最期に頼れるのは、
魂か、弾丸か。 フェイク シティ ある男のルール
<STREET KINGS>

 個人的評価 43点 (50点満点中)

 ◎満足度    ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎肯定度    ★★★★★ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
 ◎評価度    ★★★☆☆ (客観的に評価してみる)
 ◎おススメ度  ★★★☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
 ◎キアヌ度   ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)


「やはり最後に頼りになるのは弾丸だぜ!」 <個人的感想>
実にクールで渋い映画でした。ただ、やたらと人が死にまくるという、かなり暴力的な内容なんですけど、映像ではバイオレンス描写が抑え目にされていて、普通のアクション映画のような見易さがありましたね。

同時期公開の『チェンジリング』で、犯罪者を問答無用で殺しまくるロス市警というのが出てきて、劇中で批難の対象となっていましたが、この『フェイク・シティ』のキアヌ演じる主人公も、そういう「悪党は問答無用で撃ち殺してよし」的な思想を持ってるバイオレンス刑事です。
ただ、あの映画と違って、大っぴらに犯罪者を殺しまくってるわけではなく、上司の指示や仲間の協力の元、隠蔽工作というのをしっかりとやっているんです。
まさにルール無視のダーティな刑事の暗躍といった感じですけど、私はどちらかと言うと「悪党はその場でぶち殺すべき」派なんで、この映画での警察の描写が、あんまり「悪徳警察」というふうに見えないんですよね。むしろ、アクションヒーロー物映画を見てるような爽快感もあって(普通のアクションヒーローは隠蔽工作とかはしないですが・笑)、見てて楽しくてしょうがなかったです。

また、元同僚の汚職疑惑の話なんかが絡んでくる事になるんですけど、実のところ、ストーリー的には特に目新しい点も無いですし、深いテーマ性があるようにも思えませんでした。言ってみれば「よくある話」なんですけど、先の展開が気になって気になって、熱中しながら見入ってしまいましたね。
と言うのも、主演のキアヌ・リーブスがやたらと魅力的なんですよ。キアヌ演じる主人公がこれから何をしようとして、このストーリーの中で、どんな行動をとって行くのか、というのが実に興味深くて、目が離せなかったですね。
見る前は、予告編の雰囲気から、ブルース・ウィリス辺りがやった方が似合う映画なんじゃないかと思っていたんですが、本来もっと泥臭くなってたと思われるバイオレンスな内容の中に、クールさとスマートさというのを吹き込んでいるかのようで、もう完全に「自分の映画」にしてしまってましたね。いやぁ、さすが大スターです。
主人公は、朝起きて真っ先に手にするのが“銃”という、やさぐれたハードボイルドチックな奴で(「どんだけ危険な世界なんだよ」とか思ったんですけど、劇中ではほんとうにバタバタと人が死んでましたからね・笑)、こういう役は今までのキアヌのイメージとはちょっと違うかもとも思うんですけど、この渋いキャラを、『コンスタンティン』の主人公のような、アクションヒーロー系のキャラに近づけてるんですよね。さらに、キアヌの元々の魅力なのか、少し爽やかさみたいなのも加味されていて、私的にはかなり魅力的なキャラクターに思えました。
また、銃撃戦のシーンの迫力も結構なもので、主人公の強さを映画的に魅せるような上手い撮り方がされていましたね。銃撃戦以外でも、絶体絶命の危機の脱し方なんかも上手くって、ほんと、映画の面白さがアクション映画的なんですよね。こういう映画を、キアヌみたいな、アクションシーンに説得力を与えられる俳優が主演してるというのは素晴らしい事だと思います。
キアヌの最近作の中では、地味な扱いですし、あんまりヒットもしませんでしたが、私の中では一級品の完成度と面白さの映画だったという印象ですね。


この臨場感は
ライブでも
味わえない! ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト
<SHINE A LIGHT>

 個人的評価 29点 (50点満点中)

 ◎満足度    ★★★★☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎肯定度    ★★★☆☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
 ◎評価度    ★★★☆☆ (客観的に評価してみる)
 ◎おススメ度  ★★★☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
 ◎ロック度    ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)


ジャック・スパロウのオヤジが謎の黒人とギター対決! <個人的感想>
ローリング・ストーンズのライブを、名匠マーティン・スコセッシが演出した!という、大変有り難い一品です。ですが、私は未だスコセッシの映画を見て感動した経験が無いですし、ローリング・ストーンズに関する知識も、「メンバーの中に、昔『フリージャック』に出てた人と、ジャック・スパロウのモデルになった人がいるらしい」という程度なので、この映画の持つ魅力を完全に理解出来ない立場にいたりします。
では何で見に行ったのか、と言いますと、まあ、「歳をとったロッカーというのがどういうものなのか」というのを、後学の為に見ておきたかったから、というような理由からでした。

ローリング・ストーンズというグループが、世界的に有名なロックバンドである、というのは勿論一般常識として知っていました。ですが、この映画の予告編を見たとき、メンバーがもう完全にご老体だった事にちょっとビックリしたんですよね。そんなに古いバンドだったのかと。
ロックのライブなんて、まず曲自体も激しいものが多いですし、メンバーのステージ上の動きも、もはやスポーツを見てるのかと思うぐらいに激しかったりするじゃないですか。
普通なら、60代でロックのライブをやるなんて考えられない事ですけど、何しろ伝説のバンドなんで、外見には老いが見えているものの、いざライブが始まったら、ステージ上では目を見張るようなパフォーマンスを見せてくれるに違いないと。そういう面の興味で見てみたいなと思ったんですよね。
あと、映画館の音響&大音量でもって、世界的にも有名なロックバンドのライブを聞いてみたかったというのもありました。レンタル屋に行けばライブのDVDが置いてたりするんですけど、どうせなら、より迫力のある映画館で鑑賞した方がいいですからね。

で、実際見てみたら、思った通りのカッコ良さでしたねぇ。多分、ローリング・ストーンズだから、「やっぱり彼らは凄い」程度の認識になってしまってると思うんですけど、もしこれと同じ事を無名の60代、いや、50代のロックグループがやったら、全世界が度肝を抜かされるような事態なんじゃないだろうかとか思ってしまいましたね。
ただ、何しろストーンズの曲を全く知らないうえに、彼らの音楽のどこが凄くて、どの辺りに注目したらいいのか、というのもよく分からない状態なもので(ついでに、歌詞も何言ってるのか分からないですし)、正直、途中で飽きてきてしまいましたねぇ。いくらなんでも、2時間は長いです。1時間強ぐらいだったら集中力も持続していられたと思うんですが。
でも、時々ゲストが現れて、セッション的な事をやるというのは面白い趣向でしたね。ちょっとした気分転換みたいな感じで。
計3人のゲストがそれぞれ単品で登場したんですけど、特に、2番目に出てきた黒人のおっちゃんが良かったですね。最初、ギターをペロンペロン弾いてただけで、「誰だコイツは」とか思ってたら、歌いだしたらそれは驚異的な歌唱力を見せ付けてくるじゃないですか。私にもすぐに分かる凄さなせいか、実はストーンズよりもこの人の方が印象深かったです。でも、誰なのかは分からないんですが(笑)。

