※星マークの評価ポイントは、星の数により、5点段階評価と3段階評価の2種類があり、合計点は最高で35点満点となります。

ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記
<NATIONAL TREASURE: BOOK OF SECRETS>


すべての謎は「禁断の暗号」を解く鍵。  ◎満足度 ★★★★☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎評価度 ★★★★☆ (そのジャンルの映画としてどれだけいい出来だと思うかを主観、客観両面から評価)
 ◎感情度 ★★★☆☆ (笑い、泣き、興奮、恐怖など、見ていて何かしら感情を揺さぶられたかどうか)
 ◎CAST度 ★★★★★ (個人的に、キャスティングに満足いったかどうか)
 ◎監督度 ★★☆    (監督の演出が個人的に良かったかどうか)
 ◎音楽度 ★★☆    (音楽がどれだけ印象的だったか)
 ◎期待度 ★☆☆    (見る前の期待にどれだけ応えてもらえたか)
 ◎体感時間度 ★★★ (実際の上映時間より長く感じたか、短く感じたか。短く感じられた方が高得点)
 ◎リピート度 ★★☆  (今後、何回も見たいと思えたかどうか)
 合計 26点

ハメル准将、再びニコラス・ケイジの前に立ち塞がる! <個人的感想>
待望の第2弾がついに登場しましたが、一作目が私にとって、神懸り的に面白いと感じるような映画だった為、今回、期待度を出来るだけ低くして臨む事にしました。「あの一作目と同等の面白さの映画を2本作るのはまず無理だろう」と。私にとって前作はそれぐらい好きな映画だったんですよね。もう、あまりの面白さに見てて感動したほどでした。
と言うわけで、前作を事前に見直したりもせず、日常でもあまり続編の事を考えずに過ごし、「今年の映画は『シンプソンズ』で締めだな」ぐらいの事まで思い、それこそ、「せっかくだから見に行ってみるか」ぐらいのレベルまで期待値を落とし込んでみました。
で、見てみたら案の定、一作目の半分ぐらいの面白さだったんですよねぇ。「期待度下げて臨もう作戦」もうまくいきませんでした。残念。

一応、映画の雰囲気は前作と同じような感じになっていましたし、監督も同じなら、主要登場人物を演じるキャストも一緒です。前作の良かった点はほぼ引き継いでいたと思うんですが、何故、前作ほど楽しめなかったのか。それも、なるべく期待値を下げて臨んだのに。これが謎なんですよねぇ。
「凄すぎる前作」という存在に対して、色々と考えすぎていたのかもしれませんし、期待値を低くしていたつもりでも実際は特大の期待をしてしまっていたのかもしれません(正直、早く見たくてたまらなかったですからねぇ・爆)。でも、満足度4点はいくらなんでも低過ぎですよ。面白い映画のはずなのに。
これは、自分でも納得のいかない結果なんで、どんな内容の映画なのかを知ったうえで、後日、もう一度トライしてみたいです。


ザ・シンプソンズ MOVIE  <THE SIMPSONS MOVIE>

みょ〜なファミリーがスクリーンで大暴れ!  ◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎評価度 ★★★★★ (そのジャンルの映画としてどれだけいい出来だと思うかを主観、客観両面から評価)
 ◎感情度 ★★★★★ (笑い、泣き、興奮、恐怖など、見ていて何かしら感情を揺さぶられたかどうか)
 ◎CAST度 ★★★★☆ (個人的に、キャスティングに満足いったかどうか)
 ◎監督度 ★★☆    (監督の演出が個人的に良かったかどうか)
 ◎音楽度 ★★☆    (音楽がどれだけ印象的だったか)
 ◎期待度 ★★★    (見る前の期待にどれだけ応えてもらえたか)
 ◎体感時間度 ★☆☆ (実際の上映時間より長く感じたか、短く感じたか。短く感じられた方が高得点)
 ◎リピート度 ★★★  (今後、何回も見たいと思えたかどうか)
 合計 30点

