※星マークの評価ポイントは、星の数により、5点段階評価と3段階評価の2種類があり、合計点は最高で35点満点となります。

ボビー  <BOBBY>

世界の運命が、変わるとき──。彼らは何を見たのか。  ◎満足度 ★★★★☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎評価度 ★★★☆☆ (そのジャンルの映画としてどれだけいい出来だと思うかを主観、客観両面から評価)
 ◎感情度 ★★★☆☆ (笑い、泣き、興奮、恐怖など、見ていて何かしら感情を揺さぶられたかどうか)
 ◎CAST度 ★★★★☆ (個人的に、キャスティングに満足いったかどうか)
 ◎監督度 ★★☆    (監督の演出が個人的に良かったかどうか)
 ◎音楽度 ★★☆    (音楽がどれだけ印象的だったか)
 ◎期待度 ★★☆    (見る前の期待にどれだけ応えてもらえたか)
 ◎体感時間度 ★★☆ (実際の上映時間より長く感じたか、短く感じたか。短く感じられた方が高得点)
 ◎リピート度 ★☆☆  (今後、何回も見たいと思えたかどうか)
 合計 23点

今晩の食事と握手するハンニバル氏 <個人的感想>
ジョン・F・ケネディの弟である、ロバート・ケネディことボビーが、アンバサダーホテルにて殺害された時に同じホテルに居合わせた人々のそれぞれのドラマを語る、という映画です。
映画ファンの間で「グランドホテル形式」と呼ばれるタイプの映画ですが、要するに、一般に言う所の群像劇というやつですね。
『JFK』みたいに、暗殺の真相を探るという話ではなく、たまたま同じホテルにいたというだけで、別にボビーとは何の関わりもない人達のお話が語られる事となります。殺害犯については、動機はもちろん、殺した後どうなったのかという事も、この映画では何の説明も解説も出てこないんです。犯人は“群像”の中にも入れてもらえなかったんですね。
結局、ボビーと無関係の人々の話なんで、「この内容で、なんで『ボビー』なんてタイトルなんだろう」と思ってしまいがちですが、それぞれのストーリーから、「この当時のアメリカの情勢について」というのと、「ボビーならアメリカを、世界をいい方向に導いてくれるに違いないという世間の期待感」というのが映画の節々から漂ってきてるんです。
そして、今まで同じホテルにいながらもバラバラの場所にいた面々が、クライマックスのボビーのスピーチの場面でほとんど一堂に会する事となり、運命の瞬間へと話が進んで行き、最後はボビーの演説を流してエンド。という終盤の流れを見るにつけ、「ああ、これはボビーの映画なんだな」と思うようになるわけです。
この当時のアメリカの状況について知識がないとあまり楽しめない、という面もある映画ですが、私は興味深く見る事が出来ましたね。特に、兄のJFKと違って、弟のボビーの方はどんな人なのかほとんど知らなかったので、結構勉強になりました。もう、本当にアメリカを救えたかもしれない凄い人間だったみたいですね(ボビー信者である監督の言い分をそのまま信じればですが・笑)。ラストで出てくる演説も非常にいい事を言ってましたし。まるで、キリストの「隣人を愛せ」的な主張を説いているんですよ。やっぱり、こういう人はすぐに消される運命なんですかねぇ。

さて。この映画のメインとして語られるのは、多種多様な登場人物のドラマです。個人的には、どのストーリーも「そこそこ面白い」という程度のものでしたが、一本のドラマが語られるよりも、こういうように何本も語られるという方が、何というか、満腹感が得られるような気がしますね。 それに、個々のドラマもちゃんと丁寧に語られてきますし、演じてる俳優陣が割と豪華ですし(主演級の方はほとんどいないんですが・笑)、一粒で何度もおいしい映画を見たようなお徳感がちょっぴり感じられたりもしました。
あと、私は気が付かなかったんですが、それぞれに関連の無いストーリーがただ並べられてるというわけではなく、各エピソードがきちんとテーマに沿ったストーリーになっているらしいですね。この点に気付いて見られればさらに評価もアップしたんでしょうね(気づかないで見ていても楽しめる事は楽しめましたけどね)。


