監督・原案:ダニー・ラーナー
出演:ディーン・コクラン(ジム・ワグナー)
ブランディ・シャーウッド(ケリー・ワグナー)
アラン・オースティン(コーテル市長)
ベリザール・ビネヴ(ボルコフ)
ルーク・リービット(ダニー・ワグナー)
ステファン・レイセンコ(ジョーダン)
一方、ジムはビーチにホオジロザメの群れが現れる可能性を示唆していたが、市長は「観光がこの町の財源だ」と海開きをしてしまう。すると、お約束通りにサメが強襲し、海水浴客に犠牲が出てしまう。
ビーチは一時閉鎖となり、ジムは仲間と共にサメ退治に出掛けるが、3人の仲間をあっさり失う結果となる。だが、市長は「ビーチをいつまでも閉鎖しておけない」とせっついてくるのだった。
新たな仲間と共に、再びサメ退治に出掛けたジム。サメに発信機を取り付け、安全な空から発信元に向けて爆弾を投下し、今度こそサメ退治に成功した。
だが、ジムの問題はまだ終わらなかった。例のボルコフが息子を誘拐し、沈没船まで案内するよう迫って来たのだ。
(感想)
観光地に人食い鮫が現れて、「海に入るのは危険だ」と説く主人公と、「観光シーズンに何を悠長な事を言ってる!」と、観光客の命よりも金が大事な市長が出てくるという、何ともありきたりなストーリーのサメ映画です。そこで、ストーリーに多少のオリジナリティを出そうとしたのか、沈没船に眠るダイヤを求める富豪というキャラが出て来て、その場所を唯一知っている主人公に付きまとってくる事となります。
ですが、この映画の見所はそのストーリーではなく、サメの襲撃シーンだったりします。この映画のサメ、『ジョーズ』のサメが可愛く思えるぐらい、人を食って食って食いまくります。しかも一匹ではなく、群れで登場し、「サメが迫ってくる!」という焦らし演出をほとんど使わず、海に入ってる海水浴客達をもう、片っ端から踊り食っていくんです。
この派手な食いっぷりは、もう見てて笑うしかないですね。例えば、ビーチで監視員が「サメが来たぞー!」と警告を発し、パニックになった海水浴客達が慌てて海から逃げ出すというシーンが出てきます。普通は、ここで2、3人ぐらい犠牲が出れば充分サメ・パニックが成り立つと思うんですが、この映画ではもっともっと食われます(笑)。
この映画のサメはCGではなく、本物のサメが泳いでる映像(この映画用に撮影した映像じゃないような気がする)を切り貼りして使ってるっぽいです。編集で人が鮫に襲われてるように見せてるだけ、という演出なので、正確に何人食われたのかを数えるのがかなり難しくなってて具体的な数は出せないんですが、まあ、とにかく大勢食われましたね。このサメの食いっぷりは、もう人食いサメより、むしろパックマンに近いぐらいです。劇中には、海に飛び込んで僅か数秒後に食われた奴もいましたからね。
この、あまりに元気なサメの姿を見ていたら、もうストーリーとかどうでもよくなってきます。しかも、市長は相変わらずサメの脅威が全然分かってないし。「嫌な奴」とか「金の亡者」というより、単なるアホにしか見えない市長ですが、このサメパックン映画においては、むしろ微笑ましく見えるから不思議です。
悪役のロシア人富豪の「あまりに謎な沈没船とダイヤへの執着」や、「そこがいかに危険な場所なのかをよく知ってるはずなのに、普通に部下を潜らせていってるバカっぷり」なんかも、見ててイライラさせられる事が全く無かったですね。恐るべし、サメパックンパワーです。
どうでもいいことですが、主人公のジムと妻のケリーは、映画の中の夫婦にしては珍しいぐらいに仲が良かったですね。ジムが、過去のトラウマ的事件についてケリーに当たってしまうシーンがあるんですが、本来なら軽い口論が起こって然るべきところ、この夫婦の場合は一分後にはもう仲良くベッドに入ってましたからね。映画の中の夫婦喧嘩はこれまで散々見させられてきてウンザリしてたんで、むしろ新鮮ですらありましたね。