スパイダー・ピッグ <個人的感想>
この「シンプソンズ」という存在を私が知ったのは、90年代前半頃にゲームセンターに現れた、コナミのアーケードゲームででした。通常の筐体よりも巨大な、「4人同時プレイ可能」が売りの特殊筐体を使った横スクロール型アクションゲームで、この『シンプソンズ』の他にも、『クライム・ファイターズ2』『X−MEN』『G.I.ジョー』といったシリーズが出ていました。ちなみに、私がX−MENの存在を初めて知ったのもこれででした。
で、このゲームで『シンプソンズ』のキャラクターは知識として入ったものの、本編とも言うべきアニメ版は見る機会が無く、約10年後の2000年代前半頃に、地方局でひっそり放映されてたのをたまたま見かけた時に初めて見る事となったのでした。
それなりに面白いと思えるアニメでしたが、当時、その地方局が家のテレビでは映らない局だったので、ほとんど見ないままに放送が終了してしまいました。
と言うわけで、『シンプソンズ』は「多少知ってる」程度の知識しかないわけですが、私はこの映画の公開を心待ちにしていました。その理由は、以前日記コーナーでも書きましたが、ブタさんが登場なされるからです。

そんな感じの期待感でもって臨んだんですが、これが、最高に面白いアニメ映画でビックリしましたね。さすがは全米一長寿の大人気アニメ、満を持しての映画版です。生半可な「長編版」とは一線を画すような完成度の高さでしたね。昨今はCGアニメが全盛の時代ですが、『スポンジ・ボブ』といい『シンプソンズ』といい、2Dもまだまだ健在と思わせてくれる力作でした。
まず、その圧倒的なまでの量のギャグが間髪入れず畳み掛けてくる様には驚きましたね。それこそ、一分に一回ぐらいの驚異的ペースでギャグが襲ってくるんですよ。
そして、ストーリー展開は基本的に速いです。一部スローになる時もありますが、多分、それでも普通レベルの速度で物語は進んでると思うんです。他が速すぎるんで、ゆっくりに思えているのではないかと。
とにかく、早い展開にギャグ連打という、この構成は、一瞬たりとも飽きる事を許さないほどのパワーがありましたね。映画開始からラストまで一気に見てしまえます。
そのギャグの種類も、視覚的なものから会話によるジョーク、ブラックな要素が入っている大人向けのものから、パッと見て分かる子供も大喜び出来そうなものまで様々。中には、意味の分からないギャグもあったりするんですけど、何か流れと雰囲気でつい笑ってしまったりもしました。もう、よくぞこれだけ考えついたものだと感心してしまいます。
そして、私にとって肝心要であるブタさんですが、もう、本当に可愛らしくって、ニヤニヤが止まりませんでしたよ。『シンプソンズ』の独特の絵柄とブタの持つ雰囲気というのがマッチしているのか、今までアニメで見たブタの中でも最上級レベルの可愛さがありましたね。
そして、そのブタがシンプソン家の主であるホーマーに可愛がられる姿がもうたまらなかったです。一緒にリビングでテレビを見たり、ベッドの上でじゃれ合ったり、ドライブに連れて行ったり。そして意味も無く天井を歩かせる奥義“スパイダー・ピッグ”を見た時は感動の涙を流すところでしたよ。
思えば、ペット用のミニブタではなく、食肉用の家畜ブタを家で飼う様はあんまりお目にかかれないですからね。非常に夢のある描写でした。ただ、実際にそんな事をやろうとすると、何しろアホみたいな巨大化する動物なんで、後にエラい事になってしまいますからね。「映画で楽しむ」で止めておいた方が良さそうです。
で、そんなに可愛がられていたブタですが、やはりメインゲストという立場ではないので、すぐにいなくなってしまいます。しかも、あるシーンを境にパッタリ出なくなって、それ以降、話に上る事すらありません。何で?(笑)「スパイダー・ピッグのテーマ」だけは後に出てきたんですけどね(しかも、エンドクレジットでも流れました・笑)。


アイ・アム・レジェンド  <I AM LEGEND>

地球最後の男に希望はあるのか。  ◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎評価度 ★★★★☆ (そのジャンルの映画としてどれだけいい出来だと思うかを主観、客観両面から評価)
 ◎感情度 ★★★★★ (笑い、泣き、興奮、恐怖など、見ていて何かしら感情を揺さぶられたかどうか)
 ◎CAST度 ★★★☆☆ (個人的に、キャスティングに満足いったかどうか)
 ◎監督度 ★★☆    (監督の演出が個人的に良かったかどうか)
 ◎音楽度 ★★☆    (音楽がどれだけ印象的だったか)
 ◎期待度 ★★☆    (見る前の期待にどれだけ応えてもらえたか)
 ◎体感時間度 ★★☆ (実際の上映時間より長く感じたか、短く感じたか。短く感じられた方が高得点)
 ◎リピート度 ★★☆  (今後、何回も見たいと思えたかどうか)
 合計 28点

