ホットゾーン
<VENOMOUS>
01年 アメリカ映画 97分

監督:エド・レイモンド(フレッド・オーレン・レイ)
出演:トリート・ウィリアムズ(ドクター・デビッド・ヘニング)
   メアリー・ペイジ・ケラー(ドクター・クリスティン・エドモントン)
   ハンネス・イーニッケ(ドクター・サントス・ブアマン)
   トニー・デニソン(スパークス将軍)
   ジェフ・ピアーソン(マンチェック将軍)
   キャサリン・デント(スーザン・エドモントン)
   ジム・ストーム(ジェームズ・クロウレイ保安官)
   ブライアン・ポス(ビリー・サンダーソン)
   ニコル・ニース(シンディ・サンダーソン)
   リー・デ・ブロウクス(ボブ・ジェンキンス)

(あらすじ)
アメリカの田舎町、サンタミラ・スプリングスで謎の病気による死者が出た。地元の病院の医師デビッドは、これが何かのウイルスによるものと考え、血液サンプルを、元妻であり今は国防省細菌研究所に勤めているクリスティンに送った。そして、この病気がエボラウイルスに似た新種のウイルスによるものだと判明した。
その後も感染者が出るが、デビッドは町に戻って来たクリスティンと共にこの町を襲う緊急事態に対処する。そして、感染源はウイルスを持った蛇が原因と分かった。サンタミラではこの頃地震が頻発していて、それで地中にいた蛇が外に飛び出して来たらしいのだ。だが、この宿主の蛇を捕まえれば、ワクチンを作ることが出来る。
これで事態は解決するかと思われたが、この事件の裏では軍の悪い奴が暗躍していたのだ。この蛇は、軍が密かに細菌兵器として使うために遺伝子操作で作り上げた、ウイルス・ヘビだったのだ。そして悪の元凶のスパークス将軍は、この事実を隠す為に、町を完全隔離。住民はウイルスで全滅したとウソの情報を大統領に伝え、爆撃で証拠を町ごと消滅させてしまおうと企むのだった。

(感想)
『アウトブレイク』のストーリーを参考に(と言うか、コピーして)作った細菌パニック映画です。いわゆるバッタ物映画なんですが、元の映画の面白さをうまくパクってるため、なかなか面白く見る事が出来ます。
中盤までの、ウイルスの被害者がどんどん出て来て、町にパニックが訪れる辺りの展開は、思わず画面に釘付けになってしまうほど引き込まれます。
『アウトブレイク』と違う点として、ウイルス自体は空気感染をしない為、二次感染の危険があまり無いというのがあります。その代わり、ウイルスを媒介しているヘビが町に大量に潜んでいるんです。なので、動物パニック映画のような雰囲気も多少あるんですよね。

途中に、町から脱出しようとする輩の乗った車を、軍のヘリが攻撃するという『アウトブレイク』でお馴染みのシーンが出てくるんですが、ここでのアクションシーンが他の映画の爆破シーンからの流用になってます。
多分、映画に迫力を持たせる為に入れられたシーンだと思うんですが、今までの映画の感じとは明らかに予算のかかり方の違う爆破シーンを出されると、逆にシラケてしまいますね。それに、ストーリーの流れ的にも、無くてもいいシーンでしたし。
ストーリーも、元がいいので面白いですし、監督の演出も悪く無いです。でも、終盤までテンションが持続しない感じがするのは、多分、こういう邪魔なシーンが入ってるせいなんでしょうねぇ。あと、展開がちょっと遅いというのもあるかもしれません。

そういったマイナス面をカバーするのが、主演のトリート・ウィリアムズの存在です。ワクチンを作るためにヘビを一人で捕らえに行くという、とっても頼もしいシーンがあり、これは『アウトブレイク』には無い、この映画ならではの見せ場になってましたね。
地下の狭い通路に降り立ち、蛇を2匹ほど捕らえて麻袋に入れ、さあ帰るかと後ろを振り返ると、なんとさっきまでは一匹もいなかったはずなのに、通路に大量の蛇が溢れているんです。ちなみに、このヘビは生物兵器として使う為に軍が遺伝子操作で作ったヘビです。普通のヘビよりも攻撃性が高く、しかもかまれると大変なウイルスに感染してしまいます。まさに、絶対の危機!
「いったい、このピンチをトリートはどうやってくぐり抜けるんだろう」とドキドキしながら見ていたら、何と!「ヘビを踏まないようにしながら、歩いて進む」という方法で切り抜けてしまいました!
凄ぇ!そのまんまだ!超正攻法だ!!(爆笑)
さすがトリート・ウィリアムズ、伊達に『ザ・グリード』の主役はやってないです(笑)。
しかも、歩きながらヘビに「さあ、何もしないから通してくれよ」などと話しかけながらです。それでも通りづらい時は「ここから出してくれたら、もうお前達をベルトにも財布にもしない。約束するよ」と、少し長いセリフを言って通って行きます。
いやぁ、何て素晴らしいシーンなんでしょう。私も凶暴な毒ヘビに囲まれる機会があったら、こうやって切り抜けよう。