さて。この映画は、ただのストーンズのライブを流してるというだけではなく、スコセッシが演出したドキュメンタリー映画なわけです。なので、この映画をきっかけに、ストーンズの事をもっと知る事が出来るのでは、という思いも多少あったんですけど、実は、そういう用途には全然使えない作品だったんですよね。
途中で、昔のインタビュー映像なんかが出てきて、「過去にこんな事があった」みたいな情報も出るんですけど、断片的すぎて、元々知ってる人じゃないと、その映像が何を意味してるのかがよく分からないみたいな感じなんですよね。要するに、完全にファン専用なんです。
結局、これじゃ、ライブDVDとほとんど変わらないんですよね。好きな人だけが見る為に作られているという。これ、何で映画にしたんだろう?
少なくとも、映画館で公開する以上、ファン以外の人も来る可能性があるわけで(現にここに一人、ファンでもないのにのこのこ現れた奴がいますし・笑)、そういう人達に、ストーンズの魅力をうまく伝えるような内容になってたらと思うんですけど、この映画で見られるのは、ただ「ストーンズが演奏してる姿」のみで、それ以上のものが感じられないんですよね。
「いったい、この人達の音楽は何が凄いのか」とか「どうしてここまで長く活動してこれたのか」みたいな所にもっと踏み込んでくれたら良かったんですけどね。「その答えがこのステージにある」という事なのかもしれないんですけど、洋楽の素人にはこれだけではよく分からなかったです。


人間として、生きるための[抵抗]だった ディファイアンス
<DEFIANCE>

 個人的評価 24点 (50点満点中)

 ◎満足度    ★★★★☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎肯定度    ★★☆☆☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
 ◎評価度    ★★★☆☆ (客観的に評価してみる)
 ◎おススメ度  ★★☆☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
 ◎過酷サバイバル度 ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)


ボンド in 森 <個人的感想>
『ラスト・サムライ』『ブラッド・ダイヤモンド』と、このところ絶好調のエドワード・ズウィック監督最新作ですが、どうも、前2作と比べると「何かが足りない・・・」と思うような映画でしたね。
主演にスター俳優もちゃんと起用してますし、一見、最近作とそれほど変わりないようにも思えるんですけど、何と言うか、前2作にはあった「凄味」というのが無かったような・・・。面白いし、いい映画なんですけどね。
ストーリーが、ナチスの迫害から逃れる為に、ユダヤ人達が森でサバイバルをする、というものなんですけど、そのせいか、登場人物達は最初から最後までずっと森に篭ってるんです。これで、暗さと閉塞感というのがかなり色濃く出てまして、それで少々「楽しさ」や「ストーリー展開に対する期待」が犠牲になってたのかな、なんて事を思ってしまいました。
中盤辺りでは、食料も残り少なくなっているうえに、季節が冬になり、雪が積もって寒さも厳しくなるという、見ててひたすらに辛い展開になっていくんです。ついでに、主役も病に倒れてダウンし、みんなを守るどころか、動くのがやっとみたいな状態になってしまいます。
とにかく、映画全般に渡って、登場人物に“耐え”を強要する展開が続くんで、見てるだけで疲れてきます。まあ、登場人物達はそういう過酷な状況を乗り越えて行くわけですし、しかも実話を元にした話というわけで、「この人達は現実にこういう状況を切り抜けたのか。凄い人達だなぁ」とか感心もするんですけど、もう少し、爽快感があったり、スッキリするような場面があったら良かったのになというのが正直な所ですね。
あと、ズウィック監督作と言えば、アクションシーンの迫力が意外と高いという点に注目していました。アクションシーンに特に期待を持たないような題材の映画なのに、見てみたらかなりレベルの高いアクションが出てきて大喜び、というのが最近のパターンだったんですけど、今回は期待してしまったのが良くなかったのか、普通の戦争映画とかで見る程度のもので(グロの出ないタイプ)、アクション映画として見たらちょっと弱いという感じだったんですよね。
要するに、「期待する所を間違えた」「元々、好きなタイプの映画ではなかったらしい」という事で、満足感が少々低くなってしまったようです。

さて。『シンドラーのリスト』のような、ナチスによるユダヤ人の迫害を描いた映画ですが、実は、ナチスがユダヤ人を虐殺するシーンというのはあんまり出てこないんですよね。人伝えの話ではしょっちゅう出てくるんですが、映像では、戦闘で死ぬのが映るぐらいです。で、その戦闘ではどちらかと言うとドイツ兵の方が死亡者が多いぐらいなんですよね。
これまで聞いてきたこの時代の話では、ユダヤ人は常に犠牲者でしかないというケースがほとんどだったように思えるんですが、ここにきてついに、自らの手でドイツ兵を撃退し、生き延びたという、「戦い抜いた人々」が出てきたんですね。
あるユダヤ人の兄弟が、大勢の同胞を守り抜いたという、言わば偉人伝なわけですけど、その兄弟、特に長兄のダニエル・クレイグ演じるトゥヴィアがどういう事をやり遂げたのかというのを描くだけでなく、大勢の難民をまとめて率いていく際に見せた“リーダーシップ”というものについても描いていたのが面白かったです。
トゥヴィアの行動からは、人の上に立ち、責任を負う立場というのがどういうものなのかというのがよく伝わってきましたね。そして「自分には絶対に無理だ」と改めて思う事となりました(爆)。
ドイツ軍の手から隠れる場所を提供し、食料も分けてくれるんですから、みんな、進んで協力してついてきてくれるのかと思ったら、決めた規律を無視しようとする輩が出てきたりするんです。こういうアホへの対処とか、食料をいかに調達するのかとか、どうやってみんなを守っていくかとか、考えなきゃいけない事が山積みですからね。まるで大統領並の大変な責務ですよ。
でも、そもそも、こういった庶民共全員を無理して助けてやる義理も無いはずなんですよね。弟のズシュはそういう考えを持っていて、足手まといになるようなのはとっとと切り捨てて、使える奴だけを残していくべきだと思っているようです。確かに、こっちの方が「自分が生き残る確率」は大幅に高くなるでしょうからね。大勢の命の責任を負わなくてもいいですし、言ってみれば「選び易い道」です。
ですが、トゥヴィアは、森の中のユダヤ人コミュニティの人数をどんどん増やしていく方を選ぶんです。一人でも多くの同胞を助ける為に。
いったい、何が彼をそうさせたのか、というのはハッキリとは分からないんですが、傍から見れば、「神が遣わしてくれた」と思うぐらいの行動力でみんなを引っ張っていくトゥヴィアは、まさに救世主です。
一方、ズシュは結局、考えの相違みたいな感じで兄の元を離れて、ゲリラ戦でナチスに戦いを挑むグループに加わる事となるんですが、こちらの行動や思想も決して間違っていないと思うんですよね。敵と戦っていかない事には何も変わらないですから。
最終的に、多くの人命を救った英雄として称えられるのは、“攻め”ではなく、“逃げと守り”に徹したトゥヴィアの方なんですが、もし、ズシュがヒトラーの首をとる所まで行っていたら、こっちが英雄になっていたのかもしれないですよね。まあ、そんな簡単に倒せるぐらいなら、こんな歴史にはなっていないでしょうけどね(トム・クルーズですら失敗するようですし)。
この兄弟と違って、3男のアザエルは、行動力もリーダーシップも、二人の兄に劣りまくっていたんですけど、ストーリーが進むごとにどんどん成長していって、最終的には兄のピンチを颯爽と救う大活躍を見せる所まで行くんですよね。ここは劇中、最も感動した場面でした。
この3兄弟の、確執から結束に至る流れも面白くて、兄弟愛のドラマとしても見られる映画でしたね。