地球最後の犬と、その飼い主 <個人的感想>
いくらハリウッドでリメイクが大流行してるからといって、過去にリメイクが作られてる映画をまたリメイクするというのはどうなんだろう。と、映画ファンの皆さんは思っている事でしょう。でも、私は最近のリメイク作のほとんどにおいて「オリジナルを見ていない」か「昔、一度見てると思うが、ほとんど覚えていない」という状況なので、結局、オリジナルストーリーだろうがリメイクだろうが関係なく、一本の新作映画として楽しめるという立場にいるんですよね。いやぁ、私はなんて恵まれてるんでしょう。でも、そろそろリメイクブームが終わってくれないと、思い入れのある一昔前の映画のリメイクが始まって、困った事になるような気もします(笑)。

さて。私はこの映画のオリジナルは見た事がありません。でも、一度目のリメイクである『オメガマン』は昔、一度見た事がありました。が、例によってほとんど覚えていません。唯一ハッキリ覚えているのは、「あまり面白くなかった」という点のみ(爆)。
なので、このリメイク版にも、大スターウィル・スミスを主演に据えた大作映画というわりに、期待感はそれほどでもありませんでした。
で、それが良かったのか、かなり満足させてもらう事が出来ました。人のいないニューヨークの町並みの映像や、そこで暮らす主人公の描写など、終末世界の雰囲気満点で良かったです。世界観の描写はかなりしっかりしていたと思いますね。
でも、「面白い映画だったか?」と人に聞かれたら、答えに詰まってしまいそうです。なぜなら、面白い以前に、メチャクチャ怖かったからです。
実は、ウィル・スミス演じる主人公は地球最後の人間ではなく、あるウイルスに感染して凶暴化した人類がまだ大勢生存しているという世界なんです。
まあ、この設定自体は映画を見る前から、ストーリーをどこかで聞いたりだとか予告編を見たりだとかで知っていたんですが(ただ『オメガマン』もそういうストーリーだったかどうかは忘れました・笑)、この感染者達が、また、超パワフルなんですよ。実はこの映画、SF大作映画なんかではなく、『28日後』や『ドーン・オブ・ザ・デッド』の仲間である、ホラー映画だったんですね。これは、ホラーが苦手な人が間違えて見たら大変な事になるんじゃないかと、ひとごとながら心配になってきます。
しかも、この『アイ・アム・レジェンド』の感染者軍団は、『28日後』の感染者や『ドーン・オブ〜』の全力ゾンビよりも、さらにパワフルなんです。どうやら、常人以上のパワーが備わってしまってるようで、結構な跳躍力や突進力を見せる時があったりします。そして一番怖いのは、常に超密集隊形で襲ってくるという事ですね。大群が突進してくるわけですから、その破壊力たるや、もはやマシンガン程度の武器では攻撃を防ぐことは出来ないほどです。
普通、この手の終末物映画を見ると「もし自分がこの世界に生きていたらどうサバイバルするだろう」と考えるのが楽しかったりするんですけど、この映画の場合、敵が強力過ぎて「こんな世界、絶対ヤだ」と思ってしまって、“妄想する楽しみ”が無いぐらいなんですよね。

この感染者達は基本的にCGで描かれていて(一部特殊メイクが混じっていたかもしれないですが、パッと見はオールCGのクリーチャーでした)、そのおかげで、人間以上のパワフルな行動を描写出来ているわけです。でも、やっぱりいくら凄い動きをしても、CG製だと“現実感”に乏しくなるので、実際の所は『ドーン・オブ・ザ・デッド』の全力ゾンビーズの襲撃シーンの方がもっと怖かったんですけどね。
でも、襲われている主人公が「たった一人の人類」という、「絶対死ぬわけにいかない人物」というのが、かなり緊張感を高めていましたね。
そんな、超強力な感染者軍団ですが、実は「紫外線に弱い」という弱点がある為、昼間は暗いところに隠れているんです。いやぁ、良かった。こんなドラキュラみたいな弱点がない限り、とても人間がサバイバル出来るような世界じゃないですからね(でも、もしかしたら、ニンニクも効果があったりして・笑)。

