シェイクダウン
<SHAKEDOWN>
02年 アメリカ映画 94分

監督:ブライアン・カットキン
製作総指揮:ロジャー・コーマン
出演:ウルフ・ラーソン(アレック・マッケイ捜査官)
   エリカ・エレニアク(ジュリー・ヘイズ)
   ロン・パールマン(クリストファー・ブロウズ“聖ジョイ”)
   フレッド・ドレイヤー(ウルフ長官)
   レイ・ラスカ(グリーンウッド捜査官)
   マット・ウエストモア(リー捜査官)
   ブランドン・カーラー(スコッティ・ヘイズ)
   ロバート・アルス(ウィリアム・シーバート博士)

(あらすじ)
とある都市にある高層ビルの中にある銀行。そこで、カルト集団のリーダー、聖ジョイと、細菌学者シーバート博士との取引が行われようとしていた。聖ジョイはシーバート博士の家族を人質に、博士に超強力な細菌"ポプリンウイルス"を研究所から持ち出させていたのだ。
博士はそれをここの銀行の貸金庫に保管、FBIに匿名でウイルスの受け渡しがこの銀行で行われる事を連絡し、そのうえで聖ジョイとの取引をしようとしていたのだ。
そして銀行では、連絡を受けたマッケイ捜査官を始めとするFBI捜査官、SWAT隊が待機をしていた。
だが、そこにとんでもない珍客が現れる。かねてから計画していた銀行強盗を実行しに、ストリートギャング団が押し入ってきたのだ。銀行内で、強盗団、SWAT、そしてカルト集団が入り交じる大銃撃戦が始まってしまうのだった。
だが、さらに事態は最悪の状況を呈してくる。なんと特大の地震が起こり始めたのだ!

(感想)
『ザ・ロック』のような細菌兵器、『ダイハード』な舞台。そして『大地震』。あらゆる要素の詰まった低予算娯楽大作(?)、それが『シェイクダウン』だァ!!

あらすじにも書いた、序盤の銀行でのドンパチがもう何というか・・・、「どんな確率やねん!」と叫びたくなる事必至です。この、一つの銀行内で三つ巴の銃撃戦になるというだけでも凄いのに、そこに大地震ですからね。
地震が終わり、瓦礫からはい出してくる生き残った人達。この後、どういう展開になるのかと思ったら、また銃撃戦が始まるという(笑)。何て元気な連中なんだろう。B級映画ならではのパワフルな展開といった感じで大変よろしいです。

また、この地震による銀行の外での被害の様子が映されるんですが、明らかに画質が違う映像で、どうも、他の映画からの流用っぽい感じです。
建物内の描写はこの映画用に撮った物のようなんですが、そのどちらにも共通して、一般人が次々と瓦礫の下敷きになっていく様がキチンと描写されてるんですよね。中には、地震で崩れ落ちてきた破片で、何故か首をはねられている人までいました。
なんかこの映画、全体的に、一般人の扱いがとっても酷いんです。地震の犠牲者だけでなく、カルト軍団に人質にされた人達も、人質の役目を果たす前にボンボン撃ち殺されていくんです。もう、人質というよりも、銃の的といった有様。

三つ巴になっていた状況は、地震の後は、主人公マッケイとカルト軍団との攻防となります(ギャング団とSWATは、地震とその後の銃撃戦で見事全滅)。
カルト軍団のリーダー、聖ジョイを演じるのはお馴染みロン・パールマンですが、当時は「『エイリアン4』に出ていた凄い顔の人」という覚え方をしていた気がします。で、この聖ジョイという男、まるで『ファイト・クラブ』のタイラー・ダーデンみたいな奴で、カリスマで集めた兵隊達を鍛えて、私設軍隊のようなものを組織しているんです。
そして、この連中の持っている武器、ハンドガンやマシンガン等は、この映画では弾が切れない設定になっているらしく、やたらと撃ちまくってきます。中には、何も無い空間にいつまでも撃ってるアホも出る始末です。まあでも、無限弾仕様の銃を持ったら誰でもこうなりますよね。

こんな大混乱な映画の主演を務めるのは、ウルフ・ラーソンなる人物。ガタイは中々立派な男ですし、中々強そうな名前です。
演じるマッケイ捜査官、通称マックには「敵の弾が当たらない」という特殊能力を持っているらしく、かなり至近距離でマシンガンで撃たれているのに一発も当たりません。外しようのない至近距離で狙われた場合、この時に限り、敵のマシンガンが弾切れを起こす事となります。その後、射程距離外まで離れると、マガジンを代えた訳でもないのに、敵の弾薬が復活し、また銃撃されます(でも、当たらない)。
ただ、終盤になると無敵時間が終わったのか、足に一発食らう事となります。でも、「貫通」したおかげで、あまりダメージは無かったもよう。
「弾が貫通したから大丈夫」とは、『暴走特急』でS・セガールが言い放った映画史に残る名言ですが、その『暴走特急』の前作にあたる、『沈黙の戦艦』に出ていた、エリカ・エレニアクが、同映画と似たようなキャラクター&役回りで出ています。彼女を通して、ウルフ・ラーソンに「セガール菌」がうつったのかもしれないですね。終盤、また起こった地震で、瓦礫の下敷きになったマックが、その後に何事も無かったかのように復活してくるという事態にも、これで納得が出来ます。

という、実に楽しい突っ込みどころが大量に配置された、熱い映画でした。製作総指揮にロジャー・コーマン御大の名前があるんてずが、さすがに、ツボを心得た映画を製作してくれますね。