どれだけ祈れば、
あの子は帰ってくるの──? チェンジリング
<CHANGELING>

 個人的評価 46点 (50点満点中)

 ◎満足度    ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎肯定度    ★★★★★ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
 ◎評価度    ★★★★★ (客観的に評価してみる)
 ◎おススメ度  ★★★★★ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
 ◎ストーリーの面白度 ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)


警察の腐敗に挑む、チーム・コリンズの面々 <個人的感想>
このところ、テーマ性を読み取って観客が各自で考えながら見ていかないといけないという、ただ単に見てるだけでは面白さが伝わらないような映画が割と多くて、当然この映画もそういうタイプなんだろうなと構えていたんですが、意外にも、ストーリーを追って見てるだけで楽しめるという非常に分かり易いタイプの映画でした。
もちろん、軽い内容の映画というわけではありません。多分、ストーリーテリングとかディテールとか、そういったものを全て丁寧に描いていて、「無駄な分かりにくさ」というのが無かったんじゃないかと思います。
それに、『ミスティック・リバー』や『ミリオンダラー・ベイビー』みたいな、“後味の苦さ”というのが抑え目になっていて、「感動+チョイ苦」みたいな終わり方だったのも、イーストウッドの他の近作に比べて敷居が低く感じられる要素だったのかなとも思います。

ストーリーは、「行方不明となった子供が帰ってきたが、何故か違う子供で、それを警察に訴えたら、精神病院に入れられてしまった」という、予告で見せていた所までしか知らなかったんで、この後の主人公の運命だとか、本当の子供の行方、このニセの子供は何者なのか、といった点は謎でした。
そういった所がちょっとづつ明かされていくんですが、先の展開というのをほとんど予想していなかったからなのか、後半のストーリーがいちいち衝撃的だったんですよね。「まさかこんな事が!」とか「これからどうなっていくんだ!」と、驚きっぱなしでしたよ。
それに、予告の段階までは、「主人公の女性が、子供の誘拐やら横暴な警察の仕打ちなどの酷い目に遭う」というのが描かれるドラマ映画(社会派風味)というタイプの映画かと思っていたんですが、それだけではなく、もう、色んな要素が入ってたんですよね(アクションの要素は0%でしたが・笑)。
いつものイーストウッド監督作通り、淡々とした語り口なんですけど、単調さというのが全く無いんです。いや、それはこれまでの監督作も全部そうだったんですけど、今回は今まで以上に起伏が感じられたような気がしたんですよね。穏やかなのに熱いみたいな。
もう、新作を見る度に「なんて凄い人なんだ」と思わせられますねぇ。まさにアメリカ映画界の至宝ですよ。
イーストウッド御大も凄いですけど、主演のアンジェリーナ・ジョリーも素晴らしい熱演を見せていましたね。演じるクリスティンという女性は、まあ、社会的には弱者みたいなものです。子供が誘拐されても見つかっても、見つかったのがニセモノでも、どんな時でも泣いてましたし。
でも、ララ・クロフトやミセス・スミスにも負けない強さというのがしっかり感じられるんですよね。そういったアクション派のキャラクターとは全然違うタイプで、マッチョ度で言ったら、限りなく0に近いぐらいのキャラクターなんですけど、しっかり“強さ”というのが感じられるんです。
『ウォンテッド』の感想で、「もう、この人はアクション専門でやってほしい」みたいな事を書きましたけど、あの映画の時よりも、今回の方が全然魅力的に感じられましたねぇ。
ただ、いくらクリスティンが芯の強い女性だったとしても、“芯の強さ”だけではとても勝てないような巨大な組織“悪徳警察、ザ・ロス市警”に狙われてしまう事となってしまいます。ですが、運命のいたずらなのか、クリスティンの強さと熱意に惹かれたのか、心強い味方も付いてくる事になるんです。
まず、顔も態度も、そのまま別の映画で強力な悪役として流用できそうな迫力のあるジョン・マルコビッチの牧師と、そして、無償で弁護を引き受けてくれる事となる弁護士の2名です。
権力で武装した、警察や精神病院の医師軍団といった面々に立ち向かわなければならなくなるわけですが、クリスティンの反撃(と言うか、主張)は全て、この連中には何の効果も効力もありませんでした。逆に、「お前の頭がおかしい」と言われる始末で、見てる我々にしても、あまりにも理不尽な敵の攻撃に、敗北感と無力さを味わう事となります。
ですが、後に、この味方2人が大反撃をしてくれるんですよ。ここは見てて燃えましたねぇ。絶望の象徴みたいだった精神病院の廊下を、配下を引き連れたマルコビッチが鬼の形相でズンズン突き進んでいき、邪悪な医師軍団に問答無用の口撃をぶちかます姿の頼もしさと言ったら。
そしてもっと爽快なのが、敵の中でも最も厄介だった警部に対して、弁護士が法廷で一喝する所ですねぇ。まさにクリスティンの、そして観客の代弁とも言えるような内容の事をズバッ!とぶつけて、あのムカツク警部がぐうの音も出なくなる様には溜飲下がりまくりでした。やっぱり、こういうスカッとする反撃のシーンが入ってる映画はいいですよねぇ。
しかも、こういう反撃シーンが、映画全体の中で浮いてないというのが凄いんですよね。この2人だけでなく、他の脇役にも見せ場のような場面が用意してあって、それら全てが重なり合い絡み合いしながら、ストーリーを紡いでいるという感じなんです。私が特に印象に残った場面という事で例に挙げましたけど、他にもいいシーンはいっぱいあるんです。
そして、それら全てを総合して浮かび上がってくるのが、主人公クリスティンの強さなんですよね。実は「昔、こんな事件がありました」という映画ではなく、「昔、こんな凄い人がいました」という映画だったんですね。

ストーリーには辛い所がありましたけど、先の気になる展開でしたし、俳優陣の演技も素晴らしかったですし、とにかく、見終わった後に素直に「いい映画だった!」と思えるような映画でした。御大自ら作曲のスコアも、「落ち着いた大人の雰囲気の音楽」といった感じで非常に良かったです。


