グランド・ゼロ 感染源
<CONTAGION>
00年 アメリカ映画(テレビ用) 95分

監督:ジョン・マーロウスキー
出演:メーガン・ギャラガー(ダイアン・ランディス博士)
   ブルース・ボクスレイトナー(ハワード大統領)
   リン・シャイヤ(ローラ・クラウリー)
   ジェフリー・コムズ(ブラウン)
   マッテオ・クリスマニ(ダスティン・バーク)
   ダン・ラウリア(ライカー将軍)
   デビッド・ウェルス(デル・マクスウェル補佐官)
   ランディ・ロウェル(ドクター・アモス)
   カール・ジョンソン(ドクター・ウェイン・フェリン)
   ティム・ヴァン・ペルト(モーガン院長)
   ボビー・レイ・シェイファー(ウォレス警備員)
   デビー・アン・トーマス(看護婦ワシントン)

(あらすじ)
大統領が狙撃される事件が発生!だが、撃たれたのは銃弾ではなく、ダーツの矢だった。そして、その矢にはウイルスが塗ってあったのだ!しかも、犯人からの電話の犯行声明によると、そのウイルスはエボラだというのだ。
病院に収容された大統領の元に、ウイルス界の権威である、ダイアン・ランディス博士が呼び寄せられた。そして、大統領に撃たれたのはただのエボラではなく、感染力の強い新種のエボラである事に気づく。
さらに、後に空気感染をする事も発覚し、事態は院内だけでは済まない状態へと発展するのだった。

(感想)
何というか、かなりレベルの低い映画ですね、これは。と言うか、限りなくテレビドラマに近いテレビ映画とでも言うんでしょうか。
主人公は、バツイチの仕事一筋人間の女性。そして、大統領の治療にあたるうちにだんだんといい仲に・・・。これは、主婦向けの話か何かなんでしょうか。
その主人公を演じるのが、テレビシリーズ『ミレニアム』でランス・ヘンリクセンの妻役でレギュラー出演し、セカンドシーズンの物語をメチャメチャにしてくれたメーガン・ギャラガーでした。そのトラウマのせいか、この人の顔を見るだけで嫌な気分になってきます。まあ、この人のせいじゃなくて、脚本のせいだったんですけどね。
ともかく、そういう「嫌な思い出」のある人が主演というのはちょっとツラかったですね。ただ、幸いこの映画では、ステレオタイプなスーパーヒロインという、特に箸にも棒にも引っ掛からないような役所だったせいか、あまり嫌みな感じは無かったですけどね。

敵となるテロリストは、この主人公の影ともいうべき、悪いウイルス学者のおばさんなんですが、こちらは、まるでコミックヒーローの悪役のようなやたら派手な演技をしてましたね。演技も顔もかなりクドくて、アップのシーンでは思わず画面から目を逸らしたくなるほどです。

また、病院内をウロウロしていて、喋り出すとやたら台詞が多いという、見ていて鬱陶しい少年がいるんですが、コイツが終盤、思わぬところで話の中心に上がってくる事態になります。
何と、コイツは過去にエボラに感染した事があり、それを生き延びた為に、体内に抗体が出来てるんです。なので、コイツからワクチンを作ることが出来るらしい。という事で、ダイアン博士がコイツを探しに行くんですが、さっきまでは呼んでもいないのにひょこひょこ現れてたくせに、いざ必要となると姿を見せなくなるんです。まったく、腹立たしい事この上なしです。
しかもこの時、ウイルスが病院から抜けて、風に乗って町に向かうのを防ぐために、大統領は病院ごと気化爆弾で消滅させようとしているという状況です。爆破の時間まであと数分なんですが、ワクチンが作れるのなら爆破を止めさせる事が出来るんです。
そんな状況なので、ダイアンは院内放送で呼びかけるんですが、こんな時に限ってこのアホタレは大音量で音楽を聴いてるんです。そんな事、今のいままでやってなかったクセに(笑)。多分、緊迫感を出そうとしてのことなんでしょうが、これでは緊迫感どころか、見ていてイライラがつのるばかりですよ。

と、まあ全体的に困った映画ではあったんですが、見どころもあるにはありました。それは、敵のテロおばさんに、もう一人男のテロリストが仲間にいるんですが、演じてるのが嬉しい事にジェフリー・コムズです。レベルの低い映画を見てしまった時でも、この人が出てるのを見ると、何となく得したような気になります。
そして演じるのは、テロリストと言うよりも、ただの犯罪者と言った方が相応しい小悪党で、「スイスの銀行に一億ドル振り込めッ!」という素敵な、それでいて似合わないセリフを吐いてくれました。
この、デカい犯罪を頑張ってやってるコムズの姿を見てると、思わずこっちの方を応援したくなってきてしまいます。