と、そんな事を思いながら見に行ったのですが、今回はかなり良かったです。3種の神器は一個も使われてませんでしたが、それでも「良い」と思える映画でした。
まず、今回は暗いだけでなく、後半からはやや希望の見えるような、多少明るさのある展開になっていくんです。
そして、何と言っても、ヴァン・ダムの演技がいいんですよ。最近の演技重視の作品選びがついに功を奏してきたんでしょうか。まるで、俳優として1レベルあがったかのような頼もしさが感じられるぐらいでした。
この所、未公開スターの地位にも馴染んできた感がありますが、今回のヴァン・ダムからは、とにかく、カッコいい渋さとスターオーラがバリバリに感じられるんですよね。まさに大スターの風格です。こうなると、いよいよ今のヴァン・ダムの地位の役不足っぷりに悔しさが出てきてしまいますね。
“ヤク中刑事”という役どころで、前半ではかなりの落ちぶれ度を出しているヴァン・ダムですが、「なぜ、こんな状態になってしまったのか?」という点は語られてきません。ですが、別れる寸前の奥さんとの会話から察するに、元々はこういう人間ではなかったようです。
正義感というものはまだ残ってるんですが、それが空回りしているのか、いい方向に働いてくれないんです。「何をやってもうまくいかない」というもどかしさがあるようで、それで益々やさぐれていったりしてるような雰囲気でした。
また、ヴァン・ダムがずっと追っている、ある悪党がいるんですが、実はこいつが元ヴァン・ダムの相棒だったようなんです。こいつの存在も、ヴァン・ダムがヤク中にまで堕ちていった一因のような気がします。
ここまでは、ただ暗いだけのお話なんですが、中盤に急展開を見せてきます。なんと、ヴァン・ダムが凶弾に倒れ、数ヶ月間昏睡状態、しかも、障害が残らずに回復する見込みは0%という状態になってしまうんです。
で、ここからが面白いんですが、本来なら半身不随で残り一生を終えるところなのに、僅か7ヶ月ほどで歩き回れるまでに回復してしまうんです。さすがヴァン・ダム!
ここを突っ込みどころと見る人もいると思いますが、復活後に、今までの生き方を悔い改めたような、真っ当な人間に戻ろうとする様や、ラストシーン等を見るにつけ、「どういう人間として死を迎えるかを選ぶチャンスをもらった男の話」というテーマを表現しているように思えて、個人的には興味深い展開でした。
一方、アクションシーンは少なめで、銃撃シーンが2,3回出る程度です。しかも、地味な演出の銃撃シーンです。
でも、ヴァン・ダムのようなプロのアクション俳優ともなると、凝った演出や振り付けなんて、むしろいらないんですよね。普通に銃を構える、発砲する、物陰から物陰へ移動する、などの基本的な動きがサマになってるんです。リアルな動きかどうかは分かりませんが、アクション映画的には見栄えのする動きだったと思います。こういうのを見ると、「やっぱり、アクション俳優によるアクション映画はいいなぁ」と思いますね。
マーシャルアーツアクションは出てきませんが、あまり、これが無い事に寂しさとか感じられませんでしたね。キャラクター描写がしっかりしてたからなのか、主人公が回し蹴りを披露しない事がむしろ自然に思えるんです。逆に、クライマックスの見せ場のアクションシーンとかで急にマーシャルアーツを使い出したら、違和感が出てしまったかもしれません。
ストーリー展開は面白いと思いますし、ヴァン・ダムの演技もアクションシーンでの動きも完璧。と、ここまでこの映画の事をかなり褒めてきたんですが、実は映画自体の出来はそんなに良くなかったりするんですよね。何と言うか、B級映画ならではな詰めの甘さみたいなのが演出やら脚本やらに見受けられたりして、「惜しい!」と思ってしまう事もしばしばでした。
クライマックスで敵のアジトに乗り込むシーンで、「多人数での銃の突きつけ合い」とか出てくるんですよね。まだこんなのやってる映画があるなんて驚きですよ。何年前に流行ったシチュエーションだよ、これ(笑)。
で、まず「こっちの方が良かった点」ですが、まず何と言っても、見終わってイヤな気分にならない所ですね。見てる間は結構不快感を伴う怖さが感じられたものでしたが、見終わって思い返してみると、そんなに怖くも嫌でもないかったかな、と。
そう思う一番の原因は、犯人が『ソウ』のジグソウほど気合の入った奴じゃなかった、という事ですね。あちらは「もし自分が標的になっていたら」と思うと、もう絶対脱出出来そうもないなと思うんですが、こちらの犯人は付け込む隙がありそうに思えるんですよね。頭もあまり良さそうに見えませんでしたし。なので、主人公を襲う脅威というのに、『ソウ』ほどの深刻さが無いんです。
