ウォーリー(ネタバレ感想)

ラスト、ウォーリーが記憶喪失(初期化と言うのか)するくだりは、正直、やりすぎだと思ってしまいましたねぇ。だって、クライマックスであれだけ頑張ったんですから、もうあそこは素直にハッピーエンドで終わらせてあげましょうよ。
だいたい、私はウォーリーが地球から離れて宇宙に旅立つのも反対だったんですよ。だって、宇宙船に捕まってる手を、もしうっかり離してしまったらどうするんですか。永遠に宇宙空間を彷徨う事になってしまうんですよ!?(誰に言ってんだ)もう、こんな事を考えただけで、気の毒で気の毒で、いたたまれなくなってしまいます。
一匹残されたゴキブリも可哀想でしたからねぇ。ひとりぼっちになってしまって。いったい、その後にウォーリーが宇宙船と一緒に地球に戻ってくるまで、どのくらい経ってたんでしょう。
それにしても、ウォーリーだけでなく、ゴキブリに対しても変な感情移入をさせてしまうとは、これも、ピクサーのキャラ造形の上手さとCGのディテールの細かさゆえなんでしょうなぁ。

まあ、そんな事よりもですね。最後に地球人(と言うか、丸々と肥えたその子孫達)が、過酷な地球に戻ってくる選択をしたじゃないですか。それも、艦長の一存みたいな決め方でしたし、これに対して快く思わない人だって艦内に絶対いるはずですよね。今までの生活の方が楽に決まってるんですから。
でも、映画では、そういう「これまでの楽な生活にしがみつきたいと思ってる人」の姿を映してこないんですよね。もう、人類全員(そんなに残ってないみたいですけど)が望んで地球に戻ってきたと言わんばかりの演出でした。
この点に関しても、一瞬引っかかってしまい、「本当に今の人類がこのまま地球に戻って大丈夫なのか。ちゃんと適応して、生活していけるのか」なんて事を思ってしまいました。
なので、「これはハッピーエンドなのか?」と思いかけたんですけど、考えてみれば、アニメ映画でそんな現実的でシリアスな話を出す必要はないんですよね。あの未来の人類の自堕落な姿を見ていれば、「地球に戻って、自分の足で歩く生活をするべき」とは当然思う事です。その当然の選択をみんながしたという、「理想の姿」のみを描いたこのラストは、まるで人類の将来に対する希望がこめられているかのようにも思えてきます。間違った方向に進みはしたが、人類はそれを正す事が出来ると。
やっぱり、子供も見るようなアニメ映画ぐらいは、負の部分を描かず、理想と希望だけを描いてもいいはずですものね。


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