さて。こんな奴らが相手なうえに、味方が犬一匹のみという状況なので、アクションシーンというのはほとんど出てきません。爽快感より、「いかに敵に見つからないようにするか」という緊張感の方が前面に出ているんです。そりゃ、こいつらを相手にしてアクション映画として成立させる為には、主人公にセガールかトニー・ジャーを据えない限りはどうにもならないでしょう。
で、この「緊張感の出し方」には、監督のこだわりが見て取れましたね。特に、最初に感染者軍団と遭遇する場面なんて、本当に怖かったですからね。まず、相手がどんな奴らなのかを全く見せず、ウィル・スミスの「怯える演技」だけで結構引っ張っておいて、姿を見せて、一拍置いてから「襲撃ドカーン!」と。こんな流れで恐怖シーンを演出されたら、もう絶叫&失禁必至ですよ(私は辛うじてどちらもしなかったですが)。

中盤までは結構丁寧に話が進んでいくんですが、それ以降、どうも、少々雑と言うか、唐突と言うか、「あれ?」と思うような展開になっていって、クライマックスまで面白さが停滞気味になってしまいます。その流れに、一応、納得は出来るんですけど、もっと違う展開はなかったものかと思ってしまいました。
ラストも結構唐突な感じの終わり方で、爽快感は最後まで無いままです。でも、映画全体に渡って感じられる緊張感と恐怖感、そして作品世界のしっかりした描写などから、見終わって映画館を出た時、「現実の世界に戻ってこれて良かった」という思いが出てくるんですよね。こういう体験が出来る時があるから映画鑑賞はやめられないんですよねぇ。

(ネタバレ感想有り)←読みたい人はクリックしてください



スリザー  <SLITHER>

彼ら(スリザー)の侵略は、“口”から始まった。  ◎満足度 ★★★★☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎評価度 ★★★★☆ (そのジャンルの映画としてどれだけいい出来だと思うかを主観、客観両面から評価)
 ◎感情度 ★★★☆☆ (笑い、泣き、興奮、恐怖など、見ていて何かしら感情を揺さぶられたかどうか)
 ◎CAST度 ★★★☆☆ (個人的に、キャスティングに満足いったかどうか)
 ◎監督度 ★★☆    (監督の演出が個人的に良かったかどうか)
 ◎音楽度 ★★☆    (音楽がどれだけ印象的だったか)
 ◎期待度 ★★☆    (見る前の期待にどれだけ応えてもらえたか)
 ◎体感時間度 ★★☆ (実際の上映時間より長く感じたか、短く感じたか。短く感じられた方が高得点)
 ◎リピート度 ★★☆  (今後、何回も見たいと思えたかどうか)
 合計 24点

「どうもお久しぶり。マイケル・ルーカーです。
こんな顔になっちゃいました。」 <個人的感想>
『ドーン・オブ・ザ・デッド』の脚本を書いたジェームズ・ガンが監督と脚本を務めたB級ホラーで、宇宙から来た寄生生物が人を乗っ取っていく、という内容です。で、乗っ取られた人はどうなるのかと言うと、ゾンビみたいな外見と動きになって、肉(人肉に限らず)を貪り始めるという、ツボを心得た状態になります(どんな状態だ・笑)。
映画全体の雰囲気は、去年の『スネーク・フライト』のような、「B級のネタをA級のキャストで料理した」というタイプではなく、多分、予算自体もB級なんじゃないかと思うような、「骨の髄までB」な香りが漂っています。もう、「よくぞ、こんな映画を劇場でかけてくれた!」というありがたみが感じられる一品でしたね。

