監督:スティーブン・スピルバーグ
原作:マイケル・クライトン
脚本:デビッド・コープ
撮影:ヤヌス・カミンスキー
特殊効果:スタン・ウィンストン
音楽:ジョン・ウィリアムズ
出演:ジェフ・ゴールドブラム(イアン・マルコム博士)
ジュリアン・ムーア(サラ・ハーディング博士)
ピート・ポスルスウェイト(ローランド・テンボ)
ヴィンス・ボーン(ニック・ヴァン・オーウェン)
アーリス・ハワード(ピーター・ルドロウ)
リチャード・シフ(エディ・カー)
ヴァネッサ・リー・チェスター(ケリー・マルコム)
ピーター・ストーメア(ディーター・スターク)
リチャード・アッテンボロー(ジョン・ハモンド)
一方、島を所有するインジェン社は、恐竜を捕獲して本土に連れ帰り、国内でパークを開設するという計画を立て、スキンヘッドのハンター他十数名の捕獲チームを島に送り込んできた。
だが、結局なんのかんので、みんなティラノザウルスに追いかけ回されるという、ジュラシック・パークの時と同じような事態になっていくのだった。
(感想)
あの名作『ジュラシック・パーク』待望の第2弾です。
監督は前作と同じくスピルバーグ!主演は前作で好演を見せたジェフ・ゴールドブラム!CG技術の進化や製作費のアップなどにより、出てくる恐竜の数も倍増!と言うことで、公開前は「間違いなく傑作に違いない」と、それはもう、超特大の期待をしていました。
ですが、残念な事に、「悪い2作目のお手本」とまではいかないものの、それにかなり近いような内容の映画になってしまっていたんですよねぇ。
一応、人間達が恐竜に追いかけ回されるという基本的なストーリーは一緒なんですけど、どうも、ストーリーを面白く感じられないんですよね。その理由ですが、前作に比べて登場キャラに魅力がないのが原因のような気がします。
まず、主役のマルコム博士ですが、前作ではそれはユニークなキャラクターだったのに、今回は、前作の事件がトラウマになっているのか、常に危険を感じてビビってるという、特に面白味の無い、普通の人みたいなキャラクターになってるんです。さらに、マルコムの娘も出てくるんですけど、この親子の絡みの場面も正直、いらないと思いましたねぇ。これでもう、完全にマルコムが「単なる父親キャラ」以外の何者でもなくなってしまいましたし。
ジェフ・ゴールドブラムがこういう大作映画の主演をしてる、というのは珍しいし面白い点ではあるんで、もっと、キャラクターに面白味を出させて欲しかったです。約半年前に公開された『インデペンテンス・デイ』でのゴールドブラムのキャラは『ジュラシック〜』のマルコムに並ぶぐらいユニークなキャラクターでしたしね。
あと、ヒーロー的役割をもっているキャラを演じるのがヴィンス・ボーンというのもちょっとどうかと思いますしね。当時も「何か違和感のあるキャスティングだな」思ってたんですが、後のヴィンスの活躍を見た今でもやっぱり、この映画でのヒーロー役は似合って無いと思えるんですよね。だいたい、後の活躍と言っても、コメディ映画ばかりですし。
さらに、ジュリアン・ムーア演じるヒロインがまたムカツクんですよねぇ。こいつの行動のおかげで結構な死人が出てるというのに、本人にはその自覚全く無しですよ。しかも何かエラそうな態度を常にとってやがりますし。
キャラクターに魅力がないうえに、キャスティングも微妙。これではいくらストーリーが面白くてもキツい所です。しかも、その肝心のストーリーもあまり面白味の感じられないというもの。ジャングル探検系の映画では同じクライトン原作の『コンゴ』の方が数倍面白かったですよ。
ですが、この映画の一番悲しい点は他にあったんです。原作を読んで気づきました。実はこの映画の原作、もう超が付くほど面白いんです。これまで読んで来た映画の原作小説(ノベライズも含めて)の中でも『ロスト・ワールド』原作が面白さにおいてはベスト1だったと思います。
ですが、その原作の面白さを映画版では何一つと言っていいぐらい活かせてないんですよ。これは同年公開の『レリック』並の大失敗脚本と言ってもいいぐらいです。『レリック』も原作がアホみたいに面白いんですよね。この時期、脚色業界に何かあったんだろうか。
と、ここまで欠点が大量にあるにも関わらず、映画自体、全くの駄作というわけではないんですよね。そもそも、「完璧過ぎた前作」というハードルが無ければ、私もこの内容でもっと満足出来ていたかもしれません。
それに、娯楽映画の巨匠スピルバーグが監督なんですから、いくら脚本やキャスティングに問題があったとしても、それなりに楽しめる映画にはなってるわけですよ。映像面に関して、いくつか印象に残るような凄い場面というのが出てきましたしね。例えば、崖から宙づりになったトレーラーの内部のシーンでのサスペンス描写は、見ててハラハラしたものでした。特に、ガラス面にヒビが入っていく所なんて、そこでピンチに陥ってるのが「早く死ね!」と思うような人物であるにも関わらず、ドキドキしましたからね。
恐竜狩りのシーンでのダイナミックな撮影といい、対ラプトルのアクションといい、この辺りの映像感覚は「さすがスピル!」と感心せずにはいられません。
クライマックスのT−REXがアメリカに上陸するシーンも、最初に見た時はかなり面白い展開に思えましたね。今見ると『キング・コング』を思わせる展開ですけど。
何にせよ、「大作映画らしさ」というのは随所から感じられるんで、前作が無ければ、いい映画だったんだと思います。
ただ、続く『V』が、「恐竜島でサバイバル」という今作と似た作風ながら、「一作目とは違う面で面白い」と言える内容になっていたんで、益々この2作目の立場が無くなってきてるんですけどね。
あと、音楽面も良かった点でしたね。最初にこの映画を見た時、唯一「期待以上だった!」と思えたのがここでした。
前作はかなり印象的なテーマ曲が使われていて、今回もそれに匹敵するような印象的な曲が出て来るんだろうかと期待していたんですが、同時に、前作の曲をそのまま使いまわす程度でお茶を濁してきたりするんじゃないかとも思ってました。あのレベルの曲をシリーズで続けて出すなんて不可能なんじゃないのかと思ったんです。
ですが、前作のテーマ曲とはまた違った魅力のある、全く新しい、『ロスト・ワールド』専用のテーマ曲が作られてたんですよね。いやぁ、これには参りましたね。「この人(ジョン・ウィリアムズのこと)は天才なんじゃないだろうか」と思ったものでした。