※星マークの評価ポイントは、星の数により、5点段階評価と3段階評価の2種類があり、合計点は最高で35点満点となります。

リーピング  <THE REAPING>

イナゴ少女、現る。  ◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎評価度 ★★★★☆ (そのジャンルの映画としてどれだけいい出来だと思うかを主観、客観両面から評価)
 ◎感情度 ★★★★☆ (笑い、泣き、興奮、恐怖など、見ていて何かしら感情を揺さぶられたかどうか)
 ◎CAST度 ★★★☆☆ (個人的に、キャスティングに満足いったかどうか)
 ◎監督度 ★★★    (監督の演出が個人的に良かったかどうか)
 ◎音楽度 ★★☆    (音楽がどれだけ印象的だったか)
 ◎期待度 ★★★    (見る前の期待にどれだけ応えてもらえたか)
 ◎体感時間度 ★★★ (実際の上映時間より長く感じたか、短く感じたか。短く感じられた方が高得点)
 ◎リピート度 ★★☆  (今後、何回も見たいと思えたかどうか)
 合計 29点

ミリオンダラーベイビーVSイナゴ少女! <個人的感想>
今年はホラー映画の公開が少なくて、ホラーファンとしては何とも寂しい上半期でした。
最近になって、『サンシャイン2057』『ハンニバル・ライジング』といった、ホラーの要素のある映画がようやく公開されてきましたが、ここにきてようやく、「100%ホラー映画」と呼べる映画が出て来ました。それがこの『リーピング』です。
製作のダーク・キャッスルにとって、初めてのオカルト映画となるわけですが、前回の『蝋人形の館』で見せた快調さは今回も健在。実に面白い映画になっていました。私がホラーに飢えていたというのを差し引いても、良く出来た映画だったと思います。何しろ、ホラー映画で久しぶりに怖くて震えるシーンが出て来ましたからね。今思うと何の事は無いシーンなんですけど、見てる時はブルっときたんですよ。

世に起こる“奇跡”というものが全て科学で解明出来ると信じる主人公が、とある田舎町で起こった「旧約聖書に書かれた10の災いが現実に起こる事件」の謎に挑む、というストーリーです。
冒頭で、チリだかどこかで起こった「神の奇跡」と言われる現象を科学的に解明するというシーンが出て来て、主人公である、ヒラリー・スワンク演じるキャサリンが、いかに有能な科学者であるのかを見せてきます。で、設定上の話だけでなく、本当に、見るからに有能そうに見えるんですよね、これがまた。さすがはオスカー女優ですよ。
で、その実力を見込まれて、とある町で起こった怪事件の調査に、同僚の黒人のおっちゃんとやってくるんですが、この二人が実にいいコンビなんですよね。同僚の方は、同じ科学者でありながら、不思議な現象、と言うか、神の奇跡というものを「信じたい」と思ってる立場にいます。超常現象に対してのスタンスがコンビで違うというのは、『X−ファイル』を思わせる、いい設定ですね。
ちなみに、キャサリンの方にも、「元は神を信じる聖職者だった」という過去があったりします。ある事件で信仰を捨て、現実主義に走るようになったわけですが、当然、この辺は後のストーリーに絡んでくる事となります。この「ある事件をきっかけに、一度捨てた信仰を取り戻す」というストーリーは時々見かけますね。『エクソシスト ビギニング』とか『サイン』とか。やっぱり、神の奇跡と対極にある科学が全盛の時代だけに、定期的に「信仰の良さを見直そう」的な映画が出てくるんですね。

私は、“宗教”に関しては、「うさん臭いものだ」という考えですが、“不思議な現象”というものには興味があります。神よりも科学を信じるタイプの人間ですが、科学でも説明のつかない超常現象は実際にあって欲しいと思うんですよね。なので、この映画で出てくる「10の災い」を解明しようとする辺りのシーンは非常に興味深かったです。それが、全て科学的に証明出来ても面白いし、証明出来なくても面白いという、この映画を楽しむうえで非常にいい状態に私はいるわけですよ。そのおかげで、「聖書の知識が無い為に所々分かり辛い箇所がある」というストーリーなのにも関わらずこんなにも楽しめたんでしょうね。
この映画では、「オカルト的現象は現実に起こる」という背景がある映画なので、10の災いを科学で説明する事は出来ませんでした。でも、有能な科学者でも解明出来ない、圧倒的な超常現象、というのは見ててワクワクしますね。不思議な事に対する好奇心を刺激してくれます。