さて。監督・脚本のジェームズ・ガンという人、きっと、このジャンルが大好きなんでしょうね。というのが映画のあちこちから感じられました。どことなく80年代のB級ホラーのような雰囲気があったんですが、この時代のホラーを見て育った世代なんでしょうかね。クリーチャーの造形なんかにも、どことなく、「あの頃っぽい」ような感じがしたものでした。
巨大ナメクジ軍団(字幕ではスリザーと呼ばれてましたが、登場人物達が実際そう呼んでいたかは分かりませんでした。何しろ東宝東和配給なので、字幕で勝手に“スリザー”という名前にしてしまってる可能性もありそうですし・笑)の襲撃シーンこそCGでしたが、こいつらが単体で襲ってくる時とか、クライマックスのボスの形態とか、当時のSFXホラーのクリーチャーみたいな味わいがあって、ちょっと懐かしかったです。
ただ、ボスキャラのグチャグチャした造形とか、当時だったら「恐怖の対象」として機能するビジュアルだったと思うんですが、今見ると、ちょっと笑える姿にも見えるんですよね。確かに気色悪い姿なんですけど、リアリティというのが無いのと、「いかにもB級ホラーで出てきそうな造形」という事で、どこか滑稽に思える所もあるんです。
ですが、それを逆手にとっているのか、このボスキャラの姿で笑いをとってやろうという思惑の感じられるような映し方になってるんです。初登場シーンなんて、普通はいきなり「ドッギャーン!」とアップで出てきて脅かすとか、姿を小出しにして恐怖感を煽るとかしてくる所だと思うんですが、まず、遠くからのショットで「変な形の生き物が家畜を襲っている」という姿を見せて、登場人物達に「うわ、変なのが出てきた」みたいな表情をさせるんです。敢えて滑稽さを出してるようで、ちょっとしたコメディシーンにすらなってるんですよね。
こういう、「観客を笑かそうとしている」と思われる演出は全編に渡って登場するんで、全体的に、ヌルくて笑えるホラーという雰囲気になっています。普通のB級ホラーを見て笑う時は、そのチープな出来具合がおかしくて笑うという形になると思うんですが、この映画の場合は、演出として笑いを取り込んでいるわけです。こういうのは監督の技術力の高さが伺えられるようでいいですね。
一方で、「いかにも、この手の映画だな」という捻りの無さも確かにあるんですが、お約束を破ってるような箇所も時々顔を出したりするので侮れません。例えば、映画の世界で生き残り率の高い、犬や子供が真っ先に犠牲になったりとか(笑)。もちろん、直接殺害されるシーンとかは出ませんけど、犬の死骸が大量に登場したり、いたいけな少女がスリザーに乗っ取られてゾンビ化したりとか。そう言えば、『ドーン・オブ・ザ・デッド』でも、少女が真っ先にゾンビ化してたような(何かこだわりでもあるんだろうか)。
あと、“スキンヘッドに、巨大メガネ装着”というビジュアルのマイケル・ルーカーが、モテる男の役をしてるというのにも、かなり意表をつかれました(笑)。

と言うわけで、見終わった後に幸せな気分になるような楽しい映画でしたが、一つ残念な点もありました。
見る前は、スリザー軍団がもっと大量に出てきて、うじゃうじゃと人にたかったりするような、ゲテモノチックな映像が出てくるものかと、ドキドキしながら期待していたんですが、スリザー軍団の活躍シーンが思っていたより全然少なかったんですよね。そもそも、登場もかなり遅かったですし。この辺りはちょっと残念でした。
でも、そこまでやらなかったからこそ、劇場公開してもらえたんでしょうけどね(笑)。


ベオウルフ/呪われし勇者  <BEOWULF>

この誘惑が、世界をもてあそぶ。  ◎満足度 ★★★★☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎評価度 ★★★☆☆ (そのジャンルの映画としてどれだけいい出来だと思うかを主観、客観両面から評価)
 ◎感情度 ★★★☆☆ (笑い、泣き、興奮、恐怖など、見ていて何かしら感情を揺さぶられたかどうか)
 ◎CAST度 ★★★☆☆ (個人的に、キャスティングに満足いったかどうか)
 ◎監督度 ★★☆    (監督の演出が個人的に良かったかどうか)
 ◎音楽度 ★★★    (音楽がどれだけ印象的だったか)
 ◎期待度 ★★☆    (見る前の期待にどれだけ応えてもらえたか)
 ◎体感時間度 ★★☆ (実際の上映時間より長く感じたか、短く感じたか。短く感じられた方が高得点)
 ◎リピート度 ★★☆  (今後、何回も見たいと思えたかどうか)
 合計 24点

