監督:ジョセフ・ジトー
出演:ディラン・ウォルシュ(マット・ナッシュ)
アリソン・イーストウッド(ガブリエラ博士)
トビン・ベル(クレメンス)
ブリクストン・カーンズ(トラビス)
マルシア・ストラスマン(スーザン・ブリーチャー)
ビクター・レイダー・ウェクスラー(アイズレー博士)
ジャン・モンロー(マクロ博士)
(感想)
タイトルからして、災害系のパニック映画かと思ったんですが、中身はパニック映画よりもB級アクション的な内容の映画でした。
主人公の猪突猛進な記者が、ある電力会社に取材、と言うか、潜入して何かを探り出そうとする様を描きつつ、合間に銃撃アクションやカーチェイス、大地震によるパニックシーンを挿入してきます。
まあ、一見するとありきたりのB級映画といった感じの内容ではあるんですが実際に見てみると驚きますね。何に驚くかと言うと、「この映画の辞書に“リアリティ”という言葉はありません」と言わんばかりのぶっ飛んだ展開からくる、突っ込み所の多さにです(笑)。
まず、主人公の「取材だと言いながら、ほぼ無策で建物に突入していく様」という行き当たりバッタリ的な行動に驚かされますし、敵側の「人を見たら邪魔者と思え」的な銃の使いっぷりにも驚かされました。
まず、「ジャーナリストがある企業の実態を嗅ぎ回る」という内容の映画で、銃撃戦やカーチェイスが発生するという時点ですでにどこかおかしいだろうと。いくら主人公が、いわゆる「アポ無し、突撃潜入(突撃取材ではない)」をやらかしているとはいえ。これは、例えば『ボーリング・フォー・コロンバイン』でチャールトン・ヘストンの部下が襲ってくるような状況じゃないですか。
しかも、その「潜入した主人公」だけを狙って襲ってくるのなら分かりますが、たまたま主人公の近くにいた人が銃撃戦の犠牲になったりしてるんですよね。ちなみに、流れ弾に当たってるわけではなく、明らかに狙って撃ち殺してるんです。カーチェイスでも、無関係の車が爆発炎上したり、宙を舞ったりしてましたからねぇ。
あと、敵の黒幕がやろうとしている実験は、「実施しても大丈夫かどうか」等の安全面に関して地質学者に調査するように依頼をしていたらしいんですが、まんまと「実行するとロスで大地震が起こる」というデータが出ました。
ですが、敵の黒幕はなぜか「この地質学者は頭がおかしい」という事にして、実験を強行したりするんです。まあでも、普通は電力会社の実験なんかでロスに大地震は起きないでしょうからね。どちらかと言うと、頭がおかしいのは地質学者ではなく脚本家の方なのではないだろうか。
ですが、この映画では地質学者の言う事が正しくて、劇中で実際に大地震が発生しますし、B級映画としてはこれは実に正しい現象で、脚本家も間違ってはいないわけですよ。つまり、みんな正しかったというわけですよ。何だか自分でも何言ってるのか分からなくなってきましたが。
結局ラストは、ヒロインの美人科学者の制止を振り切って出力90%を出してしまい(何の出力が90%なのかよく分かりませんでしたが)、結果、「工場が大爆発する」という、爆破オチとなります。何かもう、分かっててやってるとしか思えませんね。こういう映画を好んで見るような輩は爆破オチとか大好きなんだろうと見透かされてるんでしょうねぇ。
まさに「サービス精神旺盛な展開」と言った感じで、他にも、終盤の見せ場である、ロスに大地震が発生するパニックシーンで、堂々と『ダンテズ・ピーク』の場面が流用されていたり、銃撃戦のシーンで、敵の中に二挺拳銃とスロー演出でキメてる奴が混じっていたりと、この手の映画に期待する名場面のオンパレードですよ。
ちなみに、ヒロインの美人科学者を演じているアリソン・イーストウッドとは、クリント御大の娘さんだそうで。あらら、こんなサービス精神旺盛な映画に出てしまわれたんですね。