監督・製作・脚本:フィリップ・ロス
出演:ディーン・ケイン(デビッド・カーバー大尉)
クリスティナ・ベイヤーズ(メレディス・ウィンター博士)
ロバート・ザッカー(イアン・ドラコビッチ博士)
マーカス・アウレリアス(グレッグ・トラビス博士)
ロバート・ディオリオ(ケビン・コリッシュ)
博士の持って来た恐竜の骨は、何と、死後千年ほどしか経っていないものだという。その骨に残されたDNAを元にクローンを作成。すると、何と火を吐くドラゴンが誕生してしまったのだ!
元は地下核シェルターという事で出口は一つしか無く、そこへ行く通路にはドラゴンが徘徊しているのだ。果たして、脱出出来るのか!?
(感想)
恐らく、『サラマンダー』製作の報を聞き付けたとあるB級映画製作者が、『サラマンダー』劇場公開に合わせて急いで作り上げ、便乗ヒットを目論んだ、と思われる、ドラゴン映画です。
『ドラゴン・ファイター』というタイトルだけ聞くと、思わずカンフー映画かと思ってしまいがちですが、ここの“ドラゴン”は、“カンフー使いの中国人の俗称”ではなく、そのまんま“竜”の事を指していたんですね。
「ドラゴンが現代に蘇った!」というのは、やはり『サラマンダー』と同じコンセプトですが、こちらは何しろ、急いで作らなければならないわけで、脚本を練る時間なぞありません。と言うことで、“ある施設で巨大な怪物が暴れまわり、主人公達はそこから脱出するのが目的”という、『アイスランド』の焼き直しという形になってました(笑)。
ですが、さすがに同じ映画の2本目だけあって、全体的に『アイスランド』より面白くなっていました(ちなみに、この映画とは監督と主演も一緒)。
そしてこの監督、「分割画面」というものに大変ハマっているらしく、何回も何回も分割画面が出て来ます。まさに分割画面のバーゲンセールといった感じです。『アイスランド』の時はどうだったか覚えてないんですけど、向こうの感想に分割画面について書いてない所を見ると前はやってなかったのではなかろうか。もしかしたら、前回と今回の間に習得した新技で、それを試したくてしょうがなかったのかもしれませんね。
ちなみに、サスペンス描写とかに使われるわけではなく、ただ単に一つのシーンを色んな角度から映したものを同一画面で出してみたというだけで、あんまり意味の無い使い方をしています。まあ、きっと、まだ覚え立てで、ただ出すので精一杯みたいな感じなんでしょう。多分、次の似たような映画では分割画面も上手く使いこなせるようになってるに違いない。
主人公は典型的な熱血マッチョで、カンフーは使わないものの、体育会系な匂いがプンプンしている好人物です。軍人ですが、父親が科学者という事で、科学に対する知識や教養も備えている男で、「火が怖い」という微笑ましい欠点も持っています。まさに愛すべきキャラといった感じですね。
軍人のくせに教養があるという珍しいキャラクターなので、序盤の方では「おお、この映画は主人公のキャラクターがよく立っているな」とか思ってたんですけど、いざドラゴンが現れると、ほとんど普通の動物パニック映画の主役と変わらない感じになってしまい、「火が怖い」いう特性も一緒に消えてしまいました。残念。
映画のメインである、「研究所内でのドラゴンとの攻防」は、まあそれなりに面白いんですけど、やはり予算の少なさのせいか、迫力にはちょっと欠けてしまってました。
ですが、序盤のキャラクター紹介の辺りは、結構面白く出来ていましたし、終盤は戦闘機とドラゴンが空中戦を繰り広げるという、『サラマンダー』にすら出てこなかった大迫力シーンが登場します。
なので、トータルで見ると「面白い!」と言える部類に入る映画と言えそうです。
動物パニック映画だと「生け捕りを主張する科学者」がよく出てきますけど、今回は相手がドラゴンという事で、さすがにあんなのを生け捕りに出来るとは思ってないのか、そういう主張をしてくるキャラはいませんでしたね。ただ、ドラゴンを蘇らせた張本人のイアン博士が「貴重な生物を殺すのか!?」みたいな事を言ってましたが、確かに、これは殺すのを躊躇うのも分からないではないところです。何しろドラゴンですからね。
ちなみにこの人、終盤では頭がおかしくなったとしか思えないぐらい挙動不審になっていき、その姿を見てるだけで面白かったりします。
この手の映画ではよく、エンディングの直前に、今倒した生物の子供のアップを映し、「まだ惨劇は終わらない!」みたいな感じで締め!という手法が出てくる事が多いですが、さすがに今回はドラゴンなんだから一匹しかいないだろうと思うじゃないですか。それがまさか、この手の映画のお約束にきちんと則ってくるとは。あんまり貴重でもなかったのか。