ベオウルフは見た! <個人的感想>
「実写と見まごうばかりのリアルなCG」で全てが描かれた映画です。私は基本的に新しい映画が好きな人間ですが、この新テクノロジーにはまだ馴染む事が出来ませんね。「何で実写じゃ駄目なんだろう」と思ってしまって。それに、CGがリアルになればなるほど、「本物そっくりのニセモノの演技」というものに対する不気味さが増していくような気もします。
もちろん、オールCGの利点を活かしたような場面も多く出てきますし、俳優を若返らせたり、老けさせたり、アクロバティックなアクションをやらせたり、脱がせたりと自由自在に色々な事が出来るわけですが、でも、結局、映像やアクションの迫力はオールCGではない『スター・ウォーズ』や『ロード・オブ・ザ・リング』ほど凄くはないんですよね。なので、この技術で映画を作る事への意味があまり感じられませんでした。
でも、実はこの映画、一部の映画館では3Dで上映されていたんですよね(今回私が見たのは2D版)。なるほど、3D映画なら、オールCGの方が相性がいいかもしれません。

さて、肝心のストーリーですけど、正直、よく意味の分からない話でした。単純と言えば単純なお話なんですけど、これは何かの教訓を語っていたりするんでしょうかね。何だか、「不倫はよくない!」というテーマの映画みたいで、「あんなに凄い勇者が主役なのに、テーマは小さいスケールの話だったんだな」なんて事を思ってしまいました。
元が“叙事詩”という事なんですけど、その辺に私がつまづく要素が隠れていそうですね。私は文学的なお話とか苦手ですからねぇ。

ですが、私でも素直に喜べる点もありました。それは、「アンジェリーナ・ジョリーのアイコラ・ヌード」ではなくって、主人公ベオウルフの実に頼もしい勇者っぷりの方です。
この男がもう、実に豪傑な男でして。「ライバルとの遠泳対決を5日ぶっ続けでやってる途中、襲ってきたシー・サーペントの大群との対決に向かった為に勝負に敗れた」とか、『男塾』に出て来そうな壮絶な武勇伝を持っていらっしゃるんですよ。
さらに、何人もの村人や兵士を瞬殺してきた怪物、グレンデルとの対決の際、「魔物相手に剣や鎧は不要」という、何だかよく分からない主張により、突如全裸になったりするんです。しかも、わざわざ王妃の目の前で。きっと、股間には勇者と呼ばれるに相応しいモノがぶら下がっていたりするんでしょうな。どこに出しても恥ずかしくない息子というわけですか。
で、そのままの姿で怪物との決戦に臨むんですよ。『300』のスパルタ戦士軍団もかなりのセクシー衣装でしたが、その上をいってしまいましたね。ちなみに、戦闘中は、見事なカメラワークと計算されつくしたアングルにより、肝心のブツは観客には見えずじまいとなります。『ハルク』が「これをやるとコメディになるから」という理由で避けた事をやってのけてしまいましたか(どうでもいい事ですが、この後に廷臣役のマルコビッチからプレゼントされた剣の名前が“フルンティング”という、“フルチン”みたいな感じの名前だったのには吹き出す所でした)。

後半にはドラゴンと対決する事になるんですが(この時は普通に鎧着用)、そういった怪物達との「戦い方」が凄いんですよね。「これが勇者の戦い方か!」と驚愕したものでした。
最近、ボーンとかベン・ゲイツのような「知的系ヒーロー」が持てはやされそうな流れになりつつありますが、同時に、ベオウルフや『300』のスパルタンズのような、筋肉ムキムキの肉弾系ヒーローが活躍する映画も同時に流行っているというのは嬉しい所です。やっぱり、スクリーンからマッチョヒーローが消えたら寂しいですからね(でも、その筋肉がCG製というのは残念な所ですが)。

アクションシーンは全般大迫力なんですが、困った事に、劇中で2回しか出てきません。と言うわけで、先ほどから例に出してる『300』と似た雰囲気のある映画ながら、あの映画ほどの面白さや爽快感、興奮度が無かったりするんですよね。
その代わり、音楽は『ベオウルフ』の方が勝っていました。アラン・シルベストリによる勇壮で燃えるスコアは、もう最高でしたね。