ドリームガールズ  <DREAMGIRLS>

夢は永遠に行き続ける  ◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎評価度 ★★★★★ (そのジャンルの映画としてどれだけいい出来だと思うかを主観、客観両面から評価)
 ◎感情度 ★★★★☆ (笑い、泣き、興奮、恐怖など、見ていて何かしら感情を揺さぶられたかどうか)
 ◎CAST度 ★★★★★ (個人的に、キャスティングに満足いったかどうか)
 ◎監督度 ★★☆    (監督の演出が個人的に良かったかどうか)
 ◎音楽度 ★★★    (音楽がどれだけ印象的だったか)
 ◎期待度 ★★★    (見る前の期待にどれだけ応えてもらえたか)
 ◎体感時間度 ★★☆ (実際の上映時間より長く感じたか、短く感じたか。短く感じられた方が高得点)
 ◎リピート度 ★★★  (今後、何回も見たいと思えたかどうか)
 合計 32点

ジミー・アーリー、魂のステージ <個人的感想>
賞レースを賑わしている高評価のミュージカル映画ですが(一番大事なアカデミー賞の作品&監督賞でノミネート漏れしましたが・笑)、私が見ても「おお、これは面白い!」と思えるような、非常にハイレベルの映画でした。それもこれも、私がこのジャンルの映画に対する楽しみ方を覚えたせいかもしれません。
前にもどこかで書いた事があるような気がするんですが、ミュージカル映画の歌とダンスのシーンというのは、「アクション映画におけるアクションシーン」並みの昂揚感のある“見せ場”として楽しめるんですよね。
あと、「登場人物が突如歌い、踊り出す」という、このジャンルの映画特有のシーンにおいても、あまり違和感を感じずに見られるようになったというのも大きいです。
その見せ場のシーンの迫力は、さすがに製作側も力を入れていたであろう大作ミュージカル映画だけに、相当のものがありました。演出面とか音楽面もいいんですが、肝心の歌い手の人達がまたみんな上手い人を揃えてるんですよね。特に、ビヨンセなんかは本職ですからね。これは、格闘技経験者がアクション映画に出てるのと同種の有り難味がありますね。「やっぱりプロは凄いなぁ」と思わせてくれます。
ちなみに、一般では新人のジェニファー・ハドソンの方が「凄い凄い」ともてはやされてますが、私は「本職の歌手であるビヨンセが、役柄上、ジェニファーの演じた役よりも歌唱力が劣る設定の人物を演じてる」という方が凄いと思いますね。プライドの面などで色々と葛藤があったんじゃないかと思ってしまいます(撮影が終わった後にすぐさまアルバムの製作にとりかかったらしいのは、やっぱりストレスが溜まってたのか・笑)。

歌のシーンだけでなく、ストーリー自体も非常に面白いものでした。主要登場人物それぞれの思惑が見てて理解出来るんですよね。自分の歌唱力に自信があるエフィーのあの放漫な態度も、「もし自分に才能があるのが分かってたら」と思うと非常に共感出来るものです。
一方、世間に受ける曲ばかりを狙うカーティスのやり方も理解出来ます。こちらは、プロデュース力に関しては確実に才能のある人ですからね。それに、ただ「有名になりたい、金が欲しい」というだけでなく、当時のアメリカの社会に、自分達黒人からスターを輩出するという野望を持ってるような雰囲気でした。で、実際にカーティスの手腕によってドリームズは全国区のスターになったようですからね。
だから、カーティスのエフィーに対する態度は間違ってはいないと思うんです。カーティスの立場からすると当然とも言えると思います。同時に、カーティスに反抗するエフィーの態度も間違ってないと思います。結局、お互いの主張が相容れない立場にいたというだけの事だったんですよね。これはエフィーに限らず、ジミー・アーリーにも言える事ですけど。
ただ、まだ無名のエフィーならともかく、ジミーなら、自分のやりたいソウルフルな曲を歌わせてくれるレコード会社と契約するという事も出来たんじゃないかと思うんですよね。ここが唯一分からない所でした。何故、ジミーには「カーティスの元を去る」という事が出来なかったのか。「やりたい事が出来るマイナーな所」と「やりたい事は出来ないが大金が稼げる大手」と秤にかけて、後者を選んでいたという事なんだろうか。

さて。主演なのにあんまり話題に上ってない、カーティス役のジェイミー・フォックスですが、個人的には「この人って、本当に演技のうまい人なんだな」と思うような名演を見せているように思えましたね。『Ray/レイ』以外の映画ではいまいち地味な印象があったんですが、レイ・チャールズの物真似だけが能じゃなかったんですね。
ですが、この映画の全キャストの中で、最も「凄い!」と思ったのは、当然、我らがエディ・マーフィですよ。エディ演じるジミー・アーリーのステージでの輝きっぷりときたらどうですか。「あれこそまさに大スターのステージだ」と思うような、見事なパフォーマンス!もし私が当時のアメリカに住んでいて、さらにジミー・アーリーが実在の人物だったら、きっと大ファンになってたと思いますね。ほんとカッコ良かったですよ。ああいうの大好きです。
ちなみに、ジェイミー・フォックスは当初は高額のギャラを要求していて、この映画への参加を本腰を入れて希望していなかったようなんですが、エディ・マーフィが出るのが決まったと聞いた途端、「ギャラをカットしてでも出たい!」という事になったらしいですね。これを聞いて、私のジェイミーへの好感度アップですよ。見る目があるじゃないか(何様だ・笑)。

