アルティメット・ストーム
<GALE FORCE>
02年 アメリカ映画 96分

監督:ジェイ・アンドリュース
出演:トリート・ウィリアムズ(サム・ギャレット)
   クリフ・デ・ヤング
   ティム・トマーソン
   スーザン・ウォルターズ
   マーシャ・ストラスマン
   マイケル・ダディコフ
   ポール・ローガン

(あらすじ)
一般公募された挑戦者数人が一週間、無人島でサバイバルをしながら、どこかに隠された宝を見つけ出す様を放映するアメリカのテレビ番組「トレジャーハンター」。ひょんな事から、この番組に参加するハメとなった停職中の刑事サム・ギャレット。現金一千万ドルが賞金と言う事で、本人のやる気も満々だった。
しかし、事態はとんでもない方向に進んでしまう。
挑戦者達の邪魔をする為に雇われてるはずの傭兵達が、実弾の入った銃で襲い掛かってきたのだ!さらに問題はそれだけではなく、かつてない規模の嵐が島に向かって進んできているというのだ。
殺人傭兵団と巨大嵐の襲う無人島で、ギャレットは他の挑戦者達の力を借りながら決死のサバイバルを展開する。

(感想)
オープニング。颯爽と登場する我らがヒーロー、トリート・ウィリアムズ。しかも、上司から過激な行動や命令違反でしょっちゅう咎められているらしい、熱血刑事という設定のようだ。
それはいいが、どうして『ラストアクションヒーロー』のシュワと同じ格好をしているのだろう?乗ってる車も、あの映画でジャック・スレーターが乗ってたのと同じ車だぞ?そして、人質事件が発生して警察たちが取り囲んでるこの民家も、やはり同映画に出てきた家とそっくりだ。

その後、予想通りに展開される、『ラストアクションヒーロー』からの映像を失敬し、うまく切り貼りしたアクション&爆破シーン。・・・いやぁ、素晴らしいオープニングですね、うん。

と、うまく見てる人の心を掴んだ(?)ところで本編の開始です。
本編自体は中々面白い話になってます。無人島を舞台に、武装した傭兵達との攻防に、大規模な嵐の襲撃と、まさに見せ場タップリという感じです。そして、当然のように、所々に他の映画から頂戴した爆破シーン等が挿入されてきます。
ただ、アイデアはいいものの、さすがに低予算映画だけあって、それをさらに面白い映画に昇華させるという技量を持ったスタッフに欠けてたらしく、所々に穴があります。たとえば、敵の傭兵隊隊長の行動が何か変です。この手の映画にはありがちなんですが、少々頭の悪い行動を当たり前のようにとります。
まあ、この辺のマイナス要素は全て、トリート・ウィリアムズのヒーローっぷりで帳消しに出来るから、良しです。今作のトリートは『ザ・グリード』のフィネガンに匹敵するカッコよさを見せてくれます。
演じる、サム・ギャレットというキャラがとにかくよく立っていて、刑事という職業もあってか、みんなから頼りにされる、ナイスなリーダーという設定です。そのあまりに清々しいリーダーシップには、見ててホレボレするほどです。
挑戦者としてこの島に来た人達にはそれぞれ特別な技術や知識を持ってる人などがいます。昔、ガールスカウトにいて、簡単な怪我なら治す事が出来る女性に、元軍人でベトナムに出兵した過去を持つ初老の男、天候に詳しく嵐が来る事に真っ先に気付いた男など。さらに、刑務所の看守が仕事という、リーダー志望の熱い男もいるんですが、こんな奴ですら、ギャレットには従ってしまうんです。
くだらん仲間割れに終始した『CUBE』のメンバーとはエラい違いですね。

敵テロリストのリーダーを演じているのは、B級スターのマイケル・ダディコフです。と言う訳で、主人公ギャレットとの一騎打ちシーンなんてのがちゃんと用意されています。
面白いのは、この戦いでは敵であるダディコフが勝ってしまうところですね。脚本のせいで今まで頭の悪い行動をとらせていたので、製作側からのお詫びとも言えるシーンなのかもしれないですね。