ボアVSパイソン
<BOA VS. PYTHON>
04年 アメリカ映画(テレビ用) 91分

監督:デビッド・フローレス
出演:デビッド・ヒューレット(エメット博士)
   ジェイミー・バーグマン(モニカ・ボンズ)
   カーク・B・R・ウォラー(アラン・シャープ捜査官)
   アダム・ケンドリック(ブロディック)
   エンジェル・ボリス(イヴ)
   マリアナ・スタニシェヴァ(コゼントーヴァ)
   グリフィス・ファースト(ジェームズ)
   イヴォ・ナイデノフ(リトルフィールド)
   ジョージ・シェーフィー(ダナー)
   ナスコ・スレブレフ(フォーリー)
   ハリ・アニチキン(テックス)
   ジェフ・ランク(ケント・ハンフリー)

(あらすじ)
若きカジノ王のブロディックは、どこかからか巨大パイソンを手に入れ、それを獲物としたハンティングゲームを開催する事を計画していた。だが、移送途中にパイソンが逃げ出し、町の浄水場に隠れてしまった。
ブロディックは速やかに計画を変更、その浄水場周辺にハンター達を集め、ここでハンティングゲームを始める事にするのだった。

一方、巨大な蛇が逃げ出した事を突き止めたFBIのシャープ捜査官は、研究所で飼育されている巨大ボアに探知機を付け、巨大パイソンを探させようという作戦を思いつくのだった。

(感想)
もう、タイトルからして素敵な映画ですが、その内容もかなりファンタスティックでした。CGの巨大ヘビが暴れまわる映画はこれまでも作られてきましたが、流行りの「VS物」の要素を実に上手くヘビ映画に取り込んだなと思いましたね。数あるヘビ映画の中でもかなりのレベルのものだと思います。
「アメリカのとある町に巨大ヘビが現れる」というのは、この手の映画ではよくあるストーリーだと思いますが、そのヘビを捕まえる為に採った作戦が、「別の巨大ヘビを持って来て、そいつに探させる」というのが面白いですね。
普通、一匹出ただけでも大騒ぎな巨大ヘビですが、そのうちの一匹は金持ちがどっかで見つけてきたものですし、もう一匹は研究所で飼われていたものです。もう、巨大ヘビが存在している事が当たり前の世界になってるんですね(笑)。

ヘビの捕獲を目的とするメインの登場人物は、FBIのエージェントと研究用に飼育している巨大ボアを提供してくれたヘビ学者、そしてボアに取り付ける探知機を開発した女科学者の3人ですが、これ以外にもメインキャラがいて、そいつはヘビを狩る事を目的としています。
それは、この巨大パイソンの所有者で、コイツを獲物としたハンティングゲームを計画しています。他にも、思い思いの武器を装備した個性豊かなハンター達がいて、一緒に巨大パイソンを追っているんです。
普通の動物パニック物の映画では、基本的に登場人物は襲ってくる動物からは逃げるもので、反撃に出るのはせいぜい中盤以降といったところです。ですがこの映画に出てくる2グループの登場人物達は、どちらも最初から追う立場にいるんですよね。それに、最初から相手の正体が分かっているというのも案外珍しいです。と言う事で、見ていて、よくある動物パニック映画とは、どこか雰囲気が違う感じがありましたね。

このジャンルで劇場公開されたのは『アナコンダ』シリーズぐらいですが、同時期に作られた『アナコンダ』の続編よりも、むしろこの映画の方が色々な面で凝った所の見受けられる、いい映画でしたね。確かに、映画としての質は『アナコンダ2』の方が上でしたが(製作費の違いやスタッフの質の差でしょうね)、何というか、こっちの方が「面白い映画を作ってやろう」というスピリットが感じられるんですよね。単に「安易に流行の“VS物”の要素を取り入れてみた」というだけで終わっていないんです。

さて、パイソンとボア、2匹の巨大ヘビは当然CGで描かれるわけですが、残念ながらかなり安いCGです。ヘビの襲撃シーンに怖さが全然足りないんですよね。と言うか、むしろ丸っこい顔をしてて可愛らしかったです。
クライマックスでは地下鉄の駅を舞台に、本当にタイトル通りにボアとパイソンが対決するシーンが出て来たりします。B級映画でこんなタイトル付けられると、「でも実際は戦うシーンなんて無いんだろうな」と思ってしまう所ですが、今回はちゃんと戦ってくれてました。。
それはいいんですが、やっぱりCGが安いせいで迫力が全然無いんですよね。ストーリー面でかなり頑張っていただけに、この肝心な所で視覚的に盛り上がらないというのはとても残念です。
その代わりと言ってはなんですが、この2匹の戦いに、マシンガンを持った半裸のマッチョが紛れ込んでたりするんですよね。ほんと、「見てる人を楽しませよう」という製作側の思いが隅々まで行き届いていますねぇ。その直前には火炎放射機をボーボー放っていたりと、かなり熱い事になってました。もう、CGの安さによる迫力減をここで取り返してやろうと言わんばかりです。
そして、コイツの死に際の言葉が最高でしたね。「2匹のヘビに同時に食いつかれる」いう壮絶な最期なんですが、その直前に「俺を食って窒息しやがれ!」とか言ってましたからね。お前は『死霊のえじき』のローズ大尉か(笑)。