鬼刑事セガールが挑む、
迫真のサイコ・サスペンス! 雷神 −RAIJIN−
<KILL SWITCH>

 個人的評価 36点 (50点満点中)

 ◎満足度    ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎肯定度    ★★★★★ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
 ◎評価度    ☆☆☆☆☆ (客観的に評価してみる)
 ◎おススメ度  ☆☆☆☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
 ◎セガールやりたい放題度 ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)


ほほえむセガール <個人的感想>
いやぁ、酷い映画だった!(爆)
もう、この映画を形容するのに「酷い」以外の言葉が見つからないというぐらいの、大変ぶっ壊れた映画でしたね。
でも、最近のミヒャエル・ケウシュ監督作みたいな、「ただ地味につまらない映画」とは違って、「あまりに酷過ぎて笑える」というレベルにまで到達しちゃってるんですよね。数多い突っ込みどころに対して爆笑&失笑を繰り返し、結果、見終わった後には「何か凄いものを見た」という強い印象が残る事となるんです。

今回、サイコ・サスペンスの要素を取り入れたという事で、サイコな殺人鬼が2名登場します。また、セガール演じる主人公が、少年時代、「双子の弟が異常者に殺されるのを目の前で目撃した」というトラウマを抱えているという設定も入ってきます。
これによって、人間の心の闇を描いた心理描写だとか謎解きといった要素の入り込むサスペンス映画風の展開になるのかと思ったら大間違い。結局、「セガールが誰かを痛めつけたらストーリーが進む」という、いつものセガール映画的展開が出るのみです。主人公のトラウマも、ストーリーに全く絡んできません(爆)。
そして、セガールが誰かを痛めつけるというシーンは、まあ、普通ならセガール拳が炸裂するアクションシーンになると思うじゃないですか。ですが、この映画には、およそ“アクションシーン”と呼べるようなものは出てきません。代わりに、セガールとその代役が、人をボコボコに殴る虐待シーンが出てくるんです。多分、製作側としてはアクションシーンとして撮ってると思われるんですが、こんな程度のものをアクションシーンと呼べるほど私はお人好しではありません(笑)。
あ、そうそう、今回のセガール、代役率かなり高いです(爆)。多分、動くのが面倒なんでしょうねぇ。敵を殴るとか、敵に殴られるとか(←こんな場面を入れる必要があるとも思えないんですが)、そういう場面ではスタントダブルが大活躍する事となります。
まあ、長年セガール映画を追って見ている身としては、今更こんな事に驚いたりはしません。ただ今回、そういう代役を必要とするようなシーンが割と多く出てくるうえに、一回の時間が凄く長いんです。もう、「いつ終わるんだろう」と思うぐらい、延々と殴る蹴る投げる、殴る蹴る投げるが繰り返されるんです。
完全に過剰な暴力行使で(ちなみにセガールの役柄はマフィアとかではなく、刑事です)、もはや、単なる折檻以外の何物でもないんですよね。これ、スタントダブルを使ってなくとも“酷いシーンだ”という印象が出たと思いますよ。そして、それにプラスして「半分以上は代役」なんて有様になってるわけですからねぇ。何なんでしょう、このマイナス方面への徹底ぶりは(笑)。
銃撃戦のシーンというのも一回出てきましたけど、こちらももう酷い有様で、「敵、物陰から発砲」「セガール物陰から発砲」という単調なアクションをただひたすら繰り返すだけなんです。緊迫感も迫力もなんにも無し。「観客をバカにしてるのか」と思わずにはいられません。
ですが、私はこの辺りで気付いたんですよね。「そうか、この映画はこういう“酷い所”を楽しむ映画なのか」と。
当初は、アクションシーンの演出のあまりの見辛さにイライラさせられていたんですけど(例の、画面の揺れと早いカット、そして、肝心な部分を中心に据えない謎の撮影方法など)、これ、セガールの代役の顔が映らない為の措置以外の何物でも無いですよね。
でも、この映画の本質に気付いて以降は、セガールの、単なる怠けとしか思えない異常なまでの代役率や、それを隠す為の下手な工作、ひたすら時間をかけて描写される折檻シーン、意味の無い主役の過去など、全てが輝いて見えるようになってきましたね。
こういう酷い点が一個か二個しか出てこないんなら、ただの出来の悪い映画ですけど、ここまで大量に出てくるとなると話は別です。「ここまできたら逆に凄い!」と驚かざるをえません。
終盤、セガールと協力して事件の捜査をしていた女FBIが、ある証拠から「もしかしたら、セガールが真犯人なのでは・・・?」という推理を出すという展開になるんですけど、これ、観客にしてみたら「犯人のでっち上げに決まってるだろう」としか思えないようなものなんですよね。だから、こういう方向に話を持っていく意味がまるで無いんですよ。このくだりは、もう見てて感心してしまいましたね。「すげぇ、どこまで観客を舐めてるんだろう、この映画」と(笑)。

ですが。この映画の真骨頂は実はラストにあったんです。ここまでにも相当酷い展開や演出が出てきていましたが、まだ生ぬるかったというのを思い知らされる事となりました。
いわゆる、「衝撃の結末」が出てくるんですけど(もしかしたら、製作・脚本のセガールにはそういう意図は無いのかもしれないんですが)、あまりに衝撃的過ぎて腰が抜けそうになってしまいましたよ。これまでにも色んな「衝撃のラスト」を見てきましたけど、ここまで腰にダメージを与えてくるラストはかつて無かった。「映画が終わった後、果たして椅子から立ち上がる事が出来るだろうか」と心配になってしまいましたね(かなり脱力させられましたが、とりあえず立つ事は出来ました・笑)。
パっと見て衝撃が伝わるようなタイプではなく、「あれ、何この展開。どういう意味?」という感じで始まり、見ていくうちに段々とその意味が飲み込めてきて、「うわ、何だこれ!?何だこれ!!?」と驚愕する、というオチになっていくんです。
いやぁ、これはほんと凄いラストでしたよ。「酷い」のオンパレードだったこの映画のラストを飾るに相応しいエンディングでしたね。

ちなみにこの映画、何故かヌー・イメージが製作らしいんですよね。前に訴訟沙汰で揉めたところなのに、なんでまたここで仕事してるんだろう。もしかしたら、ヌーでの仕事だから、今回のセガールはこんなに手を抜いていたんだろうか。
本来なら「プロならちゃんと仕事しやがれ!」と怒るところですが、何だか、セガールだったら許せてしまうんですよね。やりたい放題かますのが似合うキャラクターだからなのか。


本当は、恐ろしい・・・ 13日の金曜日
<FRIDAY THE 13TH>

 個人的評価 42点 (50点満点中)

 ◎満足度    ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎肯定度    ★★★★★ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
 ◎評価度    ★★☆☆☆ (客観的に評価してみる)
 ◎おススメ度  ★★☆☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
 ◎マンネリ度  ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)


