監督:ロジャー・ドナルドソン
撮影:アンジェイ・バートコウィアク
出演:ピアース・ブロスナン(ハリー・ドルトン)
リンダ・ハミルトン(レイチェル・ワンド)
チャールズ・ハラハン(ポール)
ジェイミー・レニー・スミス(ローレン)
ジェレミー・フォーリー(グレアム)
エリザベス・ホフマン(ルース)
しかし、ハリーの勘は当たり、噴火の前触れである科学的証拠も揃い始める。そこで、住民を体育館に集め、現在迫っている危険の説明をする事となったが、まさにその集会の最中に大地震が発生。ダンテ山も大噴火をするのだった。
大量の火山灰が降り注ぐ中、ハリーは、いい仲となった美人町長の子供達が、山小屋で一人暮らしをしている婆ちゃんを迎えに行ってしまった事を知り、町長と2人でその後を追い、噴火中の山へ向かうのだった。
(感想)
自然災害系のパニック映画ですが、この系統の映画のパターンやお約束にことごとく則ったような作りになっています(もちろん、犬は生き残ります)。捻った所がまるで無いんですが、逆に安心して見ることが出来るとも言えますね。
それに、肝心の噴火のビジュアルもデジタル・ドメインによる最新CG技術(←当時としては最新)を駆使しているので、迫力満点です。
VFXのみならず、模型を使った特殊効果もふんだんに使ったり、本物の建物を崩してみたりと、本物の迫力もあります。
パニック映画は、ついノー・スターで作ってしまいがちですが、この映画ではピアース・ブロスナンというスターを主演に据えています。この辺が、同じくユニバーサル制作のパニック映画『ツイスター』と大きく違う点ですね。個人的に、パニック映画をノー・スターで撮って成功したのって、『ディープ・インパクト』ぐらいなんですよね。やっぱり、この手の映画はスターが引っ張ってくれた方が見てて面白いです(個人的に)。
ミスター・007ことピアース・ブロスナンは相変わらずダンディでしたね。美人町長(という設定)のリンダ・ハミルトン演じるレイチェル町長もその魅力にメロメロになってしまいます。
火山が噴火するまでの前半部分では、ブロスナン演じるハリー他、地質調査所の面々が山の調査をする場面と平行して、この2人のロマンスも描かれて行く事となります。
ヒロインがリンダ・ハミルトンですが、今回は映画にキャメロンが関わってないせいか、マッチョ女ではなく、普通の人でした。何か、この人が普通の人を演じてるというだけで、映画自体にも珍しいような雰囲気が出ますね(でも、フィルモグラフィーを見たら、マッチョ役の方が少ないんでしょうけどね)。
そんな2大スターのロマンス・シーン、別に見ててつまらなくは無いんですが、正直、「早く噴火してくれ」と思ったりも(笑)。
調査のシーンでは所々に火山についての解説が出てきたりと、「火山とはどういうものなのか」「噴火の前はどんな感じになるのか」といった興味にも応えてくれる作りになっています。何でも、監督のロジャー・ドナルドソンは映画監督になる前は地質学者を目指していたとかで、こういった描写はなるべくリアルに撮りたかったそうですね。
ですが、多分終盤の、溶岩や火砕流から逃げるシーンなんかは、映画的に映えるような場面作りをしてるんでしょう。何しろ、ドキュメンタリーではなくて、パニック映画ですからね。
そんな訳で、終盤は主人公達に次々と危機が襲ってきます。スクリューが溶けるほど煮立った湖をボートで渡ったり、溶岩の上を車で通ったり。多分、実際に遭遇したらまず助からないと思われるような状況ですが、こういう所では、主演がスターだと説得力が出るんですよね。「こいつなら何とかしてくれるに違いない」と思えますから。
例えばこの映画では、ハリーの運転する車が、川を横断出来たり、溶岩の上を走行出来たり、凄いスピードで迫ってくる火砕流から逃げ切れたりするのも、運転してるのがブロスナンなせいで、「この車もきっとボンドカーみたいに高性能なのに違いない」と思わせてくれますからね。