ところで、この映画には「イナゴ少女、現る」という、実に興味をそそられるキャッチコピーがつけられてましたが、少女が操るのはイナゴだけじゃなく、10の災い全てを起こしているんですよね。イナゴ登場シーンなんて、劇中で5分あるかないかぐらいのものです。
でも、他の災いシーンの中でも、最も迫力がある場面で、確実に映画の見せ場のシーンにはなっていましたね。私は基本的に虫は大嫌いで、多分、イナゴ一匹が目の前に現れただけでも悲鳴を上げながら逃げ出すと思いますが(いや、そこまで酷い状態にはならないかも・笑)、「大量のイナゴが出て来る」という場面を見ても、意外にもそんなに気持ち悪くなかったですね。やっぱり、現実に目にするのとスクリーンを通して見るのとでは違いますね。当然ですが。
他の、川が赤く染まるだとか、カエルが降って来る、火柱が上がるといった災いシーンも、「夢のある映像だな」とか思って喜んで見ていたんですが、家畜が弱って死ぬという内容の災いは、ちょっと見るのが辛かったですねぇ。犠牲になったのは牛で、豚ではなかったんですが、やっぱり、豚以外の家畜にも多少の仲間意識みたいなのがあるんで、気の毒でしょうがなかったです。


スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい  <SMOKIN' ACES>

ターゲットは1人――報酬100万ドル 殺るのは誰だ!?  ◎満足度 ★★★★☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎評価度 ★★★☆☆ (そのジャンルの映画としてどれだけいい出来だと思うかを主観、客観両面から評価)
 ◎感情度 ★★☆☆☆ (笑い、泣き、興奮、恐怖など、見ていて何かしら感情を揺さぶられたかどうか)
 ◎CAST度 ★★☆☆☆ (個人的に、キャスティングに満足いったかどうか)
 ◎監督度 ★☆☆    (監督の演出が個人的に良かったかどうか)
 ◎音楽度 ★★☆    (音楽がどれだけ印象的だったか)
 ◎期待度 ★★☆    (見る前の期待にどれだけ応えてもらえたか)
 ◎体感時間度 ★★☆ (実際の上映時間より長く感じたか、短く感じたか。短く感じられた方が高得点)
 ◎リピート度 ★★☆  (今後、何回も見たいと思えたかどうか)
 合計 20点

ウワサのカラテボーイ <個人的感想>
『NARC ナーク』のジョー・カーナハン監督の最新作です。
『ナーク』は映画ファンからの評価が高かったですが、私にとってはそんなに面白く無い映画でした。何か、演出に落ち着きが無くって、見ながら「いかにも映像派の若い監督の映画だなぁ」なんて事を冷めた感じで思ってしまいました。
ですが、今回は内容がアクション映画だというのが良かったのか、その落ち着きの無い、映像に凝った演出というのが、いい方に感じられましたね。

エース・イズラエルという男がマフィアから狙われる事となって、報酬目当ての殺し屋や暗殺者、ヒットマンなどが続々と押し寄せてくる事となります。まあ、どれも同じ意味の職種ですが。
他にも、FBIとか保釈人だったかそんな方々もエースに接触しようとしていたり、エースの雑用係やボディガードなんかもいたりして、もう、登場人物がイヤになるぐらいに多いです。
で、私がこういう映画を見る時はたいがいこうなるんですが、ストーリーの意味がよく分かりませんでした(爆)。もう、ごちゃごちゃしていてついていけません。
でも、結局、「エースをみんなが狙っている」「エースの泊まっているホテルでそれぞれ潰しあう」という単純な展開になっていくので、面白く見る事は出来ました。それぞれがどんな思惑を持っているのかは分からずとも。
FBIがいわゆる正義の味方である主人公側で、他の連中は全員悪役側という感じなんですけど、その悪役連中同士の対決がある、というのが私的に良かったんでしょうなぁ、きっと。いわゆる、敵キャラ同士が戦うという状況は、数あるアクション映画の中にあっても珍しい展開だと思います。『スパイダーマン3』で言えば、サンドマンとヴェノムが潰しあってくれるようなものですからね。
で、やって来る暗殺者達が(4組ぐらいでしたか)それぞれ個性的なんですよ。キャラクターや武装はもちろん、「どうやって標的に近づくか」という面にもそれぞれ独自のプランがあって面白いんです。果たして、エースの元に辿り着けるのは誰なのかと。
それぞれ競い合ってるわけではないんですが、何しろ狭いホテルが舞台なせいか(豪華なホテルですけど、戦いの舞台となるには狭い・笑)、中で鉢合わせたりするんですよね。そして、そこでバトルがおっ始まったりするわけですよ。
ストーリー的には、セガールの『撃鉄』並に混乱したものなんですが、やっぱり、舞台がほぼ一ヶ所に限定されてるのが良かったのか、映画を楽しむうえで問題になるような混乱度は無いんですよね。「ストーリーはよく分からないけど、でもどこかスッキリしている」という感じで。