と言う訳で、ストーリーもキャストも最高だし、ミュージカル映画としての見せ場もバッチリ決まっていたという、文句の付けようの無い映画でした。
いや、文句はありましたね。ジミー・アーリーの出番が少なすぎです(笑)。正直、ジェニファー・ハドソンの歌のシーンをもう2,3減らして、代わりにエディ@ジミーがステージでハジけるシーンを増やして欲しかったです。


ジョジョの奇妙な冒険 ファントム・ブラッド

累計発行部数 7000万部ッツ!
奇才・荒木飛呂彦が描く驚愕のJOJOワールド
その原点「ファントム ブラッド」運命の映画化ァッツ!!  ◎満足度 ★★☆☆☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎評価度 ★☆☆☆☆ (そのジャンルの映画としてどれだけいい出来だと思うかを主観、客観両面から評価)
 ◎感情度 ★★☆☆☆ (笑い、泣き、興奮、恐怖など、見ていて何かしら感情を揺さぶられたかどうか)
 ◎CAST度 ★★★☆☆ (個人的に、キャスティングに満足いったかどうか)
 ◎監督度 ☆☆☆    (監督の演出が個人的に良かったかどうか)
 ◎音楽度 ☆☆☆    (音楽がどれだけ印象的だったか)
 ◎期待度 ☆☆☆    (見る前の期待にどれだけ応えてもらえたか)
 ◎体感時間度 ★★☆ (実際の上映時間より長く感じたか、短く感じたか。短く感じられた方が高得点)
 ◎リピート度 ☆☆☆  (今後、何回も見たいと思えたかどうか)
 合計 10点

この映画の存在、それ自体が、まさに無駄無駄無駄ァ! <個人的感想>
全世界待望の、『ジョジョの奇妙な冒険』の映画化ですよ。しかも、エピソード1/ファントム・ブラッドから映画化ですからね。これが当たれば、『エピソード2/究極生物の攻撃』、『エピソード3/ディオの復讐』とシリーズが続いていく事になるのでしょう。
と言う訳で期待して見に行ったんですが、これがまあ、ガッカリさせられる代物でした。あくまでも、私にとっては面白く無かったという話で、アニメファンとかが見たら、私の気付かなかった評価ポイントがあったりするのかもしれませんよ。でも、私にとっては、もうこの映画の事を思い出したくもないぐらいでしたね。おかげで感想を書き上げるのに苦労してしまいました。
では、一体、何が気に入らなかったのかと言いますと、内容が単なるダイジェスト版だったという事ですね。映画版ならではの面白味が皆無なんですよ。エピソードやキャラが色々カットされてるんで、「見たかった場面が無いッ!」という面でイライラが溜まってきてしまいます。
「動くジョジョが見られる」という点に面白味を見出せればいいんですが、個人的に、この面にはほとんど有り難味が感じられなかったんですよね。見る前は期待してたんですけど、見てみたら、原作コミックを読んでる時に脳内で想像していた動きに追いついてないんですよ。
これじゃあ、この映画を見に行く時間を使って、家で原作を読んでいた方が明らかに有意義な時間が過ごせるってものじゃないですか。
だいたい、あの『ジョジョ』をたった90分で映画化するという製作側の考えにまず異を唱えたいところですね。そんな短い時間で『ジョジョ』の魅力を語る事が出来るのかと。最低でも2時間はかけるべき題材ですし、それがどうしても無理なら、90分の映画として成立するような脚色をすべきだと思います。無理矢理圧縮するんじゃなくって。
例えば、『X−MEN』の映画版だって、原作コミックとはまた違うストーリーになってるらしいですし(あちらは実写映画ですけど)、そういう、「元の原作の持つ魅力を活かしたオリジナルストーリー」という内容にしてくれた方が、私は良かったですね。と言うか、日本でアニメ映画化するんじゃなくて、ハリウッドで実写映画化して欲しかったです(『北斗の拳』みたいになる危険はありますが・笑)。

まあ、結局、「原作に強い思い入れを持っていると、映画版はまず楽しめない」という事なんでしょうね。最初から期待値を出来るだけ下げてから臨めば、もっと違った見方が出来て、この映画版ならではの面白さも見つけられたのかもしれないですねぇ。まあ、そんなのがあればの話ですが。


