スパイダー・パニック!
<EIGHT LEGGED FREAKS>
02年 アメリカ映画 99分

監督・共同脚本・原案:エロリー・エルカイェム
製作:ディーン・デブリン
製作総指揮:ローランド・エメリッヒ
音楽:ジョン・オットマン
出演:デビッド・アークエット(クリス)
   カーリー・ワーラー(サム)
   スコット・テラ(マイク)
   スカーレット・ヨハンソン(アシュリー)
   ダグ・E・ダグ(ハーラン)
   リック・オーバートン(ビート保安官補)
   レオン・リッピー(ウェイド)
   マット・ズークリー(ブレット)
   ジェイ・アーレン・ジョーンズ(レオン)
   アイリーン・ライアン(グラディス)

(あらすじ)
アメリカの片田舎、寂れた鉱山町で大事件が発生!有毒廃棄物が原因で巨大化したクモの大群が現われ街を襲撃し始めたのだ!

(感想)
これまでの動物パニック映画では、襲ってくる動物なり昆虫なりは“普通サイズだが大群”か“一匹だが超巨大”のどちらかである事が多かったです。ですが、この映画で襲ってくるクモ達は“デカいうえに大群”なんです。多分、CG技術の発達でこんな事が出来るようになったんでしょうね。
見てる方は楽しくなりましたが、襲われる登場人物達にしてみればたまったものじゃないでしょうね。以前なら動きのトロいハリボテから逃げれば良かったのに、ある時期を境に巨大なのが大群で超スピードで襲ってくるようになってしまったんですから。と言う訳で、この映画に出るハメになった町人達も、次々と餓えた巨大クモに食べられていってしまいます。

クモみたいな、見た目の気持ち悪いのが大量に出てくると聞くと、つい「そんな映画見たくない!」と思ってしまいますが、まだそんなにリアル感の無い時期のCG製のクモという事で、見た目の気持ち悪さはそれほどでもないんですよね。多分『レイダース』のオープニングのクモのシーンの方が気持ち悪いんじゃないだろうか。
そして映画自体、全体的に軽いタッチの作風で、“恐怖感”というのもほとんど無いぐらいです。CGクモ達の動きも結構ユーモラスな感じになっていますし、グレムリンやクリッターみたいな「変な声」を出してたりします。ついでに、音楽もモンスター映画っぽくなく、『マウスハント』の音楽に似た感じです(作曲は違う人ですが)。
なので、「巨大クモの襲撃シーンで観客を怖がらせよう」という意図はほとんど無い映画なんですね。あるのは、ただ「観客を楽しませよう」という事のみです。
何しろ、製作には『インデペンデンス・デイ』のローランド・エメリッヒ&ディーン・デブリンのコンビが関わってますからね。
思えば『ID4』も、「宇宙人の地球侵略」というB級な題材を派手なSFXでもって超大作に仕上げた映画でした。この映画も、「有毒廃棄物で巨大化したクモが襲ってくる」というB級真っ只中な題材にCGクモを使って派手な娯楽映画に仕上げたものですからね。
そんな映画なので、見ていて単純に「面白い!」と言える映画になっていました。これで登場キャラにもっと捻りがあれば傑作『トレマーズ』に匹敵する映画になってたかもしれないぐらいです。

また、襲ってくるクモが一種類だけではなく、飛び跳ねる奴、地中から襲ってくる奴、他の連中よりもさらにデカい奴とバリエーションがあるのもいいですね。で、それぞれに見せ場の襲撃シーンが用意されてるのも素晴らしい。
特に、ジャンピンググモが砂地でモトクロスに乗る若者達を襲撃するシーンは、スピード感もあって、アクションシーンとしてもかなり見応えがありました。特に、若者の一人が披露する“空中キック”のシーンは下手なアクション映画よりも燃えるシーンになってました。とても、直前に股間にスタンガンを食らって失禁した男の行動とは思えないような名シーンでした。
そして、超巨大タランチュラの襲撃シーンは、見せ場として力を入れて描かれていて、迫力タップリでした。トレーラーハウスを襲撃するシーンは、まるで『ロストワールド』のTレックスみたいです。

主演は『スクリーム』シリーズの保安官役でお馴染みのデビッド・アークエットですが、『スクリーム』の時以上にスクリームしてる感じです(笑)。まあ、殺人鬼一人に襲われるより、巨大グモの大群に襲われる方がイヤですからね。それにしても、ポスターやDVDパッケージに使われてる絵でのこの人の絶叫顔は絶品ですね。あまりに面白くて、このパニック映画感想コーナーのメイン画像に採用してしまいましたよ。
また、他の気になる出演陣として、冒頭には、クモを飼育してるオヤジの役で『ロボコップ2』『ラストアクションヒーロー』のトム・ヌーナンが出てましたが、あの頃と比べて普通の顔になった気がします(笑)。
そして、スカーレット・ヨハンソンとか、後にTVドラマの方で活躍する事になるマット・ズークリーなど、これから伸びる若手をしっかりキャスティングしていたりと、配役のセンスも中々の映画でした。