友達の輪! <個人的感想>
リメイクブームの昨今、ついに『13日の金曜日』までもがリメイクされる事となってしまいました。私も、このシリーズの新作は常々見たいと思っていましたが、リメイクではなく、続編を見たかったんですよね。
ですが、「新しい13金」と言うより、過去のシリーズ(4作目辺りまで)の総集編みたいな感じになっていたんです。この、新鮮味の全く無いマンネリズム大爆発な展開は、まさに私が『13金』に求めていたものですよ。
そして、登場する若者達の行動やら言動やらが、80年代の頃となんら変わってないんですよね。唯一変わった所と言えば、ケータイを所有しているという事ぐらいなんですけど、結局これも、クリスタル・レイク周辺が圏外という事で使う機会無しです。もう、内容やストーリー展開だけでなく、「どんな連中が出てくるのか」という所もこれまでのシリーズとほとんど変化無しなんです。
リメイク映画では、色々と現代ならではの要素が入ってきたりだとか、オリジナルと設定を変えてみたりだとかの小細工をしてくる場合もありますけど、そういう、新しい事をしようという気が全く無い辺りは非常に清々しいです。
こういうのを「マンネリ」と呼ばれたりしますけど、私はもはや「伝統」の域に達してるんじゃないかと思いますねぇ。

今回「総集編風の内容のリメイク」という内容になっていたわけですが、思えばこのシリーズは、これまでにも、前作のストーリーを一旦無しにしてみたり、設定を変えてみたりとか色々してたんで、この内容でも十分「続編」として捉える事が出来るんですよね。なので、「リメイクよりも続編を望んでいた派」の私としては、この映画は『PART11』という位置づけにしたいです。
そんな続編派の私ですが、こういう「改めて一から語りなおしてみた」という内容にしたのは、これからもシリーズを続けて行き易くする為の、いい方法だったとは思います。前作で宇宙に進出して、もう行き着く所まで行ってしまった感がありましたからね。シリーズを立て直すという意味でも、話を最初に戻したのは正解だったのかもしれません(ただ、『ジェイソンX』からストーリーの続いた続編も見たいという思いもあったりするんですけどね・笑)。
あと、もう前作から7年ぐらい経ってるわけですし、この手のホラーを喜んで見るような若い観客の中には、シリーズを見てないという人もいるかもしれないような時代なんですよね。
なので、ここで総集編のような内容にして、「『13日の金曜日』とはこういう映画なんだよ」というのを改めて示したというのは、きっと意義のある事だったんじゃないかと思います。
また、過去のシリーズを見ていても、『6』以降の、シリーズがお笑いに走り出してからの印象が強い人に、初期の頃の「ジェイソンが怖かった頃」というのを思い出させるような作りになってるというのは、どちらかというと初期作の方が好きな私にとっても有り難いものでした。

そんな中、一つ心配なのは、本当にこれからもシリーズが続いていくのか、という事ですね。出来れば、このシリーズは、『男はつらいよ』や『007』シリーズみたいに、延々と続いていって欲しいんですよね。他に10作以上も続いてる映画なんてほとんど無いんですから、ここまで来たら、もうシリーズ数の記録をどんどん伸ばしていきましょうよ。そして、何とか20の大台に乗るまでは頑張って欲しいです。

さて。ジェイソンがどんな凶器を用いて何人殺すかというのが、このシリーズに対する主な興味の対象となるわけですが、今作はその期待にしっかりと応えてくれましたね。もう、登場人物のほとんどが死にまくるという展開に、さらに殺しのバリエーションも「各キャラによって違う」という多様さ。例によって主武器はナタなんですけど、結局、そのままナタで切られて死んだ人っていたんだろうか(もはや、誰がどんな死に方をしたのかとか、量が多すぎて憶えきれません・笑)。
ただ、これまでのシリーズでもうほとんどの殺しのバリエーションが出尽くしてる感があって、今回も、新鮮味を感じるような殺しはほとんど無いんですよね。でも、お馴染みの殺害方法でも、ジェイソンがやると「待ってました!」と思えたりするんで、同じ映画内で同じ方法が出なければもうほとんど満足だったりします。1作につき2,3個ぐらい、珍しい手口が出てくればもう十分ですよ。
今回も、弓矢を凶器に使ったのは結構珍しくてちょっと驚きました。確か、『3』辺りでも使ってたような記憶があるんですが、飛び道具なんて滅多に使わない奴ですからね。
あと、犠牲者の死に様を無駄に隠したりとかしないのも良かったですね。最近、グロいのが流行ってますし、もう、「死の瞬間を映さず、観客に想像させる」なんていう手法は時代遅れになったのでしょう。いやぁ、素晴らしい時代です。そういう演出が効果的なホラーもありますけど、『13金』シリーズは「犠牲者の死に様を見せてこそ華」というタイプの映画ですからね。


人生は素晴らしい。 ベンジャミン・バトン 数奇な人生
<THE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON>

 個人的評価 26点 (50点満点中)

 ◎満足度    ★★★★☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎肯定度    ★★★☆☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
 ◎評価度    ★★★★☆ (客観的に評価してみる)
 ◎おススメ度  ★★★☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
 ◎ブラッド・ピッ度 ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)


兵隊ごっこに興じるベンジャミン少年 <個人的感想>
「デビッド・フィンチャーが、ボクらの手の届かない所に行ってしまった」という意味では残念な一作でもありましたが、長い上映時間も気にならない、見応えのあるいいドラマ映画でした。
最初にこの映画が3時間近くあるというのを知った時は、正直、かなり怯みましたけど、映画を見てみると、むしろ3時間では足りないような感じすらありましたね。何しろ、人の一生を描いているという、長く壮大なストーリーなんですから。
ただ、決して体感時間が短く感じられたというわけではないので、これ以上長くされるとやっぱり見てて辛かっただろうとは思います(笑)。

さて。主人公ベンジャミンは、普通の人と逆の歳のとり方をするという特異体質(と言うのか)です。
老人で生まれ、歳をとるごとに若くなっていく人の人生なんて想像もつかないです。なので、どんな波乱万丈の人生が出てくるんだろうと思っていたんですが、意外と、おとなしい人生なんですよね。
もちろん、何の波風も立たない平凡な人生だったというわけではありません。どんな人だって、一生のうちには色々なドラマが起こりますからね。でも、そういう「普通の人レベルの波乱」しか起こらないんです。例えば、フォレスト・ガンプ辺りと比べたら、ものすごくおとなしい一生なんですよね。
でも、そういう、過剰にドラマチックな所の無い等身大のドラマというのを、この特異体質の男の目を通して語る事で、「普段、我々が忘れかけていたもの」みたいなのが浮かび上がって見えてくるかのようでした。
例えば、若いうちに色々とやらなくてはいけない事があるんじゃないかとか、一方で、歳をとった後にも、何かを始めるという事が出来るのではないかとか、そういうような事を思わせるようなエピソードが出てくるわけです。
また、生まれてすぐに捨てられたベンジャミンは、「外見が老人」という事で、普通の捨て子なら孤児院からスタートする所、老人ホームからスタートするんです(まあ、捨てられた場所が老人ホームだったからというのもあるんですが)。なので、物心ついてから知り合った人達が、次々と先に死んでいくという状況になるんですよね。
でも、人生に別れはつきものです。少ない家族と共に平和な国で暮らしていたりすると、こういう「別れ」に出会わない生活が続きがちですが、いつかは誰にも訪れるものなんです。辛い事だけど、避けて生きるわけにはいかない。そんな事を思い出させてくれましたね。