ただ、この映画一番の見どころは、あくまでも個人的にですけど、映画の本筋と全く関係の無い、あるシーンでした。
登場人物の一人が、とある民家に助けを求めに行く事になるんですが、ここで出て来る家の住民、「カラテボーイ&おばちゃん」のコンビが最高なんですよ(笑)。
後のストーリーにも全く絡まないキャラクターで、正直、何のために登場したのかまるで分からないんですけど、その存在感は最強クラスなんです。で、「こんなのが出て来る映画は、いい映画に違いない」とか思ってしまって、結果として映画の評価を上げる役目を果たしていたりするんですよねぇ。
特に、前作『ナーク』ではウザくてしょうがなかった、“カーナハン流凝った映像表現”を駆使して描写するカラテボーイの動きは爆笑必至ですよ。この監督、シリアスドラマよりコメディを撮った方が実力を発揮出来るんじゃないかと思いましたね。


ツォツィ  <TSOTSI>

拳銃を持つその手で、小さな命を拾った。  ◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎評価度 ★★★★★ (そのジャンルの映画としてどれだけいい出来だと思うかを主観、客観両面から評価)
 ◎感情度 ★★★★☆ (笑い、泣き、興奮、恐怖など、見ていて何かしら感情を揺さぶられたかどうか)
 ◎CAST度 ★★★☆☆ (個人的に、キャスティングに満足いったかどうか)
 ◎監督度 ★★☆    (監督の演出が個人的に良かったかどうか)
 ◎音楽度 ★★☆    (音楽がどれだけ印象的だったか)
 ◎期待度 ★★★    (見る前の期待にどれだけ応えてもらえたか)
 ◎体感時間度 ★★☆ (実際の上映時間より長く感じたか、短く感じたか。短く感じられた方が高得点)
 ◎リピート度 ★★☆  (今後、何回も見たいと思えたかどうか)
 合計 28点

“バケツの蓋シールド”を装備して防御力アップ! <個人的感想>
最近流行のアフリカ系映画です。でも、数が作られる割には、どの映画も大して話題にもなっていなければ、当然、ヒットもしてないんですよね。ハリウッド大作として作られた『ブラッド・ダイヤモンド』ですらそうなんですから。
でも、『ブラッド・ダイヤモンド』といい、『ホテル・ルワンダ』といい、アフリカ系映画には結構いい内容の映画が多いんですよね。そして、この映画もその例に漏れない、非常に感動的な映画でした。

アフリカのスラムに住む不良少年のツォツィが改心するまでを描いた映画で、その更生のきっかけとなるのが、ある赤ん坊との出会いでした。
実は、『プロジェクトBB』と同じようなストーリーの映画なんですね。赤ん坊には悪い心を癒す効果があるのだろうか。で、ジャッキーには悪いんですが、こっちの方が全然いい映画でした(爆)。やっぱり、演出が私好みなんですよね(アジア映画じゃないせいか)。大袈裟な演技をする人もいないですし。ただ、何しろこの映画にはジャッキーが出ていないので、「面白さ」に関しては『プロジェクトBB』に軍配が上がる事になりますかね。

