ミスト(ネタバレ感想)

霧の中の何かですが、最初に出てきた触手の、いかにもCGといった質感を見た時は、「あれ?」と思いましたね。まさか、霧の中の何かの正体は『ザ・グリード』のモンスターみたいな奴だったのかと。でも、演出の関係で怖いシーンにはなっていましたし、「そうか、実はモンスターホラーだったのか」と思って、気持ちをそっち方面に切り替えて見進めていたら、今度は巨大な虫が出てくるじゃないですか。
ここでようやく、霧の中に一種類の怪物がいるというわけではなく、霧の中はもう別世界みたいになってて、異形のクリーチャーが次々出てくるという仕掛けなのかと分かったわけですが、よりによって、虫型とは。しかも巨大ですよ。外見のおぞましさで言ったら、ゾンビやら幽霊やらとは比べ物にならない強烈さを持ってる連中ですからねぇ。こんなのが襲ってきたら、そりゃ、絶叫しますわな。薬局のシーンで、ウィリアム・サドラーが、目の前に現れた「巨大虫型クリーチャー」を見て、「これでもか!」とばかりの大絶叫をあげますけど、あそこは、私も一緒になって絶叫したくなりましたね。
あと、最初に虫型クリーチャーが出てきた時のシーンも気持ち悪かったですねぇ。窓ガラスに一匹目が取り付いた時点でかなりイヤでしたけど、それが次々と数を増していく辺りでは、もう「おいおい、勘弁してくれよ・・・」とゲンナリしましたよ。しかも、登場人物達が、「店内の明かりに集まってきてる」というのに全然気付かないんですよねぇ。まあ、私も実際にあの場にいたら、冷静な判断なんて出来ないと思いますけど。

最後には、例の触手モンスターの本体も登場するんですが、あれも、あんな怪獣みたいなサイズの奴だとは思わなかったですからねぇ(※最初に出てきた触手モンスターと同一のクリーチャーなのかと思ってたんですが、どうも、別物らしいですね。紛らわしい触手垂らしやがって)。
もう、あんなのがウロついてるような世界になってしまったとしたら、そりゃ、絶望しますよ。もう絶対助からないと思いますね。「もう世界は終わったんだな」と。 なので、ラストの主人公の行動は納得がいくものでした。「同じ立場に置かれたら自分もやるか」となると、それはまた別の問題ですけど。
でも、結果として、あの宗教狂いのオバチャンの言った通りの展開になってしまったというのがまた恐ろしいですね。確か最初の方で、「○○(←多分、聖書の登場人物)みたいに息子を差し出せばどうのこうの」みたいな事を言ってたんですよね。で、終盤で息子も「絶対に僕を怪物に殺させないと約束して」と言ってくる場面があって、この二つから、私は「最後は、主人公が息子を殺して、自分が助かるみたいな流れになるのか」と思ってたんですけど、これをトーマス・ジェーンの絶叫付きで実際に映像で見ると、もう恐ろしいほどに衝撃的でしたね。ほんと、あの絶叫シーンは胸を打ちましたねぇ。思えば、印象的な絶叫が多い映画でしたね。
このラスト、日本で時々起こる無理心中を思わせる行動なんですけど、それがいかに間違った行動なのかというのがよく分かりますね。どんなに絶望に包まれてる状況でも、もしかしたら希望がすぐそこに近づいてるかもしれないんですよねぇ。
私も、もし後に人生に絶望する機会が訪れたら、この映画をもう一度見てみたらいいかもしれませんね。

それにしても、蜘蛛の巣を火炎放射器で焼き払ってる描写は出てきましたけど、あの超巨大触手モンスターはどうやって処理したんでしょうね。やっぱり、ロケットランチャーを担いだ機動歩兵隊みたいなのがやって来たんでしょうか。その戦闘シーン見たかったですねぇ。
ところで、普通、この手の災害が映画で起こったら、政府はミサイルを撃ち込んで町ごと破壊する手段を講じてくるものですけど、今回は上層部に「何かあればミサイル派」の人がいない世界だったんでしょうかね。


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