世界最速のインディアン  <The World's Fastest Indian>

惚れた。信じた。追いかけた。  ◎満足度 ★★★★☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎評価度 ★★★★☆ (そのジャンルの映画としてどれだけいい出来だと思うかを主観、客観両面から評価)
 ◎感情度 ★★★☆☆ (笑い、泣き、興奮、恐怖など、見ていて何かしら感情を揺さぶられたかどうか)
 ◎CAST度 ★★☆☆☆ (個人的に、キャスティングに満足いったかどうか)
 ◎監督度 ★★☆    (監督の演出が個人的に良かったかどうか)
 ◎音楽度 ★★☆    (音楽がどれだけ印象的だったか)
 ◎期待度 ★★☆    (見る前の期待にどれだけ応えてもらえたか)
 ◎体感時間度 ★★☆ (実際の上映時間より長く感じたか、短く感じたか。短く感じられた方が高得点)
 ◎リピート度 ★☆☆  (今後、何回も見たいと思えたかどうか)
 合計 22点

今晩の食事と握手するハンニバル氏 <個人的感想>
もういい歳をしたお爺ちゃんが、自慢のバイクがどれだけのスピードが出るのかを確かめる為に、ニュージーランドからアメリカまで旅をする、という内容の、実話を元にした映画です。
前に見た『幸せのちから』も、実話を元にした映画で、主人公のガッツ溢れる生き様に感動したものでしたが、こちらの主人公もかなり凄かったですね。
アメリカの広大な塩平原で、スピードを出すのを目的に作られた改造バイクでその早さを競い合うみたいな大会が開かれているんですが、主人公はそれに参加しようと思うわけです。
ですが、まず住んでる所が、アメリカとは地球の反対側にあるニュージーランドで、金持ちでもないので旅費も長い年月をかけて貯め込まないとなりません。もうこの時点で普通なら諦めてもいいような所ですよ。
さらに、最大の障害。この主人公はもう60を超えたお爺ちゃんで、しかも心臓に爆弾を抱えているような状態です。浮かれて踊っただけで病院行きになったりしてましたからね。
尚且つ、自慢のバイクとやらが、もうどう見ても骨董品なんです。ただ、本人は世界最速のポテンシャルを秘めたマシーンだと思っているんですけどね。で、それを証明する為にも是非ともこの大会に出てみたいと思ってるわけです。 もう、何だか「無謀な旅」といった感がありまくるんですが、それでもこの主人公のバート・マンローはチャレンジするわけですよ。まさに、「自分をあきらめない」といった感じです。

映画の大半は、目的地のボンヌヴィル塩平原まで向かう旅路が描かれる事となります。いわゆる、ロードムービーですね。このジャンルは結構好きで、今年の頭には『リトル・ミス・サンシャイン』という同ジャンルの傑作もありました。
金は無いし、初めての土地だし、お爺ちゃんだし、バイクを牽引していかなくてはならないしと、かなりキツい旅なんですが、それを持ち前の人好きのする明るい性格でもって切り抜けていくんです。これが、見てて実に清々しかったですね。
この映画のストーリーの面白さは、何よりも、この主人公バート・マンローのキャラクターが素晴らしかったからこそだと思いますね。行く先々で友人を作ってしまえるような、明るくてユニークな性格で、しかも、こんな無謀な旅に出てまで夢を実現させようとするガッツも持っています。そんなバートによる旅の様子は見てて非常に面白かったですね。人と会った時、まず自己紹介をする所なんかは見習わなければならない点ですよねぇ。まあ、私には絶対無理だと思いますが・・・(笑)。
また、バートには「人から好かれる人徳」以外にも貴重な能力を持っています。それは、「メカに強い」という事。何しろ、自慢のバイクのインディアンも自分でチューンナップしたものですからね。そして、「どうすればスピードが出るのか」というのをきちんと計算して作れる頭の良さも持っています。ただの無謀なお爺ちゃんではないんです(笑)。

そして、色々な波乱がありながらも、最後はインディアンでもって“世界最速”に挑むわけです。ここはもう、見ててドキドキでしたね。記録を作れるのか以前に、「途中でマシンがぶっ壊れないか」「バート自身が発作で倒れないか」など、心配事が山積みですからね(笑)。
それにしても、老人が改造バイクに乗って疾走する姿はかなりインパクトがありますね。そして、「どんなに歳をとろうが、夢を追い続けるのを諦めてはいけない」というのが感じられる姿でもありました。何か高潔な感じがしましたね。こんな歳の取り方が出来たら最高だなと思います。