そして、「若返り」という、一見、特別で羨ましい能力を持っているベンジャミンですが、上に書いたように、一般人である他の登場人物達と比べて、特に「誰よりも濃い人生だった」みたいな感が無いんですよね。実のところ、ベンジャミン自身、歳をとって若くなってから、ある時点に行くまで、大きく人生を変えるような事をこれといってしなかったんです。
「特殊能力があれば、自分ももっと楽しく生きられるのに」みたいな事を夢見がちですが、もしかしたら、大事なのは「自分のやれる範囲内でどう生きるのか」という事なのかもしれないですね。
この映画に色々と脇の登場人物が出てくるんですけど、ベンジャミンみたいな外見の子供を拾って育てる事を選択した黒人女性や、ボタン工場を成功させて大金持ちになりながらも、子供を捨てた事を悔やみながら生きていく事になった男、何度も雷に打たれても生きている男、遠泳を成功させた老女など、こういった、何の特殊能力も無い一般の脇役達の人生も、ベンジャミンに勝るとも劣らない濃いもののように見えるんです。
要するに、私が今、平凡でつまらない人生を送っているのは、運命や社会のせいではなく、自分自身がそういう人生を選択しているからなのではないかと、そんな事をこの映画を見て思ってしまいましたね。そして、「やっぱり俺のせいか」と思ってガッカリですよ。こういう事を思ってしまったりするから、人間を描いたドラマ映画を見るのはイヤなんですよねぇ(爆)。


「最終絶叫計画」の製作チームがまたやった!! 
全米大ヒット=パニック・パロディ超大作!! ディザスター・ムービー!おバカは地球を救う
<DISASTER MOVIE>

 個人的評価 28点 (50点満点中)

 ◎満足度    ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎肯定度    ★★★★☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
 ◎評価度    ★☆☆☆☆ (客観的に評価してみる)
 ◎おススメ度  ★☆☆☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
 ◎低俗度    ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)


恐怖のニセ・アルビン <個人的感想>
まあ、実に下品で低俗でくだらない映画でした。ですが、私がこの映画に期待していたのがまさにコレだったので、満足でしたね。
当初は見に行くかどうか迷ってたんですが、前作『鉄板英雄伝説』(実は、間にもう一作、『300』のパロディとかが入ってる映画があるんですが、これは日本ではソフト化されないんだろうか)を数日前にレンタルで見て、その「くだらないギャグが延々続くだけなうえに、低俗」というこのシリーズの雰囲気が結構楽しかったもので、やっぱり見に行く事にしたのでした。

それにしても、ほんとくだらない映画でしたねぇ。こんな映画でも、もちろん、製作側としては、観客を笑わせようと色々と試行錯誤とかしたんでしょうけど、そういう、「ギャグを練った形跡」というのが、見てて全然見受けられないように感じられる所が凄いです。もう、大して面白くもないお笑い芸人の思いつきのギャグを延々垂れ流しているだけみたいでしたからね。
私は元々この雰囲気を期待していたから良かったんですけど、普通のギャグ映画かと思って見に行った人はさぞや気の毒な結果になった事でしょうねぇ。まあ、「くだらないコント」ならテレビのお笑い番組でも時々見かけるんで、そういう面での免疫はみなさん出来てるのかもしれないですけど、この映画には、日本人にはよく分からない、アメリカの芸能ネタとかが結構多く出てくるんですよね。なので、つまらない以前に、「意味が分からない」という箇所が多いんです。
これが、元ネタが分からなくても、ストーリー的に面白かったりだとか、演者の実力によって面白さが伝わったりだとかがあればいいんですけど、生憎この映画は、そういう、レベルの高いコメディ映画じゃないですからね。何しろ、元ネタが分かってるギャグですら大して面白くないんですから(爆)。
でも、そのくだらないギャグの連打を「くっだらねぇ〜!」とか言いながら見てるのが、また何とも言えない楽しさがあるんですよね。あと、もしかしたら、「自分よりもバカがいる!」と思えて、気分がいいというのもあるのかもしれません(笑)。

基本的にはつまらないギャグばかりなんですが、時々、笑えるようなギャグというのも出てきました。
例えば、パロディのネタ映画の中に『ハイスクール・ミュージカル』や『魔法にかけられて』といった映画が含まれてるせいか、登場人物が歌い踊るシーンというのが時々出てくるんですけど、そのミュージカルシーンで歌われてる歌詞が、酷く下品なんですよね。それを、本家と同じような感じの表情&踊りで歌ってるというミスマッチ感は、この映画にしては珍しく、普通に面白いギャグだったと思います。
他にも、「パンツが脱げるハルク」とか「市民たちと一緒になって町から逃げ出そうとしてるバットマン」なんかも、パロディとして面白かったですし、この手の映画でお馴染みマイケル・ジャクソンネタなんかは、もはや鉄板な感がありました。
そういうパロディキャラの中で一番良かったのは、歌うシマリス3兄弟でしたね。当初は本物と同じような感じで出てきていたのに、途中から驚くような変化を見せるんです。本家の『アルビン』は予告編しか見てないんですけど、本物よりもこっちのニセモノの方が私は好きかもしれません(笑)。


傷ついた心が、共鳴する。 007/慰めの報酬
<QUANTUM OF SOLACE>

 個人的評価 50点 (50点満点中)

 ◎満足度    ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎肯定度    ★★★★★ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
 ◎評価度    ★★★☆☆ (客観的に評価してみる)
 ◎おススメ度  ★★★★☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
 ◎アルティメイタム度 ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)


