監督・撮影:デビッド・ワース
製作:ダニー・ラーナー
製作総指揮:アヴィ・ラーナー
出演:ジョン・バロウマン(ベン・カーペンター)
ジェニー・マクシェーン(キャット・ストーン)
ライアン・カトロナ(チャック・ランパート)
バーシャー・ラハル(ルイズ)
ハリー・アンチキン(トリー社長)
アタナス・スレブレフ(フリードマン)
ニコライ・ソティロフ(デイビス)
ジョージ・スタンチョフ(イーサイ)
プラメン・ザホフ(ヘクター)
イヴォ・トンチェフ(ラミレズ)
一方、ビーチで犬と戯れていた男性がサメに襲われる事件が発生する。犬は無事だったものの、飼い主は食われてしまった。
犠牲者が出た事で、ベンはサメを退治しようとするが、キャットは研究の為に生け捕るべきと主張する。とりあえずベンについて海に出たキャットだが、沖に出ていた若者達が目の前で踊り食われる様を目にし、「メガロドンは殺すべし」と考えを変えるのだった。
改めてメガロドンを殺しに向かうベンとキャット達は、船を沈められながらもメガロドンを殺す事に成功する。だが、ベン達を拾いにきたビーチ・パトロール仲間のイーサイが、目の前で超巨大なサメに船ごと丸呑みされてしまった。 何と、全長約20メートル級の母親メガロドンがまだ潜んでいたのだ!
ベンは元海軍のチャックと共に、潜水艇に魚雷を積んで母メガロドンを殺しに向かうのだった。
(感想)
『メガロドン』『シャーク・ハンター』と並ぶ、超巨大ザメ、メガロドンの出て来る映画です。
それにしても、原題は『シャーク・アタック3/メガロドン』という、メガロドンが出て来る事をアピールしたものになってるのに対し、『ディープ・ライジング コンクエスト』というこの邦題は何なんでしょう。どの層を狙ったタイトルなんだ。
さてこの映画、他のメガロドン映画と比べて大きな特徴があります。それは、サメがCGではなく、実写だという点です。
もちろん、本物のメガロドンを探し出して撮ったというわけではなく、他の映画か資料映像か何かから頂いてきた、ただの一般ザメの映像を切り貼りし、「これがメガロドンだ!」と言い張ってるだけですけどね。
未公開アクションなんかでよく、他のA級アクションの爆破シーンなどを失敬してきて切り貼りする事がありますが、まあ、それと似たような感覚でしょうかね。
それにしても、サメの映画だというのに、その肝心のサメが、画質すら合わされてない、他所から持ってきたのが丸分かりの映像だというのは、製作側のやる気の無さを感じさせてくれていいですね。ストーリーの『ジョーズ』のパクりっぷりといい、殺される人のマヌケっぷりといい、この作りの適当さは見てて微笑ましくなってくるほどです。
ちなみに、メガロドンと言えばクジラよりもデカい化け物ザメです。ですが、この映画のメガロドンは、何と「子供だ」という理由で、普通のサメサイズです。と言うか、ただのホホジロザメです。でも、みんなが「メガロドンだ!」と言ってるんですから、あれはメガロドンなんでしょう。
まあ、ここまででも個人的には充分満足だったんですが(ただの実写のサメをメガロドン扱いしてるなんて最高の演出じゃないですか)、実はこの映画が凄くなるのは、この子供メガロドンがぶっ殺されてからでした。
何と、本当のメガロドンサイズの巨大な母ザメが登場するんです!しかも、こちらも実写です。とことん実写のサメにこだわってくれます。もちろん、そんなにデカいサメが本当にいるわけがないので、例のホホジロザメの映像を使ってるんですけどね。さっきよりもアップで撮ったりスローで映してみたりと、サイズがデカい事を必死に表現しようとする姿勢には清々しいものすら感じられました。
そして、この巨大メガロドンがボートやら人々やらを一飲みにする凄いシーンが出るんですが、この場面は「ホホジロザメが海面から口を開けて飛び出してくる映像の口の部分に合成でボートや人を貼り付ける」という手法で表現されます。で、この映像のもう、面白いこと面白いこと(笑)。せっかくの見せ場のショックシーンが、「明らかに二重映し」という手作り感覚満点な映像になってるところが、笑いを誘いまくります。
あと、このメガロドンの一飲みシーンは数回出て来るんですが、何か、たまに同じ映像が使いまわされてるくさい箇所があるんですよね。サメの映像はそのままで、口の中の「喰われようとしてる人」の合成映像だけすげ変えてあるっぽいんです。
これだけでも笑えるのに、クライマックスではもっと凄い爆笑映像も飛び出す始末です。いやぁ、なんて素晴らしい映画なんだ!
これからクライマックスのネタバレを書きますが、もし、ここまででこの映画に興味を持った方がいられたら、ここから下は読まずに、すぐビデオ屋に走る事をお勧めします。多分、どんな映像が出るのか知らないで見た方がよりぶっ飛べると思います。
この映画のメガロドンが海上に現われた理由は、この海域に引かれた海底ケーブルから漏れ出している電磁波が原因、という事になっています。で、この海底ケーブルを引いてる通信会社の社長は、この海域に危険なサメがいる事を知っているのに、無視して工事を進めたりしてたんです。嫌な奴ですねぇ。
で、この人はサメを無視してると言うか、いないと思い込もうとしてるのか分からないですが、今度はその海域に客船で乗り付けて船上パーティをおっ始めます。
で、この客船が襲われる辺りがクライマックスの展開になるんですが、まずメガロドンがこの船にドンドン体当たりをかますんですよ。そうすると、驚いて出てきた船客がワラワラと海に落っこちてくるんですね。ちなみに、落ちる前に救命胴衣を着けたり、救命ボートを出したりしてるんで、自分の意思で飛び込んでる奴も中にはいるみたいです。何か、この海にダイブしてる人達は、サメの体当たりの震動で落ちてるのか、自分から飛び込んでるのか、見ててよく分からないんですよね(笑)。
さて、ここから登場する大爆笑シーン二連続。この映画の悪者には、通信会社の社長とビーチの支配人の二人がいます。この二人に天罰がくだるわけなんですが、ビーチの支配人の方は、海に元気良く飛び込んだところ、ちょうど下で待ち構えていたメガロドンの口の中に、きれいに「スポッ!」と吸い込まれるように入っていきます。
社長の方は、一人でジェットスキーで脱出を図るんですが(こいつの、スーツ姿でジェットスキーに乗ってる様もかなりマヌケな画でしたね)、こちらも、ちょうど進んだ先にメガロドンの大きく開けた口があって、その中に、さも洞窟に入っていくかのようにキレイに入って行きます。
こんなマヌケな死に様、そうそう見られるものじゃないですね。文字で書いても全然面白く無いですが、この映像がほんとバカなんですよねぇ。そのシチュエーションもマヌケですが、合成のヘボ具合がもう、おかしくてたまらないです。って言うか、大爆笑でしたね。
この映像は、全部計算ずくなのかなぁ。それとも、たまたまこうなっただけなのか・・・。前者だったら、ある意味、凄い映像感覚だと思いますねぇ。