ブラック・ビートル
<THEY CRAWL>
01年 アメリカ映画 93分

監督:ジョン・アラダイス
出演:ダニエル・コスグローヴ(テッド・ゲージ)
   タマラ・デイビス(ジーナ・オバノン)
   デニス・ポウトシカリス(ヨーガン教授)
   ベネット・ギルロイ(リゲッティ警部)
   ケン・ラーナー(グレン)
   ウィリアム・カーン(ハーディ刑事)
   スコット・リンカー(シェーン・トリアム)
   ブランドン・カラー(ラザラス)
   ミッキー・ローク(タイニー・フリークス)
   トーン・ロック(クラレンス)
   アンディ・イースタッド(ミア・ゲージ)
   チャセン・ハンプトン(ブライアン・“ビーン”・ゲージ)

(あらすじ)
軍の特殊部隊にいるテッドの弟、ビーンが謎の変死体で発見された。担当していたオバノン捜査官は、数日前に死んだバスの運転手との共通点を発見する。奇怪な傷跡、血中に残された高い毒素・・・。そしてそれらはカルト集団トリリオンのリーダーであるタイニーへと容疑が傾いていく。
しかし一方で、ビーンが謎の軍事機密に関わる研究をしていたことが明らかとなる。メールに残された暗号を解き、そこでテッドとオバノン捜査官が目にした物とは!!なんと、機密文書には巨大な「昆虫」の設計図が描かれていたのだ・・・!一連の謎の変死体は、遺伝子操作され、殺人マシーンとして人工的に作られた昆虫たちのしわざだった!(ビデオ発売元サイトの解説から転写)

(感想)
昆虫の群れが人を襲うという恐ろしい映画です。タイトルが『ブラック・ビートル』、襲ってくるのが昆虫、と言うと、カブトムシみたいなのが出てきそうなイメージがありますが、登場するのはゴキブリゴッキーなので、とっても厄介です。
しかしこの映画、よくある「虫の群れが人を襲う動物パニック映画」という感じではなく、サスペンス映画風に料理されてるんです。映画の冒頭で起こる2件の殺人事件。これを捜査する女刑事と、殺された弟の事件の真相を暴く為に一人で調査をする軍人の兄の犯人探しが映画のメインの展開になります。
まあ、殺人の実行犯はゴッキーの群れである事は見てる側には示されるんですが、その背後にはどんな陰謀があるのかは分かりません。この辺はストーリーを追って見ていくうちにどんどん解かれていく事になります。

出演者は、他の映画ではほとんど見ないような面々が揃ってるんですが、なぜかミッキー・ロークが紛れて出演してます。誰か、監督かプロデューサーあたりに知り合いでもいたんですかね?それとも、よっぽど暇だったんだろうか。
役どころは、事件に関わっていると思われるカルト教団トリリオンのリーダーです。しかも、主演のタマラ・デイビス演じるオバノン刑事と同一フレームに入るシーンがあるので、別撮りでもないようです。
しかしこの人、さすがベテランだけの事はあって、他の出演者とは風格が違いますね。登場した瞬間、画面から独特のオーラが発せられてるのが感じられましたから(気のせいかもしれないですが)。

映画の最大の見どころのゴッキーによる襲撃シーンですが、オールCGのゴッキーの群れが人にまとわり付いたり、皮膚の下に潜り込んだりするという、『ハムナプトラ』のスカラベの丸パクリとなっています。なので、見た目の気持ち悪さもスカラベの襲撃シーンとほとんど変わりません。
しかも、スカラベと違い、この映画のゴッキーは人の肉を喰わずに内臓の方を喰らうので、「人があっという間に食べられて骨になってしまう!」という描写もありません。
ただ一ヶ所、大量ゴッキーが壁を走り抜けるのを映すシーンがあって、そこはちょっと生理的嫌悪感を感じてしまいましたね。実際にあんなの目にしたら頭がどうにかなってしまいそうです。

この映画、画面の明るさが常にくすんだ様な感じの暗さになっていて、どことなく、悪魔系の映画っぽい雰囲気があります。これも、パニック映画というよりも、サスペンス映画っぽい雰囲気を出す為の手段と言うか、工夫なんでしょうね。
そんな中、まるでアクション映画のような、派手なバス暴走シーンと爆破シーンなどが要所要所で挿入されるんですが、これは他の有名アクション映画の1シーンから切り貼りしたものでした。

ちなみに、私はこの映画を吹き替え版で見たんですが、吹き替えてる人がほぼ全員下手っぴで、「まさか、アルバトロスの社員がやってるんじゃ・・・」なんて事を考えてしまいました。
本当に社員による吹替だったという可能性も十分あり得る話なんですけど、でも、この辺の金のかかってなさそうな感じが、いかにもB級未公開映画の吹き替えっぽくて、案外いい感じでしたね。