さて。主人公のツォツィは、暴力行為や盗みを平気で働く悪い奴です。ですが、どうも根は悪い人間ではなさそうなんですよね。ある時からダークサイドの道を歩み始める事となったのですが、心の奥では、“憐れみの心”というのを残しているようです。なので、持ち主を撃って盗んだ車に、赤ん坊が乗っているという事に気付いた時、そのまま捨てておかずに、家に連れて帰るという選択をしたんでしょうね。
そして、赤ん坊のお世話をしていく内に、失っていた優しい心が目覚めてくる、という流れになるんですが、この際の心境や感情の変化を、ツォツィ役を演じているプレスリー・チュエニヤハエという、カタカナを適当に並べたような名前の人が見事に好演していましたね。見てるこちらの心を震わせるような、いい表情をするんですよ。実は、この映画がデビュー作なんだそうですね。凄い新人が出てきたものです。

日本では、定期的に「親が子供を虐待した」的なニュースが出て来るので、この映画のストーリーの根幹である、「不良が赤ん坊の世話なんてするのか?」という点につい疑問を持ってしまうんですが、ツォツィの人物像を上手く描写しているので、違和感がないんですよね。こいつなら葛藤の末に赤ん坊を育てようという選択をするだろうというのが理解出来るんです。
そして、このアフリカのスラムに住む不良少年に赤ん坊をいたわる事が出来るのなら、我々にも同じ事が出来るはずだな、という希望を持つ事が出来ますね。痛ましいニュースにうんざりする事もありますが、もしかしたら、まだこの世も捨てたものではないのかもしれないと思えそうです。

あと、この映画のストーリーで大きく感心した所に、「ツォツィが、誰の助けも借りず、自分の意思で更生の道を歩み始めた」というのがありました。強いて言えば、赤ん坊が恩人という事になるんでしょうかね。
自分の周囲を取り巻く環境、そして自分のやってきた行動などをきちんと自分で考え、そして自分に向き直り、正しい道を模索しようとするんですよ。これは、そう簡単に出来るものではないですよね。お金は盗んで稼いだ方が手っ取り早いですし、銃を持っていれば他人を自由に意のままにする事も出来ます(銃をちらつかせて脅せばいいんですからね)。
でも、そういう「悪の心」に、今まで眠っていた「善の心」が戦いを挑む事になるんです。きっと、赤ん坊の夜泣きで目が覚めたんでしょうな(笑)。
そして、そのツォツィの善の心の拠り所となっていたのが、どうやら母親の存在だったようですね。回想シーンで病人として出て来ていたので、きっともう死亡してしまっているのでしょうが、多分、優しい人だったのでしょうね。勝手な想像ですが、死に目に会ってない所に後悔の念を抱いてたりするんじゃないかと思います。
ところで、この映画が公開されてるのと同じ時期、「自分との戦い」というキャッチコピーを謳った『スパイダーマン3』、スタローンが自力でどん底から復活した『ロッキー・ザ・ファイナル』といった映画が公開されていますが、ツォツィはスパイダーマンのように自分との戦いを経て、そしてスタローンのように自力で這い上がろうとしたんですよね。凄い漢だぜ、ツォツィ。
ちなみに、“ツォツィ”というのは実は本名ではなく、「不良」だったか、そんなような意味を持つあだ名なんだそうですが、私にとって“ツォツィ”は「人は正しい道を選ぶ事が出来る」という希望の意味がある言葉のように思えますね。


スパイダーマン3  <SPIDER-MAN 3>

もう一人の敵、それは「自分」。  ◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎評価度 ★★★★★ (そのジャンルの映画としてどれだけいい出来だと思うかを主観、客観両面から評価)
 ◎感情度 ★★★★☆ (笑い、泣き、興奮、恐怖など、見ていて何かしら感情を揺さぶられたかどうか)
 ◎CAST度 ★★★★☆ (個人的に、キャスティングに満足いったかどうか)
 ◎監督度 ★★★    (監督の演出が個人的に良かったかどうか)
 ◎音楽度 ★★☆    (音楽がどれだけ印象的だったか)
 ◎期待度 ★★★    (見る前の期待にどれだけ応えてもらえたか)
 ◎体感時間度 ★★☆ (実際の上映時間より長く感じたか、短く感じたか。短く感じられた方が高得点)
 ◎リピート度 ★★★  (今後、何回も見たいと思えたかどうか)
 合計 31点

