レスラー(ネタバレ感想)
ラスト、心臓に爆弾を抱えたまま試合に臨んだミッキーですが、申し訳無いんですが、私にはこのミッキーの決断は「逃げ」に思えてしまいましたね。止めよう止めようと思っていた酒(またはヤク)に手を出してしまった人みたいで。
もちろん、「もはやリングに戻るしかない」みたいなところまで追い詰められてしまっていたというのも分かるんですけど、もうちょっと頑張って“現実”に立ち向かって欲しかったです。見かけはあんなにマッチョで強そうなんですから。まあ、この「外見は強そうだけど、内面は人並みの弱さを持っている」という辺りの人間臭さは面白い点でもあるんですけどね。
ちなみに、この最後の試合シーンで、明らかに苦しみだしたミッキーを見て、対戦相手が本気で心配しだした辺りも何か良かったですね。この「対戦相手の健康の為に、早く試合を終わらせようとして、進んで負けようとする」という姿は、実に新鮮で面白かったです。そして改めて、レスラー同士の仲間意識の強さと、そんな連中同士で戦っているプロレスの面白さに感心したものでした。
で、最後は命を賭けた「ラム・ジャム」を放った所で映画は突然終わるんですけど、ここは、いい所で切ったなと思いましたね。
それまでの展開からして、ラストシーンは、マットの上で死んでいくミッキーという絵でも良かったはずなんですけど、あそこで切る事で「もしかしたら、運良く心臓が持って、死なずに済んだかもしれない」とも思えるんですよね。
やっぱり、ハッピーエンド至上主義の私としては、最後に主人公が死んで終わるという話はあんまり好きじゃないんで、「もしかしたら」と思える終わり方だったのは良かったです。そして、もし生きていたら、もう一度、第2の人生に向けての努力を始められる可能性もあるわけですからね。あそこで死に逃げするなんて許さんですよ。人生という重いパンチにも、それに耐えて前に進んでいけば最後は勝てるんですから、ミッキーももっと頑張るべきなんです。
トレーラーハウスで自分の出てるゲームなんてやってないで、『ロッキーF』のDVDを見れば良かったんですよね、きっと。
戻る