モーテル  <VACANCY>

宿泊料、イノチ。  ◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎評価度 ★★★★★ (そのジャンルの映画としてどれだけいい出来だと思うかを主観、客観両面から評価)
 ◎感情度 ★★★★★ (笑い、泣き、興奮、恐怖など、見ていて何かしら感情を揺さぶられたかどうか)
 ◎CAST度 ★★★★★ (個人的に、キャスティングに満足いったかどうか)
 ◎監督度 ★★★    (監督の演出が個人的に良かったかどうか)
 ◎音楽度 ★★★    (音楽がどれだけ印象的だったか)
 ◎期待度 ★★★    (見る前の期待にどれだけ応えてもらえたか)
 ◎体感時間度 ★★★ (実際の上映時間より長く感じたか、短く感じたか。短く感じられた方が高得点)
 ◎リピート度 ★★★  (今後、何回も見たいと思えたかどうか)
 合計 35点

覗きに精を出す夫婦 <個人的感想>
「特にこれといって期待をしていなかったけど、なんとなく見に行ってみたら、それが超大当たりだった」、というケースに当たると、「元々期待していた映画が期待通りだった」よりも有り難いような感じがあったりします。
で、この『モーテル』がまさにそういう「期待してなくて大当たり」というタイプの映画で、見終わった後は当たりクジを引き当てたような幸福感に包まれていたものでした。
ですが、同時に、凄い疲労感も残っていたんですよね。と言うのも、この映画、メチャクチャ怖かったんです。緊張感も相当なもので、見てて具合が悪くなりそうでしたよ。
ちなみに、“怖い”と言っても、ホラー映画的な怖さではなく(だいたい、ホラー映画で本当に怖い映画なんてほとんど無いですからね)、サスペンス・スリラーの系統の怖さです。

ストーリーは、離婚間際の夫婦が、車の故障の為、寂れたモーテルに一晩泊まる事になり、案内された部屋に置いてあったビデオテープを見てみたら、今いる部屋で行われている殺人シーンが映されていた、というものです。要するに、宿泊客を殺す場面を隠し撮りしている、殺人マニアの罠に嵌まってしまったというわけですね。
ここまではホラー映画っぽいストーリー展開ですが、この後、殺人鬼に追い掛け回されるという展開ではなく、「モーテルの一室に閉じ込められ、なんとか脱出しようとする」という、シチュエーション・スリラー的な展開になっていくんです。
一応、部屋の鍵はちゃんと掛かるんですが、何しろ管理人が殺人鬼なので、当然、部屋の鍵は持っているわけです。でも、ただ殺すだけではなく、一晩怯えさせてから殺そうと思っているようで、部屋に攻め入ってくる事はしません。
また、「ドアや窓から飛び出して、一気にダッシュで逃げる」という手段は、敵が実は複数犯という事で無理です(主犯の管理人以外は『ハロウィン』のブギーマンみたいなマスクを着用。このビジュアルも中々不気味でした)。
こんな状況から、いかにして脱出するのか?というのが見てて実に面白かったですね。「自分ならどうするだろう」というのを考えながら見られて、ずっと一定の緊張感を持ってストーリーを追っていられるんです。「自分ならそうするだろうな」というような行動をとったり、見てて歯がゆく思うような間違った行動をしてみたり、はたまた、こちらが考えもしなかった方法を思いついたりとで、もう、一喜一憂しながら見入ってしまいました。
そんな中、中盤頃に、「これは、自分だったらどうしただろうなぁ、、、」と頭を抱えて悩みそうになった局面が出てきました。
どうにかして警察に通報する事が出来て、ポリスがとうとうやってきた、という場面なんですが、この時「詳しい住所は通報の時に時間が無くて言えなかった」「前に別の電話から通報しようとした時は、犯人の電話に繋がっていた」「他の宿泊客が来て、助けてもらえるかと思ったら、敵の一味だった」といった事がこれまでに起こっていたんです。
で、ポリスが来た時、主役夫婦は、ちょうどいい所に隠れていて、まだ敵一味には場所を感ずかれていない、という状況なんですよ。
さて。本物のポリスと思って助けてもらいに出て行くか、ポリスも敵の仲間と思ってずっと隠れているか、、、。どうするよ、こな状況におかれたら(このポリスの正体はどっちだったのかは見てのお楽しみという事で)。

