メガロドン
<MEGALODON>
02年 アメリカ映画 92分

監督・脚本:ゲイリー・J・タニクリフ
出演:マーク・A・シェパード(ミッチェル・パークス)
   ロビン・サックス(ピーター・ブレイザー)
   アル・サピエンザ(ロス・エリオット)
   ジェニファー・サマーフィールド(アマンダ“マズ”)
   エバン・ミランド(R・P・マクギニス)
   スティーブ・スチオンティ(デビッド・コリン)
   リーアン・リトレル(クリスティン・ギディングス)
   フレッド・ベルフォード(ジェイク・トンプソン)
   ゲイリー・J・タニクリッフィ(グレーディー・ハーパー)

(あらすじ)
深海から石油を掘り出す為に作られた油田掘削基地コロッソスに、テレビのリポーターとカメラマンが取材にやってきた。
取材班が見守る中、海底の掘削作業が始まるが、突如、海底に大穴が開き、中から7000万年前に滅んだはずの深海魚がワラワラ飛び出してきた。だが、出て来たのは深海魚だけではなく、超巨大なサメも登場。全長20メートルで約25ノットで泳ぐ化け物ザメことメガロドンは、クルーの乗る潜水艇を襲撃したり、コロッソス自体に体当たりをかましたりと大暴れを始めるのだった。

(感想)
数千万年前に絶滅した巨大鮫メガロドンが登場するサメ映画です。
『ジュラシック・パーク』みたいに、最新テクノロジーで古代のサメが復活するというわけではなく、深海でひっそりと生きながらえていた、という設定となっています。同じくメガロドンの襲撃と恐怖を描いた『シャーク・ハンター』と同じ設定ですが、多分、もっと前に映画化されるはずだった小説『メガロドン』がそういう設定だったせいなんでしょうね。ちなみに、小説の『メガロドン』と、この『メガロドン』は、タイトルが同じなだけで、全く無関係のものです。

さてこの映画。見ていて驚かされる事があります。それは、全編に渡って使用されるCG映像です。
今更驚くような事じゃないと思うかもしれないですが、この映画のCG映像は、他の映画のそれとはちょっと違います。
どう違うのかと言うと、映画を見ていて、「あれ、何か急にゲームのムービーシーンみたいなのが始まったぞ?」と思ったら、実は映画のワンシーンだった。そんなCG映像なんです(笑)。
もう、CGがCGにしか見えない事甚だしいというぐらいに安いCGだというのに、それをメインにゴリゴリ使いまくってるんですよ。何しろ、ヘリコプターが飛ぶシーンにおいて、実写だったのは乗ってる人だけでしたからね。ヘリはおろか、背景の空も海も、目的地の海上掘削基地も、あまつさえ、パイロットまでCGでしたからね。
一応、主な舞台となる掘削基地内部なんかは実写でしたけど、かなり安そうなセットでした。

そんな映画なんで、当然、メガロドンも安いCG製で登場するわけです。そのデザインも、「ただのサメを大きくしただけ」というもので、思わず「これがメガロドンなの?」と脱力気味に呟いてしまうところでした。まあ、CGなら巨大化だろうが縮小化だろうが思いのままですからねぇ。

このように、全編に渡って「安っぽさ」が漂いまくってる映画なんですが、「つまらないのか」と言うと、実はそうでもないんです。むしろ、結構面白いぐらいでしたね。
まず、基本的なストーリーが、見ていて退屈しない程度の面白さを持っています。登場人物達の中にも、嫌な奴が一人もいないという状況で、至って爽やかにストーリーが展開していく事となります。
そんな中、海底から絶滅したはずの古代魚を発掘したりといった見せ場を経て、海底に開いた穴からその古代魚がモリモリ出て来たり、発光する巨大クラゲが登場したりといった幻想的なシーンが出て来ます。ちなみに、やはりこれも安いCG映像で描かれるんですが、この頃になるとCGにも慣れてくるのか、特に気にならなくなってましたね。CGの安さよりも、映像の神秘さの方に気が向いてた感じですかね。小型潜水艇よりもデカい、ピカピカ光るクラゲの大群は、それは神秘的な映像でした。驚異的であると同時に、見てて怖くもありましたね。何か、海にいる巨大生物って、妙に怖いんですよね、心理的に。
と、「深海はスゲェなぁ。夢があっていいなぁ」みたいな事を思っていた所で、いよいよ、これまで温存していた(?)メガロドンが登場する事となります。こちらは、先ほどの古代魚や巨大クラゲみたいに、いきなりドドーン!と登場するのではなく、まずはソナーの映像から「何かデカいのがいるぞ」的な感じで出てくる事となります。
引っ張って引っ張って、ついに姿を現した、その謎の巨大な影の正体は!ってところで、ただのデカいサメが出てくるわけですが、「深海の神秘」に魅せられた後での登場なのが良かったのか、思ったよりガッカリしなかったですね。しかも『シャーク・ハンター』のメガロドンと比べて、あんまり「巨大だ!」という感じがしないんですが、まあそれでも、そこそこの大きさはあるので「海底に本当にこんなにのがいたら凄いだろうなぁ」ぐらいの事を思って見てましたねぇ。

ただ、残念ながら、ここからクライマックスにかけての展開はあんまり面白くなかったですね。まず、メガロドンの設定があまりにいい加減なので、何か、メガロドンの襲撃シーンにノレないんですよね。疑問の方が先に出て来てしまって。
例えば、「あんなにデカくて早いやつの体当たりを受けて、潜水艇は吹っ飛ばされるだけで済むものなんだろうか?」とか「ずっと光の無い海の底にいたのに、ライトで怯んだり逃げたりしないんだろうか?」とか。
どうも、タイトルは『メガロドン』ですけど、メガロドンが活躍しない方が面白かったんじゃないか、と本末転倒な事を思ってしまう内容の映画でしたねぇ。