監督・原案・脚本:ゲイリー・ジョーンズ
出演:ティム・ラブレース(レイ)
レイチェル・ロイセル(メグ)
スティーブ・ディクソン(パークス)
ガンナー・ハンセン(アール)
ロン・アシェトン(ヘンドリックス)
マイク・ハード(ジュニア)
ケニー・マグワンプ(レックス)
ジョン・レナード(トニー)
(感想)
蚊が巨大化して襲ってくるという、とっても素敵な映画です。
しかも、その巨大化した理由が、「宇宙人の血を吸った」というのが最高ですね。放射能やマッドサイエンティストの実験ではなく、“宇宙”に関係したのが原因というところに、監督兼原案&脚本のゲイリー・ジョーンズのこだわりが感じられるようです。
さて、映画の主役とも言うべき巨大蚊達ですが、その造形はもう、見るからに作り物という感じの安っぽい人形です。迫力なんて全くなく、ただひたすらにチープ。
そんなのが襲ってくる映画なのに、何なんでしょう、この面白さは!
巨大蚊の造形以外でも、全体的にチープで安っぽい雰囲気があるのに、蚊の襲撃から耐えしのぐ人間達の戦いの姿が、見ていて燃えますし、緊迫感もよく出てるんです。これはちょっと意外というか、驚かされましたね。
中盤以降、生き残りの人間達が蚊の襲撃から耐えしのぐ場所が3種類出て来て、順に「キャンピングカー」「下水道」「民家」とあるんですが、これらのシーンがそれぞれ緊迫感のよく出た、見応えのあるシーンになってるんですよね。ちゃんと「サバイバル・アクション・ホラー」の形になってるんです。
特に、終盤の民家での攻防戦は、どことなくゾンビ映画を彷彿とさせる感じでとってもいいです。
きっと、この映画の監督ゲイリー・ジョーンズは、この手の映画を研究したか、もともと大好きだったかのどっちかでしょうね(後者のような気がする)。展開が、「痒いところに手が届く」ような感じになっていて、見ていて単純に楽しめるんです。
あと、生き残りのキャラクターも、“典型的アメリカンヒーローっぽい奴”“典型的アメリカンヒロインっぽい奴”“リーダーシップをとる黒人”“やたら愚痴りまくるがどこか憎めない奴”“犯罪者だが、事態が事態なので協力している”という、この分かりやすいメンバー!人数も多すぎず少なすぎずでちょうどいいです。
もちろん、無駄に登場人物のドラマとかを描いたりしませんし、メンバー内でイザコザが起こるといった、映画の流れを止めるような真似もしません。こいつらの目的はただ一つ、“巨大蚊の襲撃から生き残る事”のみです。
そういう、サバイバル・アクション的なものを主眼にして話が展開していくから面白いんでしょうね。ここで、「それ以外の面白さも出してみよう」みたいな色気を出すと、ロクな事が起こらないんです。
序盤は割りとゆっくりとした展開で、ちょっとコメディタッチな感じになってます。ただ、見るからにチープな蚊の人形が襲って来ているという映像なので、襲撃シーンをマジメに撮っても見てる方は引くだけですからね。だから、そのチープさが笑いに向いてくれるように考えた結果なのでしょう。
また、蚊に刺された人はなぜかグロく死ぬというのも素晴らしい。グロと言っても、グロメイクが全然リアルじゃないんですけどね。その、“リアルじゃない死体”もしっかり映してきます。
しかも、蚊の刺す場所というのも、“目玉”とか“全裸女の尻”とかだったりと、よく考えられた選択となっています(笑)。
こういう、まさに“観客の見たいであろうシーン”をしっかり入れてるところが凄い。この映画を見ようとしてるのがどういう人種かというのがよく分かってますね。
ちなみに、メンバーの一人、“犯罪者だが、事態が事態なので協力している”奴は、演じるのが、かつて『悪魔のいけにえ』でレザーフェイス役をやっていたガンナー・ハンセンです。
しかも、終盤ではチェーンソーを装備して蚊と戦うという嬉しい見せ場が用意されてます。これは、ホラーファンにはたまらない演出ですよね。