そして、監禁される主人公に当たる人物が若くてキレイな女だというのもいい点でしたね(爆)。『ゴーストハウス』の感想でも書きましたが、容姿に恵まれた人が酷い目に遭う様を見るのは、なんだかんだ言って快感なわけですよ。私のような糞俗物にとっては。しかも、その主役を演じてるのが『24』のキムなものだから、酷い目に遭う様を見ても、どこか「いい気味」的なものがあったりするんですよね(笑)。
一方、「こっちの方が悪かった点」ですが、これが良かった点と被ってしまうんですけど、犯人の詰めが甘いというところなんですよね。
後半は犯人目線の展開になって、「犯人のワルモノが、いかにトラブルを回避して、捕らえた美少女を思い通りにするか」というのが目的みたいになるんですが、やっぱり、倫理的にいけない事だと分かっていながらも、つい犯人を応援してしまう自分がいたりするんですよね。心のダークサイドが表れた瞬間ですよ。
でも、この犯人は詰めが甘い野郎なので、「そんな事しちゃまずいだろう」と見てて思うようなポカをしでかしたりするんです。
前半部分の、ヒロイン目線の時は、逆に犯人にどこかでミスをして逃げられる隙を見せて欲しいと思っていたんですけどね。で、この前半のパートでは、ヒロインの方がわざわざ犯人を怒らせるようなマズい行動をとったりするんですよ。冷静な目で見たら明らかにとるべではない行動だけど、極限状態にいるためにやってしまう、というのは人間的ではあるんですけどね。
この映画で怖いと思う箇所は犯人の正体が謎のままの前半部分がピークで、正体が割れる後半では、「主人公がこの窮地からいかにして脱出出来るか」という方向に面白さが向く事となります。
なので、「見るも恐ろしい映画」というわけではないんですが、何故か18歳未満は見られないという、かなり厳しいレイティングでの公開となったようです。前半部分では結構怖そうな映像も出てきたようですが、謎の自主規制処理により、ショックシーンになると画面が暗くなって何が起こっているのか分からないという状態になる為、結局、映像面の怖さもあまり無い具合です(これが無ければ満足度4点行ったんですけどね)。
では、映像に自主規制を施しているにも関わらず、なんでこんな成人指定に近い規制を受けたのかが謎になってくるんですが、やっぱり、「若い女を監禁する」という内容がマズかったんでしょうかね。善良な偽善者である私ですら後半は犯人側に肩入れして見ていたぐらいですから、中には影響されて「同じ事を現実にやってみたい!」と思うバカが出かねないと判断されたのかもしれませんね。
と言う訳で、クルーニー兄貴が主演という事もあって多少の興味を持って見に行ってみたのですが、まあ、失敗でしたねぇ。昔の映画に興味の無い私みたいなのが見てもどこが面白いのかよく分からないだけの映画でした。
ただ、これは当時の雰囲気の再現とか関係無く、ただ単に話が分かりづらくてストーリーについていけなかったから面白くなかっただけなんだと思いますけどね。だいたい、『カサブランカ』は私も辛うじて見てますけど、この映画よりは話が分かりやすくて多少は面白かったという記憶があります。
何しろ、この映画は私の苦手な陰謀系の話なんですよね。それに、登場人物のほとんどの名前と顔を一致させる事が出来なかったんで、ただでさえ話を追うのが難しいストーリーを、いよいよ手に負えないぐらい意味不明に感じてしまいました。とどめに、途中で少しウトウトしてしまったおかげで、もう完全アウトですよ。何がなんだか分からないままにラストになってしまいましたね。もし主演がクルーニー兄貴じゃなかったら、見に来た事を死ぬほど後悔するところでした。
もちろん、ストーリーが分かりづらいというのは、この映画の出来には関係無く、ただ単に私が理解力の無いアホだから発生した問題です。見に行った私が悪いのであって、映画はきっとよく出来た内容だったに違いありません。
と、フォローを入れておいてとっとと感想を終えたいと思います。
ちなみに、トビー・マグワイアが悪い人の役で出ていて、クルーニーを蹴ったりする場面が出てくるんですが、つい「ブラック・スパイダーマンとバットマンの戦いだ」なんて事を思ってしまいましたねぇ。
まあ、ともかく面白い映画でした。『デスペラード』の監督だけあって、アクション描写もクールかつハイテンションで実に見応えのあるものでした。しかも、敵として襲って来ているのがゾンビ軍団!