恐怖の蝶ネクタイ軍団 <個人的感想>
前作を劇場で見た当時はボンド役の変更に違和感を覚えていたものでしたが、今回はもう2作目という事で(しかも、前作ももうこれまでに3回ぐらい見てますし)、完全に受け入れられるようになりましたね。紳士でスマートな所をほとんど封印した、ワイルドでバイオレンスなタフガイ・ボンドが、全編に渡って無敵の大突進を繰り広げる様は圧倒的でしたよ。
そして、そんなタフガイ・ボンドの魅力を前面に押し出すという作戦に出たのか、アクションシーンの数がかなり増えました。チェイスシーンも、道路から海、空とあらゆる地形が使われ、足を使った追跡シーンでは『ボーン・アルティメイタム』のごとく、建物から建物へ飛び回ったり、ガラスを突き破ったりしてました。
どうも、アクションシーンの演出から、結構、『ボーン・アルティメイタム』の影響が感じられましたね。あの映画の存在が無かったら、もうちょっと違う見せ方のアクションになってたんじゃないかと思います。
で、その影響のおかげで、スピード感と迫力はかなりのものだったんですけど、接写が多くカットも細かいという事で、少々アクションが見辛かったです(あの映画ほど「画面の揺れ」は無かったものの)。
演出に影響が見られた一方、主人公の行動にはかなりの違いがありました。ボーンの行動にはスマートさが感じられましたけど(戦闘になった時も、ほとんど一撃必殺であまり長引きませんし)、クレイグ・ボンドは、どちらかと言うと猪突猛進かつ暴力的な感じなんですよね。敵のアジトに正面から突入したりしてましたし、「自分の無敵さを信じて突進」みたいな作戦を使う事が多いんです。これは、今回のボンドが、それほど「自分の力に自信を持っている」というのを表しているんでしょうね。で、それなのに、ボーンのようなスマートさが無いという辺りに、“自信”なのか“過信”なのかが分からないと思えるような危なさがちょっと漂ってるように感じられるんです。でも、こういう所がまた、今までのボンドにも他のスパイ映画の主人公達にも無い魅力だったりするんですよね。
アクションシーンにおいても、そんなボンドの性格を表しているのか、アクションがいちいち激しくて、見た目の危険度も相当なものになってるんです。多分、そのまんま撮ったら死人が出るぐらいの激しさなんで、当然、十分な安全対策を講じて撮影するわけですよ。それを分からないように映すには、1ショットを細かくしたり、なるべく対象に近づいて撮らないといけなかったりするんでしょう。なので、「少々アクションが見辛い」というのは、もしかしたら、『ボーン〜』の影響とか関係無く、必然的なものだったのかもしれませんね。
でも、私はどちらかと言うと、もうちょっと見た目の危険度が低くてもいいから、「どういうアクションをしてるのか」が分かるぐらい、1ショットを長く&多少対象から離れて撮られたアクションシーンの方が好きなんですよねぇ。まあ、この映画にもそういうシーンが無いわけじゃないですし、やっぱりアクションシーンの数が多いというのは魅力なんで、全体的には満足なアクションでした。

一方、ストーリー面の方も、割とスッキリしてて分かりやすかったですし、面白かったです。何よりも、各キャラクター間のドラマがよく描けていたように思えたのが良かったです。それも、セリフやエピソードを駆使してドラマを語るというより、少ないセリフのやりとりと演じる俳優陣の演技で「その人物の背景のドラマを想像させる」みたいな感じなんですよね。 こういうタイプの映画って好きですね。ドラマ面に割く時間を節約してるおかげで、上映時間を短くしながらもアクションシーンを増やすなんて事が可能になってるわけですよ。それでいて、「アクションだけで中身が無い」という印象も出てこないわけですからね。
特に、「愛する者を失った喪失感と、騙されていた事に対する失望。そして、愛する者を奪った奴らに対する復讐心」といったものを抱えたボンドと、同じく復讐を企んでいる女スパイ(元スパイか)との関係なんかは非常に興味深い交流だと思いましたね。
あと、この今回のボンドガールが、何か個人的に「イイ!」と思えるキャラクターだったんですよね。予告編を見た時はあまりタイプの顔じゃないんで、邪魔そうだなとか思ってたんですが、ストーリーに沿って出てくるのを見ると、魅力的に見えてくるんですよね。「不幸な過去を背負いながらも頑張って生きてる」みたいな雰囲気が感じられて、何か応援したくなってきます。
で、この二人の、心に傷を抱える者同士という関係が、何かクールでカッコいいなぁとか思えるんですよねぇ。 ただ、役名が“カミーユ”という事で、つい、そのうち「遊びでやってんじゃないんだよー!」とか「まだ、抵抗するのなら!」とか叫びだすんじゃないかと思ってしまいます(『Zガンダム』の主人公と同じ名前なので・笑)。

相変わらずオープニングもカッコ良かったですし、悪役も何だか性悪そうな顔をしてて非常に素敵でした。予告を最初に見た時から思ってたんですけど、この人、凄くいい顔してますよねぇ。目が特徴的なのか、悪役としてはこの上ないぐらい魅力的な顔だったと思いますよ。
しかもこの人、攻撃する時に変な奇声をあげるんですよね。元々武闘派のキャラじゃないんで、「キレて攻撃」みたいな感じになるんですけど、あの顔で奇声ですからね。もう素晴らし過ぎです。こういう悪役は大好きですね。


ハリウッドが誇る、最強のアクション・スター。
今やどん底、ついに強盗!? その男ヴァン・ダム
<JCVD>

 個人的評価 38点 (50点満点中)

 ◎満足度    ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎肯定度    ★★★★☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
 ◎評価度    ★★★★☆ (客観的に評価してみる)
 ◎おススメ度  ★★★☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
 ◎ヴァン・ダム自己アピール度 ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)


あぁ、病気の犬が心配だ・・・ <個人的感想>
まず、アクションスターの主演作が、こんな、明らかなミニシアター臭漂う内容になっていたというのに、ただただ驚きでしたね。普段はこの手の気取った雰囲気の映画は嫌いなんですけど、それが「ヴァン・ダムが主演している」となると話は別です。
代表作が無いままに全盛期を過ぎた今世紀のヴァン・ダムにとって、最大の魅力と言えるのが、「生き残る為に必死にもがく姿」だったと思うんです。
マッチョアクション映画の時代が過ぎ去り、アクション専門俳優による主演アクションに対する需要が落ち込んだ現代において、アクションスターが生き残っていくには、やはり演技の幅を広げて、筋肉に頼らない、色んなタイプのアクション映画に出て行かなければならないわけです。
そこでヴァン・ダムも、身体能力よりも演技を見せるような内容の映画、役柄に挑んできました。そんなヴァン・ダムがついに、これまでの主演作とは世界もジャンルも全く違う、ミニシアター系の雰囲気の映画に出て、しかもそれが映画祭に出品され(あまり大きな映画祭ではないようですが・笑)、日本でもシネパトスではなく、シネコンで上映された、というのは一ファンとして非常に嬉しい事です。

