監督:クリスチャン・バルツハーバー
出演:アン・キャスリーン・クラマー(ソニア)
ロボルト・スタッドローバー(ヤン)
ライナー・シェーン(ニールセン博士)
マックス・ヘルブレヒター(ケスラー博士)
(感想)
ドイツ発のテレビ映画です。『アイトブレイク』のヒット以降、細菌を扱ったB級映画なりテレビ映画なりが次々製作されましたが、その大抵が、主人公は学者や医者など、ウイルスや病気に関わりのある職業の人物でした。
それが、この映画ではただの主婦が主役です。という事で、「ウイルスの感染が拡大!死者多数!」とか「軍が出動し、町を隔離!」と言った規模のデカい話には最後まで発展しません。
それに、ウイルス(この映画の場合はインフルエンザ)で主要人物が死ぬという場面もなく、ウイルス自体はこの映画では脅威の対象にはなっていないんです。
内容は「火曜サスペンス」みたいな2時間ドラマといった感じで、「ただの主婦が警察を差し置いて真犯人を探す」という話です。なので、映画的な興奮みたいなのを求めると大いにガッカリする事となります。
ただ、これを初めから「テレビドラマ」として見たのなら、期待通りの面白さはあると思います。地位も権限も無い主人公が、いかに敵の陰謀を暴いていくか、というサスペンスがなかなか面白いです。
主人公のソニアは、主婦と言ってもまだ結構若いです。そして、血の繋がってない息子であるヤンとは全くうまくいってません。ヤンは微妙な年頃で、「継母」という存在事態に妙に敵対心というか警戒心を持っているという、よくあるタイプの若造です。
ですが、二人でケスラーの死の真相を探るうちに、わだかまりもどんどん解けていくこととなります。
この辺、いかにもテレビ的なドラマという感じですが、見ていてつい引き込まれてしまいます。
この映画のウイルスは新種のインフルエンザという事で、感染のスピードもかなり速いようです。
普通はこの手のウイルスは、まずアジア方面から広がっていき、それがヨーロッパに到達する頃にはワクチンが出来ている、という事らしいです。
それが、なぜいきなりドイツで広まったのかと言うと、研究所の陰謀のせいらしいんです。なぜ研究所がそんな事をしたのかは、実はよく分かりませんでした(笑)。事故だったのか、意図的なものなのか・・・。多分、劇中で語られてたと思うんですけどね・・・。
菌自体は、1918年の“スペインかぜ”の犠牲者から取り出したものらしいです。元々はそれから何かのワクチンを作るという計画だったものの、結局中止になってしまいました。でも、この事件の陰謀の中心人物であるニールセン博士が勝手に計画を続行していて、その効果を見るのに人体実験をした、というような話だった気がします。
なぜ、こんなに記憶が曖昧なのかと言うと、こういった複雑な陰謀系の話は私の脳ではうまく処理しきれないからです(笑)。まあ私は、そんな裏の小賢しい陰謀話よりも、事件に巻き込まれた主人公の内面の葛藤の方に興味がある質なのでね(言い訳)。
ちなみに、話にスペインかぜが関わってくるのは、アメリカで同じ年に製作されたテレビ映画『アウトブレイク2000』でもありましたね。両作の製作する前年辺りに、実際にスペインかぜ復活のニュースでもあったんでしょうかね。