流れている時の方がより生き生きとしてるように感じられますね。シーンの迫力と感動を何倍にも高めてくれる名曲でした。