スプラッター度もかなりのもので、水風船で出来てるのかと思うぐらいに派手に破裂するゾンビーズに、5体をバラバラに引きちぎられる犠牲者達。多分、『ブレイン・デッド』にオマージュを捧げているんだろうと思われる、見事なまでの人体破壊っぷりですよ。
そして何よりも、主役のアウトローがまたカッコいいんですよねぇ。演じてるのは全然アウトローの似合わない人なんで(爆)、どんなに格好つけてても、どこか微妙な感じがあるんですけど、でもそれがまた独特の味わいが感じられていいんですよね。
そして、ただ格好つけてるだけの奴ではなく、戦闘が始まると凄い動きでゾンビを蹴散らしていくという、これまでのゾンビ映画界の中でも屈指の猛者だという頼もしさ。何しろ演じてるのがフレディ・ロドリゲスなんで、まさかこんなに強いキャラを演じてるとは思いませんでしたからねぇ。この人の対ゾンビアクションを最初に見た病院のシーンでは思わず仰け反ってしまいましたよ。
この映画のもう一つ意外だったところは、ゾンビ映画ファンのカリスマことトム・サビーニが出ていた事ですね。出て来るのを知らなかったので、まさに計算外のラッキーでした。そして、あの派手な退場シーンには拍手喝采でしたね。
ちなみに、この映画に出て来るゾンビ達は、正式にはゾンビではなく“感染者”もしくは“シッコ”と呼ばれる連中で、人を食ったりとかはしないようなんです。そもそも、死んですらいないらしいですからね。
でも、外見や行動はほとんどゾンビなので、まあゾンビの亜種みたいな捉え方でいいに違いない。
で、そんな連中と、頼もしくてクールなアウトローが戦いを繰り広げる中盤の展開は、もう本当に見てて楽しくてしょうがなかったです。うっとりするぐらいに幸せなひと時でした。
でも、終盤からちょっと違う展開になって行ってしまうんですよねぇ・・・。私は「強い女性が銃を振り回す」的な映像には何の興味も関心も無いんで、本来は最も盛り上がるところだと思われるクライマックスもほとんど興奮出来ませんでしたねぇ。
映画自体は、素晴らしいゾンビ映画だったと思うんですが、やっぱり、後半で失速されると見終わった後の満足度が上がっていかないですね。
中盤頃は「もしかしたら『ランド・オブ・ザ・デッド』『ドーン・オブ・ザ・デッド』に続く、21世紀ゾンビ映画を代表する一作になるかも!」と思ってたんですが、結局、「『バタリアン4』ぐらい面白い映画だったな」という辺りに落ち着いてしまいました(多分、評判のあまりよくない映画だと思うんで一応付け足しておきますが、『バタリアン4』は私の中では結構評価の高いゾンビ映画です)。
前作は、アクションシーンよりも、各キャラクターの掛け合い等に面白味のあるようなタイプの映画でした。あれはあれで面白かったんですが、やはりこちらとしてはもっと派手な展開を期待してしまうんですよね。何しろ、スーパーパワーを持ったのが4人もいて、それがチームを組んでいるんですから。
で、今回はキャラクターの紹介シーンがいらない分、もっとアクションシーンに力を入れてきてもいい時期だと思うんですが、どうも、今回も「アクションよりも掛け合い」が前面に出てるような内容でしたね。
それぞれが単発で能力を出すというアクションシーン(と言うか、CGシーン)は割りとあるんですが、最も盛り上がる箇所である、「チームで協力して活躍する」とか「敵と対決する」という場面がほんのちょっとしか無いんです。
ただ、そういう場面が全く無いというわけではもちろんないですし、主役の4人のキャラクターは相変わらずしっかり立ってるんで、途中の会話シーンとかは見てて楽しいんです。で、ここぞという所で上記のような見せ場が出て来たりするわけですから、この映画単体で見たら非常にバランスがいい見せ方になってるのかもしれません。