一張羅 <個人的感想>
全世界待望の3作目、いよいよ登場ですよ。私も、最高に出来のいい「予告編第一弾」を見て以来、見るのを心待ちにしていました。
で、その期待作を実際に見てみて。確かに、期待通りの力作ではあったんですが、何でしょう。「面白かった!最高の映画だった!」と言い切れないものがあるんですよね。
で、その原因ははっきりしているんです。それもたった一つです。それは、ラストがスッキリしない、というものですよ。
例えば、続編へと続く謎が残るとか、そういう終わり方ではないんです。ストーリー自体はきちんと完結してるんですよ。でも、そういうのとは別の意味で、スッキリしない終わり方なんですよね。何でこういうストーリーにしたんだろう。他に「話の締め方」の候補は無かったんだろうか。

ですが、それ以外はほぼ完璧でした。個人的には『2』より面白かったです(さすがに『1』には及びませんでしたが)。
まず、ストーリーがいいんですよね。“許し”というのがテーマになっているんですが、それにまつわるドラマがしっかりと語られていて、映画を見終わる頃には「私も誰かを許そう」とか思うぐらいでした(まあ、誰も恨んでない時だからそんな事が思えたのかもしれませんが・笑)。
新たな敵に関する話も面白いですが、何よりも、ピーター、MJ、ハリーといったお馴染みの面々のドラマの続きですよ。この3人の関係がシリーズのストーリーの肝みたいなものですからね。
前作ではひたすらに辛そうだったピーターの私生活も、前作のラストからすっかり好転。見てて微笑ましくなるぐらいの有頂天っぷりとなっていました。『1』からの、ピーターのMJに対する想いを知ってるだけに、見てて「ほんと、良かったなぁ」とか思ってしまいましたね。
MJも、今まで色んな男と付き合ってきたヤリマン(爆)ですが、やっぱり、ピーターと一緒にいる時の方が一番しっくり行ってるように見えます。
ですが、シリーズ中、幾度も謎の行動心理を見せてきたMJのこと。今回も「ピーターとずっと仲良し」というわけにはいかないんですよ。まあ、こいつの我がままぶりにはほんと呆れ返りますな(笑)。
でも、今回の心理は分からないわけでもない、という感じはちょっとありましたね。「自分は普通の人間なのに、恋人は超能力を持ったスーパーヒーロー」という所からくる“妬み”的なものがあるでしょうし、何より、ピーターが、私ですら「それをやったらダメだろう」という行動をやらかしてしまいましたからね。
でも、そういう間違いを主人公が犯す所もこの映画の魅力ですよね。ほんと、ピーターって、普通の人なんですよね。普通の人と言うか、普通の“オタク青年”ですかね。本来ならヒーローになんてなれないような人種ですよ。それが、たまたまスーパーパワーを持ってしまったが為に、ヒーローになってしまった、という人なんですよね。
この等身大なヒーローの描写は相変わらずいいですね。非常に共感できます。 後に、今回の敵の一人、ヴェノムに取り付かれてダークサイドに堕ちる事となるんですが、これが、「悪人になった」と言うより、「悪い子になった」みたいな感じなんですよね。元がオタク青年なせいか。
でも、普段おとなしい人がキレた時のような妙な凄みがあって、黒ピーターは中々魅力的でしたね。本来は魅力を感じたらいけない所なんですけど、髪形やファッションも普段のピーターよりキマってましたし。
ヴェノムのおかげでピーターは復讐に狂う事となるんですが、もう一人、ヴェノムと関係無いのに復讐に燃えている男がいました。それはもちろん、前作のラストで“ハリー・オズボーンと秘密の部屋”に入り込んだ彼ですよ。“復讐”と言えば、この映画のテーマである“許し”の反対語みたいなものですからね。
「伯父を殺された復讐」「父を殺された復讐」。これらがどうなっていくのかというストーリーも実に興味深かったです。

さて。今回、映画史上最高の製作費がかけられたという話題が出ていますが、そんな話が飛び出すぐらい、映像が派手派手なわけです。当然、アクションシーンも大迫力になってると思われがちですが、どうも、見ててあんまり燃えないんですよね。確かに映像は凄いですし、スピード感も相当なものなんですが、逆に早すぎて何がなんだか分からない状況になってしまってるんですよね。飛び回るスパイダーマンのアクションに“浮遊感”がほとんど感じられないんです。
サンドマンを表現するのに使われた技術も凄いものがあるんでしょうけど、結局、「凄いCG」以上のものには見えないんですよね。もっと、見せ方というものにもこだわって欲しかったですね(どうも、CGの見せ方使い方は、サム・ライミよりもピーター・ジャクソンの方が上手みたいですね)。