あとキャスティングの話ですが、主役夫婦の夫役がルーク・ウィルソンという、見た感じ頼りにならなそうな奴で、妻役がケイト・ベッキンセールという、見るからに犯人一味を一人で退治出来そうな奴です。
でも、実際には、ルークはこの事態に冷静かつ勇敢に対処しようと奮戦してきますし、ケイトの方は「か弱い女性」といった態度をずっとしていて、驚いた事に、最後までマッチョ化しませんでした。このキャスティングと展開には、むしろ意外性すら感じられたものでしたね。


沈黙の報復  <RENEGADE JUSTICE>

オヤジ、死に挑む。  ◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎評価度 ★★★★☆ (そのジャンルの映画としてどれだけいい出来だと思うかを主観、客観両面から評価)
 ◎感情度 ★★★★☆ (笑い、泣き、興奮、恐怖など、見ていて何かしら感情を揺さぶられたかどうか)
 ◎CAST度 ★★★☆☆ (個人的に、キャスティングに満足いったかどうか)
 ◎監督度 ★★☆    (監督の演出が個人的に良かったかどうか)
 ◎音楽度 ★★☆    (音楽がどれだけ印象的だったか)
 ◎期待度 ★★☆    (見る前の期待にどれだけ応えてもらえたか)
 ◎体感時間度 ★★☆ (実際の上映時間より長く感じたか、短く感じたか。短く感じられた方が高得点)
 ◎リピート度 ★★★  (今後、何回も見たいと思えたかどうか)
 合計 27点

スキンヘッドを痛めつけるセガール <個人的感想>
セガール映画三連続公開という脅威の企画「オヤジの映画祭」も本作でいよいよ最後です。 で、大トリを飾るにふさわしい快作でしたね。第一弾があんな映画だったんで、こういう形で終われて本当に良かったです。

息子を殺された報復の為、セガールが黒人ギャング団と対決するというストーリーで、普通の映画なら恐怖の対象となるところのギャング団が、セガールに次々と酷い目に遭わされていきます。むしろセガールがギャング団にとっての恐怖の対象なんですが、こいつらアホだから、セガールがどんなに危険なのか死ぬまで気付かないんですよねぇ。
前に『ブレイブワン』の感想で、「悪党がぶち殺されるのを見るのは爽快だ」というような事を書いた私ですが(『狼よさらば』の感想でも書いたかも・笑)、今回はもう、悪党の方が気の毒に思えてきてしまいましたよ。心の中で何度悪党連中に向かって「ヤツと関わっちゃダメだ!逃げて!」と叫んだことか(笑)。
それにしても、セガールは強いですねぇ。何を今更な話ですけど、改めてそう思ってしまうような、無敵の快進撃っぷりですよ。セガールの大暴れで黒人ギャング団の縄張りである町に大混乱が起こる様は、ほとんど、怪獣が暴れる事で起こる混乱と同じような感じでしたからね。
あと、セガールのその独自の倫理観もとっても素敵でした。最近、「報復はまた報復を呼ぶだけで、キリがない」という世論じゃないですか。いや、実際にその通りだと私も思いますけど。で、この事を劇中でセガールも指摘されて、「あなたも、奴ら(人殺しのギャング団)と同じよ!」と言われるんですけど、それに対する返答が「いや違う。オレは奴らよりもワルだ。」でしたからねぇ。言ってのけてしまいましたよ。この男にはもはや説得も不可能なのか。
主人公がそんな倫理観で動いている(しかも演じるのが無敵超人セガール)映画なので、もう、バイオレンス!バイオレンス!バイオレンス!みたいな内容になってくるんですよね。すげぇなぁ。
暴力的な内容ですけど、今回はちゃんと悪党以外は殺さなかったんで(最近は、悪党以外の、その場に居合わせただけの人も殺す時がありましたからね)、私としては、「これぞ正しい暴力の使い方だ」と大喜びでしたね。

まさに“清く正しいセガール映画”といった趣で、最近の不調をこれ一作で挽回しようとしてるかのようでした。
これで、セガール拳を使うシーンがあんなに接写じゃなくて、もっと動きが見易く撮られていたら最高だったんですけどね。


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