でも、他の数多のコミックヒーロー物の映画を見て来た今となっては、これでは見せ場のシーンが少ないと感じてしまうんですよね。
あと、予告編で散々活躍を煽ってきていた敵役のシルバー・サーファーが、まさか、その活躍シーンが予告で見たので全部出し尽くしていたとは思わないですよねぇ。もっと凄い事をやらかしてくれるのかと思ってたんで、ちょっとガッカリしてしまいました。アメコミファンの間では人気キャラのようなんですが、この映画ではその魅力がほとんど伝わってきませんでしたね。宇宙から来たのにサーファー(しかも全身銀色)というビジュアルは最高にクールなんですけどね(笑)。
この映画と同じく、スーパーパワーを持ったキャラが何人も出て来る『X−MENファイナル・ディシジョン』が、ちょうど去年の今頃に公開になってましたけど、あの映画には、私がこの手の映画に望むものが全て入ってたんですよね。
そんな映画を去年体験しているものだから、「この映画も、もう2年早く公開してたら、もっと楽しめたのかも」なんて事を思ってしまいました。確か、前作を見た時も同じような事を思ったような気がするんですが(笑)。
でも、やっぱり前作よりは面白くなったとは思うんですよね。各メンバーも、能力の上手い使い方が分かって来たようで、アクションシーンのビジュアルにもさらに面白味が出てきましたし、シルバー・サーファーのアクションも、予告で散々見たというのを考えなければかなりインパクトのある映像でしたからね。
各メンバー間にも、それぞれちょっとした悩む事が出てきたり、友情や家族愛を感じるような場面が出てきたり。さらに、ジェシカ・アルバのお色気シーンも出てきたり(笑)。
と、いい点もこれだけあるんですが、それなのに、見終わった後に思ったより満足感が得られない、というのは、どうもクライマックスの盛り上がりに欠けたからというのにも一因があるような気がしますね。最後の最後は、もう人間の力ではどうにもならない(超能力があるとはいえ)ような大事になってましたし、しかも「失敗したら地球滅亡=失敗するわけない」という状況をCGで描いただけという、いわゆる「無駄に派手」な展開なんで、見ててほとんど盛り上がらないんですよね。
3作目を作る機会があったら、メンバーの個性を活かした会話の面白さはそのままに、能力の個性を活かしたアクションシーンを増やして、最後に最高の見せ場を持ってくる、という作りになっていて欲しいところです。
確か、元々はカーアクションが見せ場の映画だったと思うんですが、いつからか、車よりも笑いに重点が置かれるようになり、ついでに署長の活躍度もどんどん上がってきてるような雰囲気です。
まあ、私は元々、この映画の笑いのセンスが気に入っていて、カーアクション的なものには特に期待とかもしていなかったので、この路線変更(と言うのか)は全然気になりませんでした。今回も笑えるシーンが多く出て来ましたし、ツボにハマるようなギャグも所々でありました。コメディ映画としては満足の行くものだったと思います。
でも、正直、4作目なんですから、もうちょっと、何か新しい面も欲しかったかなとも思うんですよね。お馴染みの面々の、いつも通りの馬鹿騒ぎみたいな感じで、あまり「新作映画を見た」という気がしなかったです。それに、笑いのシーンにちょいとマンネリ感が出て来たような感じもありました。署長もちょっと出過ぎのように思えます。ここぞという所で出て来た方がウケるキャラクターだと思うんですけどね。
とは言え、「安定して笑わせてくれるコメディシリーズ」というのも貴重なのかもしれないですし、このシリーズはずっとこんな感じでいいのかもしれないですけどね。マルセイユ警察の面々のアホっぷりは、何だかんだ言って、見る度に笑ってしまいます。一体、何台パトカーをクラッシュさせたら気が済むんだろう(笑)。