監督:アンソニー・ヒコックス
出演:ウィリアム・ハート(デイビッド・ホイットマン)
ナターシャ・マケルホーン(ホリー・アンダーソン)
ピーター・ウェラー(ヨセフ・ミュラー)
マイケル・ブランドン(ワイルズ)
ジェラルディン・マクエワン(リリアン・ロジャース)
デスリー・ノスブッシュ(ケリー・ホイットマン)
カティア・ウォイウッド(カリン)
激しい追跡劇の末、デイビッドはヨセフを説得し、血清の注射をもうすこしでしてやれるところまでいったのだが、ワイルズに邪魔をされてしまった。怒ったヨセフは、貯水池に自分の血を流すという、本当のテロ行為をしようとするのだった。果たしてデイビッドはヨセフを止められるのか!?
(感想)
この手の映画にしては中々豪華なキャスティングです。ただ、その内容はかなり地味目でしたね。全体的に、一昔前のサスペンス映画っぽい感じの演出になってて、スピード感のようなものはあまりなく、ジックリと話が進んで行くという感じです。
この映画の細菌はトラノキシン3といい、この菌を持っている人は一週間で脱水症で死んでしまいますが、治療は比較的簡単です。ですが問題があり、この菌は保菌者の体内で変化をして、保菌者に直接触れられると、その触れられた人は1時間も持たずに神経系と呼吸器系の麻痺で死んでしまうんです。また、保菌者の血液に触れても同様の結果が待っています。
何だか、テロリストが好みそうな細菌ですね。特に、菌を持ってる自分自身には死の危険がそれほど無いというあたり。
ですが、この映画でこの菌を体内に持ったままハンガリーの町を逃げる人物はテロリストではなく、離婚で妻と息子を失い、リストラで職を失った、まさに無い無いづくしの気の毒な人です。しかも演じるのが、何もしてなくても気の毒そうな顔つきのピーター・ウェラーです。『ロボコップ』の時から数年経ち、今やすっかり年老いてしまってました。役柄は本来の年齢よりも上なんでしょうが、ハゲた頭にメガネという、まさにおじいちゃんのような風貌です。
さらに、菌の影響でだんだん弱っていく体に鞭打つように追っ手から逃げ、その手には息子へのお土産の模型飛行機が抱えられてるという、もう見ていて悲しくなるぐらいの哀愁が全身から出まくってました。
そして、それを追うウィリアム・ハート演じるデイビッドは、自分も過去に同じ菌に感染していて、体内にはまだ潜伏している菌が残っているという状況です。でも、これのおかげで、ヨセフに触られても死ぬことが無いんです。
その特異体質を活かして、何とかヨセフを助けようと奔走するんですが、NSAのワイルズがヨセフを“捕まえよう”ではなく“殺そう”と追いかけています。
このワイルズというキャラクター、もう、見ていて気持ちが悪くなってくるぐらいの、とんでもなくムカつく嫌な奴です。そもそも、過去にデイビッドが菌に感染し、妻と娘を死なせてしまったのも、この男が原因だったという事が語られたりします。
さらに終盤には、映画を見てる人全員が思わずブーイングをしたくなるような酷い行動を平気でとります。
こういう人物は、ウィリアム・ハート主演の映画ではなく、セガールやチャック・ノリス主演の映画で出て来てもらいたいものです。それなら、後に主人公が、観客の溜飲を思いっきり下げてくれるような天罰を与えてくれますからね。