これまでのヴァン・ダム主演作とは全く趣の違う映画で、エンターテイメント色よりも、作家性や実験的要素の強い内容でした。いわゆる、「楽しいかどうか」ではなく「評価する」という観点で見ないといけない映画ですね。
主演俳優が自分自身を演じる、というのはまあ珍しい話ではないと思うんですが、それが、「かつて一世を風靡したが、今やすっかり落ちぶれてしまった、“元大スター”の話」というのは非常に珍しいと思います。
そして、強盗事件の起こった郵便局内とその周辺のみで話が進んでいく事となります。もう、映画じゃなくて、舞台劇でも出来そうなぐらいの狭さです。
で、多分ですけど、この郵便局内の出来事が、ヴァン・ダムの内面を象徴していたりとかするんでしょうね、きっと。この手の映画はたいがい、「主人公の何かを象徴している場面」だとか、その手の小難しい点が入っていたりするものですから。人質の中で、「子供と引き離される母親」というのが出てきますけど、これも、「裁判で娘と引き離されたヴァン・ダム」のエピソードと重なりますしね(郵便局内の方では、“外に追いやられるのが母親の方”というのも興味深いです)。
外から「犯人と誤解される」というのも、もしかしたら、「俺は誤解をされている(「筋肉だけが取り柄の俳優ではない」とか)という気持ちを表しているのかもしれません。
また、強盗犯人に対して、筋肉や足技ではなく、会話で相対したというのは、あるいは、今後のヴァン・ダムの目指す方向性を物語っているのかもしれません。アクションではなく、演技でストーリーを進めていくような映画を目指しているとか。
ですが、一方で、「ヴァン・ダムファンの犯人一味の要望で、大道芸的足技を披露する」というシーンがあるように、今後もマーシャルアーツは使っていきたいと本人も思っているのかもしれません。
こういう面を考えると「深い映画だな」と思えてきますね。元スターの自虐映画ではなく、一人の人間が悩み苦しむ姿を描いた、言わば、人間を描いた映画なんじゃないかと。
そして、それが「ヴァン・ダム演じる主人公」ではなく「ヴァン・ダム本人」が悩み苦しんでいるように見せている事で、形は違えと、今までの主演作同様、「ヴァン・ダムによる、ヴァン・ダムの為の映画」にはなっているんですよね。

ただ。“ヴァン・ダムファン”=“ヴァン・ダムにヴァンダミングなアクションを臨んでいるファン”にとっては、あまり嬉しくない内容の映画とも言えます。何しろ、アクション映画じゃないんですからね。
でも、もしこの映画が「郵便局で強盗に襲われたヴァン・ダムが、得意のカラテで強盗を退治し、現実でもヒーローとなる」みたいな内容の、『俺はヴァン・ダム』というタイトルの映画だったら、それこそ、これまでの主演作同様、「ファンしか見ない、DVD直行映画」という扱いなっていた事は必至でしたでしょうからね。
今回は、完全に、これまでとは違う層をターゲットにしている内容なんですが、非ヴァン・ダムファンや批評家といった受け手だけではなく、送り手である“業界”に対するアピールも含まれてるような気がするんですよね。「俺にはまだ可能性がある。だからいい映画への仕事をくれ」という、言ってみれば、“ヴァン・ダムPR映画”のようにも思えたものでした。
では、ヴァン・ダムファンにとっては、「キャリアアップの為だけの、面白くない映画」なのかと言うと、そんな事はありません。冒頭に、「長回しのアクションシーン」という、ヴァン・ダム渾身のスーパー・アクションシーンが出てくるんです。
「映画の撮影シーン」という設定なので、他の長回しアクション映画(『トム・ヤム・クン』とか『トゥモロー・ワールド』とか)と比べると、迫力とか本気度は落ちるんですけど、「キャッチコピーで“そろそろアクションがキツい”とか言ってるけど、まだこんな凄い事が出来るんじゃないか!」と興奮しながら思える、凄いシーンでした。まさに、ヴァン・ダムファンにとっては一見の価値有りな場面でしたね。


地獄生まれの正義のヒーロー
魔界最強の敵に挑む!! ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー
<HELLBOY II: THE GOLDEN ARMY>

 個人的評価 49点 (50点満点中)

 ◎満足度    ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎肯定度    ★★★★★ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
 ◎評価度    ★★★★★ (客観的に評価してみる)
 ◎おススメ度  ★★★★☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
 ◎前作より凄い度 ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)


イジメ <個人的感想>
前作はあんまりヒットしたという印象が無かったんで、続編が作られた事がまず驚きだったんですけど、やっぱりこれも「『パンズ・ラビリンス』効果」なんでしょうかね。監督のギレルモ・デル・トロは、あの映画の成功で一躍名監督の座に躍り出た感がありましたからね。
名声を得た後の監督作という事で気合も十分だったのか、前作の不満点が全て解消されているという、続編映画のお手本のような快作になっていました。
正直、前作は少々物足りない面のある映画だったんですよね。各登場キャラクターはユニークで面白かったんですけど、敵側にあまり魅力が無かったですし、アクションや見せ場のシーンが少なくて、ヒーロー物映画としての面白味に欠けてるように思えたんです。
それが、今回はアクションも大掛かりな見せ場も大パワーアップですよ。アクションシーンの数自体はそんなに増えたというわけでもないんですけど、敵が魅力的になったんですよね。ロケットパンチを放ってくるモンスターとか巨大サイズの怪獣みたいな奴といった中ボスが出てきたり、大ボスが剣術使いの武闘派だったりという事で、そういう輩と相対する主人公ヘルボーイの頼もしさやヒーロー度がより強く感じられるようになっていたんです。
主人公側の各キャラクターの面白さは前作からしっかり継承していて、さらに継承するだけでなく、見せ場らしい見せ場というのが加えられる事で、さらに魅力度もアップしているように感じられました。
特に、主人公ヘルボーイのやさぐれた感じは相変わらず素敵でしたね。名前はボーイなのに、外見も態度も、どう見てもオッサンという辺りも面白いです。そして、どんな敵を前にしても全く臆さない超強気な所もいいですね。ただ、ウルヴァリンみたいに、ちょっと強い敵が出るとすぐに吹っ飛ばされるんですけど(笑)、それほどダメージを受けずにしっかり倒してしまえる戦闘力の高さがあるというのは実に頼もしいです。
相棒の半漁人や、超常現象調査局のおっちゃんとの掛け合い等のユニークさもパワーアップしていて、笑えるシーンもかなり増えてましたね。新キャラのガス人間も面白い奴でした。
そして、ヒロイン、リズを演じるセルマ・ブレアのクールな雰囲気も実に良かったですねぇ。キャラクター自体も、前作よりも積極的になりましたし、炎の能力も多少はコントロール出来るようになったようで、「必殺技」として機能してましたからね(前作ではほとんど暴発みたいな感じでしたから・笑)。

あと、ビジュアル面の凝りようもかなりパワーアップしてましたね。『パンズ・ラビリンス』の影響が感じられる造形のクリーチャーが大挙して登場する様はまさに圧巻でした。しかも、そのデザインのセンスがまた素晴らしいんですよね。この、クリーチャーの大群がスクリーンに踊る様は、まるで『スター・ウォーズ』みたいな超大作映画を見てるかのような有り難味が感じられたものでした。そして、その各クリーチャー達が、CGではなく、特殊メイクで表現されているせいか、“芸術性”というのがより感じられるような気がします。
ただ、『パンズ・ラビリンス』ほど印象には残る奴がいないんですけど、これは多分、一度に多く出過ぎて、目移りしてしまうからなんでしょうね(あと、主人公も特殊メイクだというのもあるかも・笑)。

「ビジュアルセンスの感じられる映像」に「面白いキャラクター」、「マッチョなアクションシーン」「巨大生物登場」といった要素の詰まった、それは面白い映画でした。世に2作目の映画は数あれど、1作目からのパワーアップ度がここまで凄い映画もそう無いんじゃないかと思うぐらいの驚きがありましたね。


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