一見すると地味そうな雰囲気の映画ですが、2時間をやや超える上映時間も気にならないようなストーリーの面白さを持った、とても楽しい映画でした。 さらに、ほんの一瞬とはいえ、豚の登場シーンがあったのも個人的には最高でした。黒いブチのある子豚で、体にリボンが巻き付けられた、それは可愛らしいブタでしたねぇ。私にとって、最高のサービスショットでした。


不都合な真実  <An Inconvenient Truth>

地球の裏切りか?
人類が地球を裏切ったのか?  ◎満足度 ★★★★☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎評価度 ★★★★★ (そのジャンルの映画としてどれだけいい出来だと思うかを主観、客観両面から評価)
 ◎感情度 ★★★★☆ (笑い、泣き、興奮、恐怖など、見ていて何かしら感情を揺さぶられたかどうか)
 ◎CAST度 ★★★☆☆ (個人的に、キャスティングに満足いったかどうか)
 ◎監督度 ★★☆    (監督の演出が個人的に良かったかどうか)
 ◎音楽度 ★☆☆    (音楽がどれだけ印象的だったか)
 ◎期待度 ★★★    (見る前の期待にどれだけ応えてもらえたか)
 ◎体感時間度 ★☆☆ (実際の上映時間より長く感じたか、短く感じたか。短く感じられた方が高得点)
 ◎リピート度 ★★★  (今後、何回も見たいと思えたかどうか)
 合計 26点

「地球の環境は、オレが守る!」 <個人的感想>
地球温暖化について、元副大統領の肩書きを持つ男アル・ゴアが語る、という内容のドキュメンタリー映画です。
私もこれまで数本のドキュメンタリー映画というのを見てきましたが(ギリギリ片手で数えられる程度の本数ですが・笑)、中でもこの映画の面白さと興味深さは群を抜くものがありましたね。
何が面白いのかと言うと、語り部であるアル・ゴアのスター性が凄いんですよ。話の説得力とか威厳とか、今までのドキュメンタリー映画で見られた、映画監督の語りとはもう別次元の凄味がありましたね。さすがは大国の副大統領にまで登りつめた人間ですね。むしろ、「実は大統領まで登りつめた人よりも凄い人なんじゃないのか」と思ってしまいます。

映画の構成は、ほとんど講演会の様子をそのまま映してるだけというものです。映画ならではの面白さというのは希薄ではありました。でも、この講演会自体がすでに「知的エンターテイメント」の域にまで達してるものになってるんですよね。時に、アニメーションを使って解説してみたり、時に語りの中にユーモアを混ぜてみたりと、並のドキュメンタリー映画以上の視覚的・聴覚的な面白味があるんです。
そして、ただ講演会の様子を垂れ流すだけでなく、合間に、アル・ゴアの「なぜ私はこの問題に興味を持ったのか」みたいな、語り部の個人的なエピソードが挿入されたりするんです。これで「この人はこの問題について偉そうに語る資格があるんだろうか」と思うような事が無くなるわけですよ。

個人的に、テーマである地球温暖化について多少の興味があったんで、最初から最後まで非常に面白く見る事が出来ましたね。しかも、てっきり「地球は今、とんでもない所に来ている!」という危機感を煽るだけで終わるのかと思っていたんですが、それだけでは終わってないんです。
まず、「何故、そういう現象が起こるのか」を科学的に解説し、その後、「今、地球がどれだけヤバい状態になってしまっているのか」という点を証拠映像を元にしっかりと語ってきます。そしてその後、「では、この後、具体的に我々に何が出来るのか」という所もしっかり語ってくれるんです。なので、見終わった印象は決して絶望的なものではなく、「まだ希望がある」という安心感を得られるラストになってるんですよね。
しかも、それが語られるクライマックスにおいて、アル・ゴアが今までで最高のテンションでもって熱〜い演説をぶちかましてくるんですよ。これがまた、『インデペンデンス・デイ』の大統領の演説を聞いてる時のような昂揚感が感じられるもので、「私も温暖化防止の為の活動を始めます!サー!」と敬礼しながら叫びたくなってしまいましたね。

この映画で提示されるデータ類は全て、アル・ゴアが自分で調査したものとかではなく、科学者が調べ上げたものです。ですが、科学者がいくら頑張ってデータを提示しても伝わらないようなものを、この映画でアル・ゴアは伝えきったと思いますね。
ある問題を世間に問いたい時、こういう、カリスマ的な伝道師を見つけるというのは必要な事なんだなと思いましたね。


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