監督:ジェリー・リブリー
出演:キャスパー・ヴァン・ディーン(エース・ローガン)
ロバート・イングランド(スクラッチ・モナハン)
グレッグ・ヘンリー(ビル・トラスク)
リディ・ハドソン(アンバー・マロイ)
レイ・ワイズ(ジョン・ウェスコット)
その頃、プエルトリコの方に、今世紀最大級と言われる大型ハリケーンが迫ってきていた。このまま行けば、サンドブリッジ島を直撃してしまう。
ハリケーンの上陸が迫る中、トラスクと配下の警備員達は不穏な動きを見せていた。バーで飲んでいたスクラッチを襲ったり、海辺のオープン・カフェで話をしていたエースと若い女支配人アンバーを銃撃したりし出したのだ。
そんな事件が起こりつつ、ついにハリケーンは上陸。気象局の警報のおかげで島の住民やカジノの客は早々に避難していた。今、島に残っているのは、この騒ぎに乗じて強盗を働こうとしているトラスク一味と、これを予期してカジノに残ったウェスコット。何故かトラスクに島に残るように言われていたエース。残ったエースとウェスコットを心配して戻って来たアンバーとスクラッチ、そして逃げ遅れたアホな住民のみとなった。
ホテル内でカジノの金の争奪戦が繰り広げられる中、外ではアホな住民の乗った車が強風で横転したりするのだった。
(感想)
キャスパー・ヴァン・ディーン、ロバート・イングランドという2大スター共演のパニックアクション!もうこれだけでもワクワクしてきますね。
大型ハリケーンが襲い掛かるというストーリーで、タイトルもウインド・フォールという災害パニックっぽいものですが、ハリケーンは主役ではありません。災害パニックの要素はかなり薄く、メインは普通のアクション描写となっています。
冒頭のカジノ強盗の後のカーチェイスシーンに、中盤ではボートチェイスシーンまで出てきます。また、定期的に銃撃や爆破シーンが挿入され、キャスパーが敵と殴りあうシーンも出てきます(ついでに、ロバート・イングランドも格闘戦に参加したりする)。
そして、これらのアクションシーン、予算の少なさを感じさせない、いいアクションシーンとなっていました。
カーチェイスでは車が吹っ飛んだり派手に横転したりし、最後はトレーラーの大爆破で締めです。ボートチェイスも、最後は可燃物の積んである廃棄船が爆発して締めでした。このアクションシーンの展開の手馴れっぷりは、「きっとこの映画のスタッフは似たような映画を何本も撮ってるベテランなんだろうな」と思わせてくれます。
そして、そのアクションシーンに我らがキャスパーがメインで関わってるというのが嬉しいですね。ちなみに、ロバート・イングランドの方は、派手な爆破や銃撃のあるアクションシーンにはあまり絡んできません。まあ、そこはこちらも期待してる所ではないので問題無いでしょう。
また、終盤のハリケーン上陸中の島で繰り広げられる、カーチェイス&敵のボス、トラスク役のグレッグ・ヘンリーとキャスパーの肉弾戦は大迫力でしたね。特に、暴風雨の中のカーチェイスなんて、あんまり見ないものですからね。CGを使ってないので、設定ほど酷いハリケーンに見えないんですが、まああれでも充分だったと思います。
ちなみに、カーチェイスをしてないシーンでは、暴風雨で車が横転する様を映したりと、ハリケーンの威力のアピールは一応してきていました。
『パーフェクト・ストーム』みたいに、このハリケーンを監視している気象局の人のシーンがたまに出て来て、「今世紀最大級だ」だの「エラい被害が出るぞ」だの言っていたんですが、結局、カーチェイスが出来るぐらいの暴風雨で済んだ事に対し、最後に「あの規模のハリケーンにしては、威力がそれほどでもなかった」みたいな言い訳が出てきます。
そこはまたご愛嬌でいいんですが、アクションシーンにおいて、たまに「あれ?」と思う箇所が出てきます。
冒頭の強盗シーンで、警備員が「カジノを封鎖しろ!」と言っていたのに、二人は普通に出入り口から逃走したりしますし、中盤の、住民が大勢いる中での銃撃シーンにおいて、まわりの人があんまり銃撃を怖がってるふうに見えなかったり。
ストーリーにも突っ込みどころがあり、最後、ヘリで逃走しようとするトラスクが「重量オーバーでヘリが飛べない」とパイロットに言われて、仲間の一人を撃ち殺して降ろしてようやく飛べたのに、そのヘリにエースがしがみついて来た時に重量オーバーにならなかったり、そもそもこの計画に加担していた数名の部下達が全員生き残っていたらどうやって脱出するつもりだったのかとか。確か、エース達にやられていなければ、部下は総勢5,6人ぐらいいたはずなんですが、ヘリに乗れたのは一人だけでした(そもそも、重量以前に、その人数では定員オーバーになりそうなヘリです)。
あと、ハリケーンでみんなが避難しようというとき、エースが島に残ったのは“トラスクに残るように言われたから”なんですが、これも意味が分かりません。そんな事しなければ、間違いなくこの計画は成功したのに。
という、突っ込みどころも、この規模の映画では笑って許す気になれるところが利点ですね。
それに、そんなささいな欠点、この映画の「2大スター共演!」という見せ場の前では霞んでしまいます。