クィーン  <THE QUEEN>

世界中が泣いたその日、たった一人涙を見せなかった人がいた  ◎満足度 ★★★★☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎評価度 ★★★☆☆ (そのジャンルの映画としてどれだけいい出来だと思うかを主観、客観両面から評価)
 ◎感情度 ★★☆☆☆ (笑い、泣き、興奮、恐怖など、見ていて何かしら感情を揺さぶられたかどうか)
 ◎CAST度 ★★★☆☆ (個人的に、キャスティングに満足いったかどうか)
 ◎監督度 ★★☆    (監督の演出が個人的に良かったかどうか)
 ◎音楽度 ★★☆    (音楽がどれだけ印象的だったか)
 ◎期待度 ★★☆    (見る前の期待にどれだけ応えてもらえたか)
 ◎体感時間度 ★★☆ (実際の上映時間より長く感じたか、短く感じたか。短く感じられた方が高得点)
 ◎リピート度 ★★☆  (今後、何回も見たいと思えたかどうか)
 合計 22点

イギリス版、マウント・ラッシュモア <個人的感想>
97年、ダイアナ元皇太子妃が事故死した時、イギリスの王室内ではどんな状況になっていたのか?という映画です。
私はイギリスの王室事情には詳しくないのですが(と言うか、世界の政治関連の事情にはほぼ全て疎いんですが・笑)、ダイアナさん関連のゴシップなりニュースなりはよく耳にしていたので、あの事故の報道には驚いたものでした。ちなみに、この人は“元”皇太子妃だったんですね。それすらもよく覚えていない始末ですよ。
まあともかく、ああいう事故が起こった時、王族みたいなエラい人達というのはどんな対応を見せるものなのか、というのに興味があって見てみたんですが、やっぱり、こういう人達というのは、庶民とは感覚が相当ずれてるんですねぇ。
特に、『ベイブ』のおっちゃんが演じてた人なんて、もう、ダイアナさんの死を痛む庶民ズを、単なるヒステリー集団扱いしてましたからね。まあ、これはあくまでも映画の中のセリフなんで、実際にそう思っていたのかは分かりませんけど(でも、実際はもっと酷い事を言ってるような気もする・笑)。
そんな中、王室と庶民の間をとりもとうと奮戦してくれてたのが、当時の首相の(今もか)ブレアさんなんですね。むしろ、こっちが主役なんじゃないかと思うぐらいの大活躍っぷりでした。
それにしても、過去の偉人とかではなく、現在も首相を務めてる人をこんなにもナイスガイとして描けるものなんでしょうかね(笑)。「宣伝か」とか思ってしまいますよ。

ともかく、「我らは伝統と権威あるロイヤル軍団なので、あくまでも我が道を貫き通します」というエリザベス女王と、民衆のプリンセスことダイアナの死に対して何の反応も見せない王室に腹を立てる庶民ズ。という構図が出て来るのですが、では、だからといって、民衆の言うなりになって、王室から抜けだした厄介者の為に何か行動を起こさなくてはならないのかというと、私は、そんな事はないんじゃないのかな、とも思うんですよね。
『オール・ザ・キングスメン』の感想でも「エリートは庶民の気持ちなんか分からない」みたいな事を書いて、さも自分も庶民の一員みたいな顔をしていましたが、正直、私も庶民なんてアホの集まりだと思ってますからね(何様だ・笑)。イギリス王室の権威というものを、お前らは少しでも考えているのかとか、そんな事を思ってしまいましたよ。
でも、同時に、ブレア首相がやっているような、庶民の意見を反映させた柔軟な対応をするべきだとも思うんですよね。
この映画、どっちの言い分も理解出来るからこそ、ストーリー展開を面白く見られたのかもしれないですね。

最後に、どうでもいい事ですが、エリザベス女王が車を運転してるシーンがあるのに驚いてしまいました。どこで免許とったんだろう。しかも、携帯電話まで使いこなしてましたからね。やはり、女王を名乗るだけの事はありますね。ただのおばちゃんではないんですね。


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